黒猫チェルシーの「開拓!ネコロンブス」【第13回】
2018年01月号掲載
黒猫チェルシーの開拓!ネコロンブス 第13回 <渡辺大知(Vo)>
ぼくはハンバーガーが大好きだ。
パティとバンズを同時に口に入れることで増幅されるボリューム感と肉の旨味。その間から口の中へ溢れんばかりに飛び込んでくるケチャップの痛快さ。レタスやトマトが口から胃までの油っぽくなった導線を清めてくれる神聖さ。大きな口を開けなければ食べられないという反骨精神。
一口で色んな味覚を刺激してくれるハンバーガーがぼくは好きだ。
今回はそんなハンバーガーの歴史を追うことにした。
ハンバーガーはアメリカの食べ物の代表だが、その歴史は遡ると意外と深い。
元々は18世紀に生まれたイギリスのサンドイッチが原型だが、初めは一口サイズで上品な上流階級の食事だったそうだ。
それを労働者階級の食べものとして大きなロールパンに具を挟んで作ったのがアメリカだ。そして、衛生のため火を通すことなどを考慮した結果ハンバーグを挟むようになった。
しかし、細かく食べやすくするにはだいぶ手間がかかる。
これを一変させたのが、「肉挽き器」の登場だ。これは調理を簡単にしただけでなく、捨てるしかなかったクズ肉を料理に変える技術でもあった。
そして同じ頃にアメリカの工業化が進み、夜勤という新しい勤務体系も始まり、彼らに食事を供給するワゴンが商売になっていった。
その中で、1904年に二つのパンにハンバーグを挟む、今のハンバーガーの原形が誕生したのだ。
徐々に労働者向けの安い料理として浸透していったハンバーガー。しかし品質面では問題のある業者が多く、当初は評判が悪かった。
その問題を払拭したのがウォルト・アンダーソンという男。1916年にハンバーガースタンドを開いた彼は、肉屋から配達された牛肉を客の見えるところでガラス越しに挽肉にし、大流行りした。
そしてハンバーガー界に革命をもたらせたのがマクドナルド兄弟。
1948年、元々ドライブインを経営していた彼らが一時店を閉店させ、ハンバーガーをメニューに加え、徹底したマニュアルやセルフサービスを取り入れ再稼働し、大人気となったのだ。そのマクドナルドの一号店を視察して感心した人々が作った店が、バーガーキング、ケンタッキーフライドチキン、ウェンディーズなどだという。
元々上流階級の食べ物だったものを技術の進歩によって労働者階級のものにしたハンバーガーは、まさに現代食事の権化だ。
歴史を感じながら食べると、また次の一口の重みが変わってくることだろう。
(参照:アンドルー・F・スミス「ハンバーガーの歴史 世界中でなぜここまで愛されたのか?」)
注:写真は、世界最古のハンバーグと呼ばれる日本の「縄文クッキー」
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