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COLUMN

黒猫チェルシーの「開拓!ネコロンブス」【第10回】

2017年07月号掲載

黒猫チェルシーの「開拓!ネコロンブス」【第10回】

黒猫チェルシーの開拓!ネコロンブス 第10回 <澤 竜次(Gt)>

今回開拓するテーマは、俺が愛してやまない人気ラーメン店、『天下一品』。
と言っても開拓してからもう随分と経つし、TwitterInstagramなどではしばしばその愛を発信しているが、今一度この場でじっくりと語ってみたいと思う。

まず最初に『天下一品』とは、社長である木村勉氏が京都の銀閣寺周辺で開いていた屋台が発祥で、独特のこってりスープが特徴のラーメンである。

屋台からラーメン屋を始め、何とかお客さんを呼び込む為に試行錯誤を繰り返してあのオリジナリティの塊と言えるスープを開発した事に、改めて感服する。

『こってりスープ』と謳われているので、食べた事の無い人は油が多く胃がもたれるような食べ物なのではないか、と勘違いされるかもしれないが、似ている感覚と言えばポタージュスープやシチューなどのあのとろみに近く、決して油っこいわけではない。 鶏ガラや鳥の足の部分などのゼラチン質、それから野菜などを煮詰める事で、まろやかな味わいとなっているそう。

ファンの間ではもはや、"ラーメン"という一つの括りでは捉えられていない。

うどんで例えるならば、『天下一品』の存在はカレーうどんぐらい一線を画する物だと言えよう。
どうしてもカレーうどんが食べたい気分の時に、それが叶わず「かけうどんでいいや。」とはならないように、『天下一品』が食べたい時に「醤油ラーメンでいいや。」とはならないのだ。

ここで、俺が『天下一品』に行くと必ず毎回する食べ方を紹介したいと思う。

・まずはこってり並と小ライス、それにトッピングで半熟卵を注文する。
・商品が到着したら、半熟卵を半分に割る。
半分をラーメン用、もう半分をライスにセッティングする。
・テーブルに置かれてある『天下一品』特製の"ラーメンのタレ"を、ラーメンに1周半、ライスに1周かける。
・スープに空気を入れるように底から上へと麺を混ぜる。
・まずはメンマから食べて自分をじらす。



勿論チャーハンなど他のメニューも美味しいが、もうここ5年はこの注文と食べ方以外はした事が無い。
ちなみにあくまで個人的な見解として、高円寺店は他店に比べ若干濃度が高く感じるので、ラーメンのタレは1周で十分。
神田店はトッピングの卵が半熟ではなくゆで卵なので予め了承を。
あと、神田店は牛丼定食なる珍しいメニューがある。
俺は勇気が出ず注文した事は無いが。

しかし、俺の周りの『天下一品』好きは皆愛が半端ではない。
何故そこまで深く愛されるのだろうか。
まずはやはりあの唯一無二のスープだが、味が好きなだけではあそこまで愛は深まらない。

そして、考えてみた。

言い忘れたが、『天下一品』にはこってりスープ以外にあっさりスープも存在する。
そしてたまに、「今回こそあっさりスープを注文してみよう。」と意気込んで入店する事がある。
しかし、結局注文の際に土壇場で「あっさ......いや......こってりで!」となる。
そして、「なんだ、またやってしまった......何度同じ事を繰り返すのだ......」と自分の意志の弱さを責め立てている頃、目の前にこってりスープが運ばれる。

そして食べ終わる頃には、
「やはり俺の選択は間違っていない。お前だけを愛し続ける!」と、満足感で一杯になり、爛々とした目で店を出る。

意志の弱い自分も全て、こってりスープに肯定されて帰るのである。

このようなループも、少なからず愛を深める一つの要因になっているのではないだろうか。

誤解されないように言っておくが、あっさりスープも勿論とても美味しい。
憧れているからこその悩みである。
しかし、俺は一緒に行った誰かが注文をしたあっさりスープを貰った事はあるが、申し訳無いけど自分で注文した事は無い。

あと、あの赤いロゴマークと店構えについ、食欲をそそられる。
一時期通い過ぎていた時は、"進入禁止"の標識を見ても『天下一品』を思い出していた。
さすがにヤバいので、俺はその時から『天下一品』のある街には決して住まない事に決めたのだ。

ここまで散々熱弁しておいてあれだが、果たしてSkream!さんの貴重なスペースを、こんな為にならない自己満足的な内容に使わせて貰って良いのだろうか。

よし、今日もこってりスープに肯定して貰いに行こう。