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INTERVIEW

Japanese

シナリオアート

2014年01月号掲載

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Member:ハヤシコウスケ (Gt/Vo) ハットリクミコ (Dr/Vo) ヤマシタタカヒサ (Ba/Cho)

Interviewer:天野 史彬

-「アサノシズク」に関してひとつ訊きたいのが、この曲が終わった後に"カチ、カチ"って、時計の音のようなものが入れてありますよね。これはどういう意図で入れたんですか?

ハヤシ:これは、1曲目の「ブレーメン~」の音に繋がってて。アルバムを繰り返し聴くと繋がるようにしてるんです。人の1日やったり一生やったり、日常がぐるぐる回ってるっていうことを表現したくて入れました。

-僕は「ブレーメン~」で現実逃避的な、空想的な世界へ連れ出した後、最後の「アサノシズク」で現実に戻して、それをループさせていくっていうコンセプチュアルな意図を感じたんですが――。

ハットリ:はい、まさに。そこが1番こだわったところですね。「ブレーメン~」は夜なんですけど、夢の中の世界に入っていって、「アサノシズク」で起きて、"今日も1日頑張ろう"って思えるような、そういう流れを意識してました。

ハヤシ:各曲の繋がりでも、聴き手によってストーリーの背景を考えてもらって、楽しんでもらえればなっていうのはあります。

-音楽以外でも、映画や小説とかで、今のシナリオアートの物語性に影響を与えているものってありますか?

ハヤシ:本はよく読んでましたね。星新一さんの『ショートショート』とか。短い物語に詰まってるじゃないですか。そういうところから影響を受けてますね。

ヤマシタ:僕も本とかはよく読んでて。あとジブリの映画とか。あれも、ただ見てるだけやったら普通のストーリーですけど、実は宮崎(駿)さんのちょっとした真意というか、本当に伝えたいことが散りばめられたりしてて。そういう、よくよく見ていったらわかるテーマとか、そういうものが描かれてるものは好きですね。

-本作の中には「ポートレイトボヤケル」と「ハジメマシテ」という、"記憶"をモチーフにした曲が2曲ありますよね。「ポートレイトボヤケル」は写真をテーマにノスタルジックな感情を歌っているし、「ハジメマシテ」は記憶喪失をテーマに人の記憶そのものについて歌ってる。で、どちらもどこか忘れてしまったもの、失ってしまったものの美しさを歌っているように感じるんです。

ハヤシ:そうですね。やっぱ、人は忘れやすい生き物で、自分も忘れやすい人間なんで、曲の中に瞬間の感情を閉じ込めたいっていうのが、音楽を作る上でのテーマになってるところはあります。

ハットリ:ノスタルジーみたいなものは、意識してなくても勝手に出てくるものかもしれないですね。

-「ポートレイトボヤケル」の最後に"儚さは 美しさよ"っていうラインがあって。ハヤシさんもおっしゃったように人間って忘れやすい生き物だけど、刹那的なものだからこその美しさってあると思うんですよ。で、さっき語っていただいたシナリオアートの音楽にある夢の中にいるような空想的、逃避的な部分も、いつか現実に戻ってしまうからこそ、より美しいものになると思うんですね。そういう刹那的なものを求める感覚が、みなさんの根底にあるのかなって思うんです。

ハットリ:あぁ~、そうかも。

ハヤシ:地元が滋賀県なんですけど、琵琶湖って海みたいで、対岸が見えんぐらい大きいです。で、そこに落ちる夕日をスタジオに行く時とかに見るんですよ。そういう自然のものを見ると、感傷的になったりするよな?

ヤマシタ:そうやね。ああいうのって、見る時によって見え方が全然違うし。同じ場所からの景色でも、日によって全然違って見えたりして。

ハヤシ:日常的に、琵琶湖の湖岸の道路を走るんですけど、そういうところで見る景色は、凄くインスピレーションになってるのかもしれないですね。