Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

DISC REVIEW

N

No Buses

No Buses

No Buses

国境を越えての活動が期待されるバンド No Busesが、2ndアルバムをリリース。トリプル・ギター編成となった彼らが鳴らす音は、表現豊かでメロディックだ。「Number Four or Five」で奏でられる高速ビートや、インスト曲「Biomega」のリフレインする心地よいフレーズも、この作品を語るうえで外せないところ。また、全体に散りばめられたメランコリーな歌詞はダウナーな雰囲気を漂わせている印象だが、"希望はある/大丈夫"(「Not Healthy」/訳)ともあるように、ネガティヴな状態も肯定してくれているように感じる。ボリューム満点に12曲を詰め込んでセルフ・タイトルを冠したのも、"これがNo Busesである"という自信の表れだろう。

Back The Way We Came: Vol 1 (2011 - 2021)

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

Back The Way We Came: Vol 1 (2011 - 2021)

ソロ10周年を機にNoel Gallagher自らが選曲したベスト。OASISのメロディ、ソングライト、アンサンブルの要である彼のDNAはギターの一音、第一声に宿り哀愁を帯び、だからこそどんな人にも優しく腹の底から力を漲らせる。DISC1は1st、2nd中心の選曲でブリティッシュ・ロックのエキスが充満。ラストにはそれにしっくりハマる新曲「We're On Our Way Now」を収録。DISC2はエレクトロやフレンチ・サイケデリック・ポップなどを貪欲に消化した3rdや2019年の『Black Star Dancing EP』などからチャレンジングなスタンスを感じさせる曲を収めた。ボーナス・トラックには"FUJI ROCK FESTIVAL 2012"ライヴ音源も。あの日が甦る。

Who Built The Moon?

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

Who Built The Moon?

ダイナミックなホーンが印象的なウォール・オブ・サウンドで高らかに歌う1stシングル「Holy Mountain」からも伝わる、大きなエナジーに満ちた、これまでとは一線を画す3作目。映画"オーシャンズ"シリーズやPRIMAL SCREAMの『Xtrmntr』などで知られるプロデューサー David Holmesと組んだことが効果を生み、エレクトロの攻撃性とロックンロールにより起きた化学反応が、とてつもなくビッグなサウンドに結実。その音の壁に負けず、かつてないパワフルなヴォーカルで曲そのものを牽引するNoelに、初めて聴く衝撃と共に信頼感が湧き起こる。地元マンチェスターでのテロは彼に憎悪ではなく毅然と前を向かせる作品を作らせたのかもしれない。齢50にして再びキャリアのピークを刻む傑作。

Council Skies

NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS

Council Skies

コロナ禍に地元UKに初めてプライベート・スタジオを作ったという事実がなんともNoelらしい。少年の頃の夢も挫折も染みついた場所で地に足を着け、ソロ・キャリア10年を超えて新たなストーリーを生み出そうというのだから。エレクトロやソウルなど驚きに満ちていた前作のパッションは今作で"これぞUK"なメロディ、円熟したアンサンブルや繊細なストリングス・アレンジにその情熱の矛先を転じた印象だ。Johnny Marrのリリカルなギターが堪能できる「Pretty Boy」、サイケデリック且つロマンチックな導入に目の前の世界が変容する「Dead To The World」、パーカッションがラウンジなムードを醸すタイトル・チューンなど、どの曲も体験的。単なる原点回帰に止まらない発想の豊かさに唸る。

Noise and milk

Noise and milk

Noise and milk

京都にて結成され、"RO69JACK 2012"では見事優勝、様々なフェスやイベントへの出演を経て着実にその名を浸透させているNoise and milk。セルフ・タイトルを掲げた渾身のミニ・アルバムである今作は、新たにギタリストを迎えて4ピース・バンドとなった彼らの意思表示がしっかりと現れている作品だ。足元がぐらぐらする不安定さの中、ガレージ・ロックのような埃っぽさや甘美なノスタルジックさをミックスさせたサウンドで吐き出すその姿はロックンロール。日本語も英語も自由にそのメロディに落とし込む。聴く者を圧倒する迫力を持って牙を剥き出しにしたかと思えば、スケールの大きなサウンドで柔らかく包んだりと、ふり幅の大きさを見せ付けられる。

Focus

NoisyCell

Focus

躍進著しいNoisyCellが、さらなる変化を求め作り上げた全8曲のミニ・アルバム。前作『Wolves』は持っているものすべてを出し尽くした全15曲の大作だったが、バンドの創作意欲は止まるところを知らないようだ。『Wolves』を完成させたことが自信に繋がったのか、ここでも新境地に挑んでいる。それを象徴するのが、四つ打ちのリズムが印象的なエレクトロなダンス・ナンバーの「The Autumn Song」だが、その一方で、バンド・サウンドに回帰しながら「流星の街」でアピールするひと皮剥けたアンサンブルも聴き逃せない。『Wolves』がそうだったように、この作品を作った経験がまたバンドを刺激するに違いない。それが今後どんな作品に繋がるのか。そんなことを期待させるのもひとつの聴きどころだ。

Wolves

NoisyCell

Wolves

アウトロからイントロに戻る円環を描きながら、バンドの集大成と言える全15曲を収録したニュー・アルバム『Wolves』。『Sources』からの3年、バンドが繰り返してきたラウドロックとデジタル・サウンドの融合に止まらない、多彩な表現の追求という挑戦のひとつの答えがここにある。ファンク、R&B、アンビエントなアコースティック・ナンバーを含む曲の振り幅の広さもさることながら、1曲1曲の魅力を際立たせるアレンジにもバンドの成長が窺える。バンドのスケールアップをダイナミックに印象づけるTrack.7「夜」とTrack.14 「真昼の月」は圧巻。アルバムだからこそできる新境地が痛快だ。そんな挑戦を究めたうえで、このアルバムがNoisyCell印の歌を真正面から聴かせるものになった意味は大きい。

BETWEEN THE BLINKS

NOKIES!

BETWEEN THE BLINKS

去年、大阪のレコード・ショップ兼レーベルであるFLAKE RECORDSよりEPをリリースし、デビューした京都の4人組、NOKIES!のファースト・フル・アルバム。去年のEPでは、まるで初期LOS CAMPESINOS!のような、現役大学生という若さをヒシヒシと感じさせるインディー・ポップを鳴らしていた彼ら。だが本作では、よりメロディはスケール感を増し、トライバルなダンス・ビートやポップなシンセ、さらに叙情的な電子音を積極的に消化。格段に表現力の増した音を鳴らしている。きっとこのバンドにとって“誰に影響を受けた”というのは大きな問題ではない。古今東西の様々なサウンドを自分たちの青春のサウンドトラックとして聴ける環境と音楽愛があるからこそ生まれる、実にキュートでドラマチックな名曲集だ。

7songs EP

NOKIES!

7songs EP

昨年11月に、南アフリカのトロピカル・ポップ・バンドDESMOND & THE TUTUSを招聘し4周年イベントを行ったFLAKE RECORDSが送り出す初の日本人バンド。ここがプッシュするアーティストにはハズレが全くないと言っていいほど、FLAKE RECORDSは今日本で最も信頼出来るレーベル&ショップの一つだと個人的には思う。結成間もないという彼らのサウンドは、現在の海外のインディ・シーンの空気を思いっきり吸い込んだ、とても刺激的で疾走感溢れるポップなもの。音源そのものの完成度は決して高いとは言えないが、収録されている7曲全てが総じて魅力的。そして、キャッチーで踊れてスタイリッシュ。海外のインディ・シーンを追いかけている人にはジャストなサウンドかもしれない、2011年注目の新人バンド。

i my me mine

nolala

i my me mine

"元彼のことを曲にする"という言葉通り、実体験から紡ぎ出される言葉の数々はリアルで、何より純度が高い。そんなnolalaの1stフル・アルバムには、これまでの"元彼"との恋愛をはじめ家族のこと、自身のこと、彼女たちの人生そのままを歌った12曲を収録。本音とほんとを曝け出し、この3人ならではのツイン・ヴォーカルとコーラス・ワークを武器に、時に切なく時に瑞々しく、"飾らない私"で勝負する。バンドの決意表明とも取れる「明日が最後でもいいと思えるように」から、そのままの自身を愛し、愛されたいと願う「6畳1Kとジャズマスター」までに現れるいろんな"私"。そのすべての"私"を丸ごと抱きしめ、この先へと進んでいこうとする姿には、もう希望しかない。nolalaの未来を表す1枚が完成した。

水光接天

NOMELON NOLEMON

水光接天

ノーメロ久々のフィジカル・リリースは全世代から支持を得る"るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-"から新作TVアニメ・シリーズ第2期の"京都動乱"篇のEDテーマに抜擢された「水光接天」。緋村剣心をはじめとする登場人物の孤独な旅の過程で抱く想い、その強さと儚さをトライバルなビートや流れるようなピアノのメロディ、透明感の中に芯を感じさせるみきまりあの歌声が明確に表現する。サビでのツミキとのユニゾン・コーラスも清々しく、ノーメロ新境地と言えそう。もう1曲はレトロ・ゲーム調のMVも話題になった「どうにかなっちゃいそう!」。ハイパー且つ生っぽいベース・ラインが病みつきになるキラーチューンだ。対極の2曲がノーメロらしい。

Play game/Spotlight

Non-Holic

Play game/Spotlight

人気インフルエンサー 成瀬とRinによる音楽ユニット、Non-Holicのデビュー作。動画クリエイターと俳優。それぞれ異なる活動拠点を持つふたりが、"セロから真剣に音楽を取り込みたい"という想いで完成させた今作には、SSWのハシバタカナリ、ラッパーのC.Karter、ロック・バンド onepageの大八木 神(Vo)らが作曲陣として集結。恋に振り回されるメロウなヒップホップ「Play game」、アップリフティングするEDMに決意を刻んだ「Spotlight」という、タイプの異なるクラブ・ミュージックに仕上がった。特に、"俺を笑ってたあいつも/この歌で喰らわすデンプシーロール"と熱い想いが込められた「Spotlight」には、彼らを突き動かす原動力が真っすぐな言葉で綴られている。

無自覚の天才

Non Stop Rabbit

無自覚の天才

TVアニメ"転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~"OPで初のアニメ・タイアップとなったノンラビの新曲「無自覚の天才」。"魔物使い"のスキルと"賢者"の力を組み合わせることになる男が主人公の作品に、アーティストとYouTuberのふたつの職業を持つ彼らが書き下ろした本楽曲は、アニメの物語にもバンドのストーリーとも重なるのは必然だ。挑戦の先にしか新たな力を掴むことはできないと説得力を持って歌う滾るロック・チューン。ハイトーンも用い恋人との別れを歌うラヴ・バラード「恋愛卒業証書」、タイトル通り"豆知識"を目いっぱい詞に詰め込んだYouTuberらしいエンタメ精神が表れた「豆知識」と、それぞれまったく異なる色の3曲で多面的に楽しませる。

TRINITY

Non Stop Rabbit

TRINITY

結成5周年を迎えたノンラビのメジャー2ndアルバムのタイトルは、"TRINITY(=三位一体)"。カラフルでポップな音像の中に鋭さを感じさせる「Needle return」、貪欲に高みを目指す本能を爆発させた「BAKEMONO」、ダイナミックなサビへの展開が心地いい「dress」、複雑に絡み合う想いを歌い上げハイトーンが切なさを加速させる「大丈夫じゃない」など、誰もが飲み込みがちな尖った想いや、言葉にするのを憚った感情を自身の音楽に乗せ、幅広いアプローチで聴き手に仕掛けてくる。ラストは、コロナ禍でライヴを一切行わない決断をしてもなお、音楽を生み出し続け歩みを止めない彼らの展望が表れた「未来へ」。この曲が本作の最後に据えられた意味を噛みしめたい。

三大欲求

Non Stop Rabbit

三大欲求

初のアニメ・タイアップ曲「静かな風」("ドラゴン、家を買う。"ED主題歌)を含むメジャー1stシングル。昨年末に発表した『爆誕 -BAKUTAN-』で、ロック・バンドという枠にとらわれないバラエティに富んだ作風をもって、バンドの所信表明をしたノンラビらしく、今作もバンド・サウンドを軸に華やかな上物が楽曲に色を添える。三大欲求すら敵わないほどに夢を掴みたいと歌い上げるポップなリード曲「三大欲求」、自分の信じる道を進めと鼓舞するロック・ナンバー「是が非でも」は、YouTuber活動を売名行為と公言し、ロック・バンドとの二足のわらじでがむしゃらに駆け抜ける彼らだからこそ、説得力があるナンバー。かつて"自力本願"を掲げたバンドの精神は、メジャー・シーンでもまったく変わらない。

爆誕 -BAKUTAN-

Non Stop Rabbit

爆誕 -BAKUTAN-

YouTuber系バンドとして史上初のメジャー進出を果たすNon Stop Rabbitの堂々たるデビュー・アルバム。すれ違う想いを語感のいいメロディで歌い上げる「ALSO」を皮切りに、エレクトロなダンス・トラックにスクラッチとラップが交錯する「TABOO」、ストリングスとピアノが彩る冬のバラード「最後のキス」など、4年間のインディーズ時代に獲得してきたバンドの武器をすべて注ぎ込んで完成させた今作は、ノンラビからメジャー・シーンへの宣戦布告のような1枚だ。舐められがちな"YouTuber系バンド"としての存在を逆手にとった「偏見じゃん」は、バンドの原動力にある反骨精神がまったく鈍磨していないことを示す痛快なナンバー。ここから彼らは"ノンラビ"というジャンルを確立していく。

細胞分裂

Non Stop Rabbit

細胞分裂

フル・アルバムとしては前作『全A面』から約1年半ぶりとなる進化作。バンドの規模感が広がりつつある現状を踏まえて完成させた今作は、これまで以上に幅広くスケール感のある1枚になった。「排他的王道主義」をはじめダンサブルな要素を積極的に取り入れたが、やはり際立つのはロック・バンドとしての鋭さだ。無難に"置きにいく"のではなく、全力で"刺しにいく"。その精神はいっそう研ぎ澄まされている。彼らの原点にある"童謡×ロック"を掛け合わせた初のクリスマス・ソング「aiai」のほか、音でも歌詞でもLINEを表現した「LINEのうた」など、聴き手を飽きさせない全10曲。全体に攻撃力の高いアルバムだが、最後に収録される「二十五の自白」はあまりにも無防備で赤裸々だった。

自力本願

Non Stop Rabbit

自力本願

初の全国流通盤となった前作『全A面』から約半年ぶりのリリースとなるミニ・アルバム。キャッチーで耳馴染みのいい曲を収録した前作を"J-POPアルバム"と言うならば、今作は野心的なロック・アルバムと言っていいと思う。ダンサブルなビートとループするピアノにメッセージ性の強いラップを乗せたリード曲「アンリズミックアンチ」をはじめ、ゆとり世代の反骨精神を剥き出しにした「乱気流」など、20代前半の青年が抱く葛藤を綴った楽曲がインパクトを残す。彼らの真骨頂でもある遊び心溢れる「犬のおまわりさん」や実体験によるバラード曲「君と最後に選ぶ言葉」まで全7曲。"YouTuberバンド"として話題を振りまくだけでない、彼らのロック・バンドとしての本気を感じてほしい。


Warning: Undefined array key "$shopdata" in /home/gekirock2/www/2025skream/diskreview/list/157376.php on line 27
全A面

Non Stop Rabbit

全A面

昨年10月にTwitterで公開された「いけないんだ、いけないんだ」が話題を呼んでいるYouTuberバンド、Non Stop Rabbitの初のフル・アルバム。絢香、YUI、いきものがかりらを手掛ける鈴木Daichi秀行がサウンド・プロデュースを担当した今作は、タイトルの"全A面"が表すとおり、"サビ始まり"の曲が多く、すべてがポップでキャッチー。ベース・ヴォーカルが率いる3ピースのバンド・サウンドを軸にしながら、ストリングスやシンセを多用した色鮮やかなアレンジが特徴的だ。"最高速度ぶっ飛ばして止まらないから"と歌い、"止まらないうさぎ"の初心を疾走感溢れるビートに乗せた「PLOW NOW」から、切ないラヴ・ソング「SHION」や「僕ら」まで、"全A面"の名に恥じない王道J-POP盤。

MAKE UP TO BREAK UP

noodles

MAKE UP TO BREAK UP

アルバム1曲目を飾るのは、PIXIESの名盤『Doolittle』から「Wave Of Mutilation」。ずっしりとしたビートと乾いたギター、そしてどこかメランコリーも帯びたようなスモーキーなYokoのヴォーカルでカバーされたこの曲にまず、ぐいっと掴まれる。80年代、90年代のカレッジ・ロック、インディー・ロックにどっぷりだった世代や、クラブ通いしていた人たちのなかにはきっと、音楽から遠ざかってしまった人もいるかもしれない。そんな人たちの青春期の甘酸っぱさも呼び起こしつつ、YMOやBUCK-TICKというnoodlesとはイコールで結びつかないような意外性の高い曲もある。“noodlesポップのひみつ”というものが意外な選曲にも込められているんだろう。カバー・アルバムは一生に1枚かも、と語っているが、もっとこのひみつを聴きたい思いも募る。

スピードアップ

noovy

スピードアップ

台湾バンド初の日本アニメ・タイアップ獲得という快挙を成し遂げたnoovyの新作は、そのアニメ"ゾイドワイルド"EDテーマ「スピードアップ」を表題に据えた3曲入りシングルだ。表題曲は切なげな雰囲気が漂いながらも、歌詞にはここからさらに勢いを増して駆け抜けていきたいというメンバーの気概が示されている。タイトルのイメージに反してミドル・チューンに仕上がっており、メンバー全員が20代となったnoovyの大人な一面を感じることができる1曲だ。c/wにはライヴで盛り上がること間違いなしのロック・ナンバー「Fade to Black」と、ポップでキュートなラヴ・ソング「In my Dreams」も収録。なお、今作の活動をもってHank(Gt/Cho)が卒業することが決まっている。

LION

noovy

LION

2017年1月から日本での活動をスタートさせた台湾の4人組ボーイズ・バンドがついにリリースする1stフル・アルバム。メジャー・デビュー以降にリリースした3枚のシングルの表題曲を含め、全12曲を収録。勇ましいロック・ナンバーから切ないアコースティック・ナンバーまで、バンドのポテンシャルを裏づける多彩な曲の数々は新たな挑戦によってさらに幅広いものになっている。その意味では、ダンス・ビートがパーティー気分を盛り上げる「Wild」、オーケストラをフィーチャーした壮大なバラード「All This Beauty」、女性シンガーとデュエットしたバラード「僕たちの花火(feat. あさぎーにょ)」が聴きどころと言えそうだ。ウェルメイドな作風を凌駕するメンバー4人のポジティヴなエネルギーがとても気持ちいい。

LION DANCE

noovy

LION DANCE

オリコン・デイリー・ランキング9位を獲得した前作『Singin' for you』でラヴ・ソングに挑戦し、新境地を見せた台湾の4人組ボーイズ・バンド noovy。今回完成させたのは、コミカルでユーモアたっぷりのロック・ナンバーだ。夏休みをダラダラと過ごす学生の気持ちや様子を描き、言葉遊びや振付がユニークで楽しい1曲となっている。カップリングには、大人気YouTuberとコラボし、随所でファルセットを効かせた美しく透明感のあるShawn(Vo/Gt)の声が切なく響く「僕たちの花火(feat. あさぎーにょ)」と、ライヴでは定番曲としてすでに大人気のパンク・チューン「Thunderbolt」を収録。現在19~21歳という、子供から大人に移りゆく時期だからこそ表現し得た多彩な3曲が、今のnoovyの魅力を存分に表している。

Singin' for you

noovy

Singin' for you

日本での活動をスタートさせ、2017年9月にシングル『Garage』でメジャー・デビューした台湾の4人組ボーイズ・バンド、noovy。「Garage」では挫折を乗り越え、夢を追う気持ちを歌っていたが、続くこのシングルではラヴ・ソングに挑戦している。ミッド・テンポのアコースティック・サウンドが新境地を印象づける表題曲など、それぞれにテイストが違う計3曲を収録。Shawn(Vo/Gt)が作詞作曲した「First Kiss」は、軽快なロック・ナンバーで、ちょっとWEEZERを思わせるアメリカン・テイストも。ファンにはお馴染みの曲を英語の歌詞に変えた「bye bye darling (English ver.)」は、オールディーズとニュー・ウェーヴの出会いを思わせるロックンロール。このレトロなテイストも彼らの持ち味だ。

Garage

noovy

Garage

今年1月に活動の場を日本に移してから精力的にライヴを行ってきた台湾の4人組、noovyが初の全国流通盤となるミニ・アルバム『ONE』のリリースを経て、満を持してメジャー・デビュー。メジャーからのリリース第1弾となるシングルの表題曲にライヴでも人気のアンセミックなロック・ナンバーの「Garage」を選んだのは、挫折を乗り越えるきっかけになった曲であることに加え、ライヴを通してファンを増やしてきたという自信があるからだ。ピアノとアコースティック・ギターの音色が映えるフォーキーなJ-POPナンバー「イチバンボシ」と英語で歌ったオルタナ調のギター・ロック「Hey! Ho!」の2曲をカップリング。半年間過ごした日本での暮らしを歌った前者の歌詞に等身大の4人の姿が窺える。

ONE

noovy

ONE

今年1月から日本で精力的にライヴ活動を行ってきた平均年齢19歳の4人組、noovyがいよいよ全国デビュー。日本・台湾のみならず、ゆくゆくはアジア各国で活躍できるバンドを目指しているそうで、中国語、英語、日本語が入り交じる全6曲が収録されている。EDMが好きというメンバーがいるからか、シンセやダンサブルなビートも巧みに使って、10代ならではのキラキラとした輝きをアピールしながら鳴らす、バラードも含む多彩な6曲から浮かび上がるのは、エネルギッシュなロックンロール~パワー・ポップ・バンドの姿だ。もっとも、メンバーたちがひとつの形にとらわれずに、その時々でやりたいことを自由にやりたいと語っていることを考えると、これは彼らの一面と考えた方がいいかもしれない。

Tensegrity

Nornis

Tensegrity

豪華クリエイター陣が楽曲を提供し、VTuberという枠を飛び越えて広がっていきそうなクオリティとなった。壮大なストリングスをバックに戌亥とこ、町田ちまそれぞれの実力と個性が光る表題曲の1曲目から、強烈なインパクトを発揮。亀田誠治が作詞作曲、さらに演奏にも参加しているポップなメッセージ・ソング「Deep Forest」、言葉遊びのような呪文のような歌詞と曲調の中で、"ジョハリの窓"――自己分析が行われる「ジョハリ」、和楽器バンドの山葵(Dr)が作詞作曲した、Nornis史上最高に明るい「innocent flowers」、そして、戌亥と町田が作詞を手掛けた「Min-night」。幅広い音楽性に挑戦しながら、豊かな表現力を手に入れたふたりの軌跡が感じられる。

The Pages

町田ちま

The Pages

"にじさんじ"所属のVTuberユニット Nornisとして戌亥とことタッグを組んでいる町田ちまが、このたびソロで1stミニ・アルバムを完成させた。錚々たるクリエイターが紡いだ5つの"物語"を、しなやかにハイトーン・ヴォイスを使いこなしながら歌い上げている。なきそ作詞作曲の「背後に注意」は、"背後に注意"、"吐いたらご自由に"という小気味良くもドキドキするリフレインが、町田がピュアに歌うことによって、より印象的な仕上がりになっている。かと思えば、ひろき(リリィ、さよなら。)作詞作曲の「つぎはぎどうし」は、シンプルなバラードで、疲弊した心身にじんわり染みわたるような温かさがある。まるで短編小説を読んでいるような曲ごとの鮮やかな変化に、町田の表現力が感じられる佳作。

Telescope

戌亥とこ

Telescope

OSTER projectやmajikoなど、VTuberの世界に詳しくない人にも知られているような名だたるクリエイターが楽曲を提供。すでにVTuberとして多大な人気を博しているとは言え、1stミニ・アルバムとしてはプレッシャーでは......という心配を飄々と跳ね除けるように、多彩な全5曲を魅力的なロー・ヴォイスでのびのびと歌い上げている。特にシティ・ポップのエッセンスの乗りこなし方がしなやかで、VTuberの世界を飛び越えるだけではなく、海外の注目度も高めていきそうな予感がする。ゆったりと聴けるかと思いきや、"腹を空かせた赤鬼が言う「どちらまで?」"と、戌亥とこが見せるひとつの個性=地獄の風景が描かれている「六道伍感さんぽ」など、どの楽曲も聴き応えたっぷりだ。

It's All Smiles

NO ROME

It's All Smiles

フィリピン出身、THE 1975のMatthew Healy(Vo/Gt)に見いだされ現在はロンドンを拠点に活動するNO ROME。CHARLI XCXやA. G. Cookといった名だたるアーティストとのコラボで注目を集める彼の、初となるアルバムが本作だ。共同プロデュースにCHARLI XCX、BON IVERなどを手掛けるBJ BurtonやTHE 1975のGeorge Daniel(Dr)らを迎え、ノイズ・ギターが奏でるオルタナティヴからブレイクビーツによるエモ・ラップ、ベース・ミュージックの要素までシームレスに繋いだサウンドを展開。そこにNO ROMEの憂いを帯びながらもどこか温もりのある歌声が合わさって、センチメンタルながら心地よい世界に浸ることができる。

Criminal Art Lovers

NORTHERN PORTRAIT

Criminal Art Lovers

WOULD-BE-GOOD、THE LUCKSMITHS、RAZORCUTS等の良質なポップソングを数多くリリースしてきた、USのインディー・レーベル「Martinee Recordings」に所属する、デンマークはコペンハーゲン出身の5ピース・バンドNORTHERN PORTRAITのデビューアルバム。既に廃番となっている1st E.P『THE FALLEN ARISTOCRACY』と2nd E.P『NAPOLEON SWEETHEART』が、日本のネオアコ&インディ・ギター・ポップ・ファンの間で話題となり、本作がリリースとなったそうだが、それも納得。胸躍るキラキラしたギターの音色、風がふきぬけるような清涼感と、日の光に包まれているような暖かく穏やかな空気は、どこまでも心地良く、常に優しく、そして楽しい。派手さはないが、何気ない日常を輝かせ、特別にしてしまうこの音楽は、愛おしくてたまらない。ポップでない音など一つもない世界。カラフルな音がそこらじゅうにちりばめられた、至福の空間が広がっている。

Layers Of Love United

NORTON

Layers Of Love United

文化は国境を越えるとはよく言ったものだ。物理的な距離からいえば、日本から遥か遠く離れたヨーロッパの空気に触れるのは生易しいことではない。しかし音楽を媒介とすれば、たちどころにその空気の匂いや温度を感じることができる。ポルトガルのバンド・NORTONもまた、はっきりとした粒でサウンドを形作り、遠くの地においてもその感触を擬似体験させてくれる。TWO DOOR CINEMA CLUBよりも色香を滲ませ、DEATH CAB FOR CUTIEよりも無邪気で口当たりがよい。局所的に沸点を上げ急激に麻痺させる対照的に、ほろ酔いのようなじんわりとした心地よさで満たす。ダンサブルなサウンドに傾倒することのない、バランスの良さが程よく力の抜けた空間を創り出す。彼ら自身、ワンダーランドな「Japan」を創り出し、足を踏み入れている。それは、現実非現実の境をさまよう白昼夢なのかもしれない。

サヨナラのわけ

Nostalgic four past and Cigarette end

サヨナラのわけ

メンバー・チェンジを経て、一回りも二回りも大きくなったノスタルジックが1stミニ・アルバムをリリースする。スタンダードかつストレートなギター・ロックは彼らの衝動がすり込まれたような熱量があり、歪みまくったハイトーン・ヴォーカルから紡ぎ出されるエモーショナルなメロディは聴いた者の胸を掴んで離さない。炸裂する珠玉のギター・フレーズは鋭く鳴り響き、曲の重心を支えるリズム隊はうねるように躍動する。ノスタルジックの音楽はロックンロール・ファンから、アンダーグラウンドなハードコア・ファンまで聴き手を選ぶことなく平等に鳴らされる。同じ目線に立って日常への思いを吐き出してくれるような親近感と、代弁者としての使命感が表れたたしかな手ごたえを感じる作品となった。

Moral Panic

NOTHING BUT THIEVES

Moral Panic

前作『Broken Machine』が過去最高の全英チャート2位を記録し、2015年のデビュー以来快進撃を続けているNOTHING BUT THIEVES。前作と同じくプロデューサーにMike Crosseyを迎えた3年ぶり新作では、ソリッドなギター・リフとそしてConor Masonの歌唱力という武器に磨きをかけつつ、アリーナ・クラスのダイナミックなサウンドへと破格の進化を遂げている。ラウドロック並みの圧力を持ったTrack.1、10から、ドラマチックな情景を魅せるTrack.4、11まで、緊張と美意識を湛えた圧巻のロックを展開している。比較されることが多い先輩 MUSEの『Absolution』のように、大躍進の3rdアルバムになる可能性は十分だ。

Nothing But Thieves

NOTHING BUT THIEVES

Nothing But Thieves

デビュー前にもかかわらず、ARCADE FIREのサポート・アクトに抜擢され、本国UK最大規模のフェスティバル"Reading And Leeds Festivals"に出演、すでにサマソニで来日済みという驚異の新人NOTHING BUT THIEVESが満を持してドロップする1stアルバム。ここでは、ガツンと来るパワフルなロック・チューンやカオティックなうねりのあるラウド・ナンバー、純英国的な憂いや湿り気を漂わすバラードなど、バラエティ豊かでハイクオリティな楽曲が立ち並ぶ。だからといって統一感がなく散漫な印象を受けないのは、Jack White並みに妖しくセクシーなConorMason(Vo)の歌声がそのまま今作の作品性を形作っているからと言えそうだ。ROYAL BLOODらと共に停滞気味のロック・シーンに風穴を開ける1枚。

ANSWER

Nothing's Carved In Stone

ANSWER

否応なしに誰も経験したことのない環境に放り込まれたこの約2年、いや、その前から不変の姿勢で自分たちがやるべきことを探り、試し続けてきたなかで見つけた"答え"なのだろうか。過去を初めて振り返り、その音を最新型に更新したセルフ・カバー盤、配信/有観客ライヴを経ての待望のオリジナル・アルバムだ。オープニングの「Deeper,Deeper」のヘヴィで厚く歪みが効いた音像から、感じてきたものを下敷きに、今を新たな出発地点としてさらに先へ突き進む、強力な気骨が響く。颯爽としたロック・チューン「Beautiful Life」、ドラマチックに胸の奥から聴き手を鼓舞する「Walk」などサウンドの幅は広いが、そのどれもを"ここから共に行こう"という想いがストレートに貫いており、身体の芯を熱くさせる。

Futures

Nothing's Carved In Stone

Futures

配信シングル「NEW HORIZON」、「Dream in the Dark」を含む2枚組全20曲収録の今作は、ナッシングス初のセルフ・カバー・ベスト盤。ライヴで磨き込まれ、強度を増したサウンドでリテイクされた最新のナッシングスがパッケージされた。トレンドに左右されず、ギター・オリエンテッドなロック・ミュージックが生み出すダイナミズムや高揚感、きらびやかで痺れるような甘美さをアップデートしてきた彼ら。「NEW HORIZON」などはその最たる形だ。曲の展開図としてはアンセミックなシンガロングやアイディアたっぷりのフレーズ、インプロ的な醍醐味もあるアンサンブルなど面白さは尽きない。そして何よりその音に触れたときに弾けるような衝撃を持つ。今作ではバンドの放つその衝撃を何度も味わえる。

By Your Side

Nothing's Carved In Stone

By Your Side

自主レーベルを立ち上げ、フル作としては第1弾になる10thアルバム。エンジニアやスタジオなど環境を変えて挑んだ今作は、曲作りにもメンバー4人で一丸となって励んだそう。"音楽で何を伝えるべきか"に焦点を絞った内容は、バンド・サウンドがグッと高まった印象だ。とはいえ、プレイヤーの持ち味は失われておらず、むしろ存在感が際立って聴こえてくるマジックも感じられる。大きな場所で映える楽曲を揃えた前作を経て、今回はリスナーとの距離感を縮めた作風が並ぶ。最新の音色に目を配りつつ、人肌の温かみが漂っているのもNCISらしい。また、シンプルな音像に比例して歌詞もかなり直球になっているのもポイント。僕たちが鳴らす音楽が誰かの希望や救済になればいい。その祈りにも似た歌詞が胸に突き刺さる。

Beginning

Nothing's Carved In Stone

Beginning

新レーベル"Silver Sun Records"を立ち上げた彼らから2曲入りニュー・シングルが到着。表題曲は新たな船出を祝うのに相応しい楽曲だ。イントロから数秒で"名曲"の予感が漂い、聴き進めるうちにそれを確信した。個性の強い名手揃いの演奏陣を背に、王道感のあるメロディを堂々と歌い上げる村松 拓(Vo/Gt)の存在感が際立っている。もっと言えば、口ずさみたくなるポップな歌メロが素晴らしいのだ。カップリング曲は5thアルバム『REVOLT』(2013年)に収録され、ライヴでも人気が高い「Bog」の再録。原曲から大きくアレンジを変更しているわけではないが、各楽器の音色はクリアになり、楽曲の明度と深度の両方が高まっている点も特筆すべき。聴き応えありまくりの2曲だ。

Mirror Ocean

Nothing's Carved In Stone

Mirror Ocean

1年2ヶ月ぶりとなる9thアルバムはメンバーも語っていたとおり、冒頭の1、2曲目から新しくも揺ぎないNCIS節を威風堂々と響かせるスケール感のある曲調。今年結成10周年に辿り着き、何をやっても自分色に染め上げる手腕に驚くばかり。ベースが牽引するリズミックな「Directions We Know」における村松 拓(Vo/Gt)の歌声は新鮮だし、生形真一(Gt)の中毒性の高いギター・フレーズが印象的な「Stories」も実にユニーク。とはいえ、ものすごく突飛なことをしているというより、バンドが心底楽しんでプレイしている様が伝わってくるのがNCISの面白さ。そして、ラストを締めくくるアコギ弾き語り調の「青の雫」も感動的で、懐の深い音色に心を奪われる。作品トータルの流れも味わいたい傑作だ。