Japanese
2021年12月号掲載
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結成5周年を迎えたノンラビのメジャー2ndアルバムのタイトルは、"TRINITY(=三位一体)"。カラフルでポップな音像の中に鋭さを感じさせる「Needle return」、貪欲に高みを目指す本能を爆発させた「BAKEMONO」、ダイナミックなサビへの展開が心地いい「dress」、複雑に絡み合う想いを歌い上げハイトーンが切なさを加速させる「大丈夫じゃない」など、誰もが飲み込みがちな尖った想いや、言葉にするのを憚った感情を自身の音楽に乗せ、幅広いアプローチで聴き手に仕掛けてくる。ラストは、コロナ禍でライヴを一切行わない決断をしてもなお、音楽を生み出し続け歩みを止めない彼らの展望が表れた「未来へ」。この曲が本作の最後に据えられた意味を噛みしめたい。(是永 鈴菜)
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Related DISC REVIEW
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Non Stop Rabbit
無自覚の天才
TVアニメ"転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~"OPで初のアニメ・タイアップとなったノンラビの新曲「無自覚の天才」。"魔物使い"のスキルと"賢者"の力を組み合わせることになる男が主人公の作品に、アーティストとYouTuberのふたつの職業を持つ彼らが書き下ろした本楽曲は、アニメの物語にもバンドのストーリーとも重なるのは必然だ。挑戦の先にしか新たな力を掴むことはできないと説得力を持って歌う滾るロック・チューン。ハイトーンも用い恋人との別れを歌うラヴ・バラード「恋愛卒業証書」、タイトル通り"豆知識"を目いっぱい詞に詰め込んだYouTuberらしいエンタメ精神が表れた「豆知識」と、それぞれまったく異なる色の3曲で多面的に楽しませる。
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Non Stop Rabbit
TRINITY
結成5周年を迎えたノンラビのメジャー2ndアルバムのタイトルは、"TRINITY(=三位一体)"。カラフルでポップな音像の中に鋭さを感じさせる「Needle return」、貪欲に高みを目指す本能を爆発させた「BAKEMONO」、ダイナミックなサビへの展開が心地いい「dress」、複雑に絡み合う想いを歌い上げハイトーンが切なさを加速させる「大丈夫じゃない」など、誰もが飲み込みがちな尖った想いや、言葉にするのを憚った感情を自身の音楽に乗せ、幅広いアプローチで聴き手に仕掛けてくる。ラストは、コロナ禍でライヴを一切行わない決断をしてもなお、音楽を生み出し続け歩みを止めない彼らの展望が表れた「未来へ」。この曲が本作の最後に据えられた意味を噛みしめたい。
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Non Stop Rabbit
三大欲求
初のアニメ・タイアップ曲「静かな風」("ドラゴン、家を買う。"ED主題歌)を含むメジャー1stシングル。昨年末に発表した『爆誕 -BAKUTAN-』で、ロック・バンドという枠にとらわれないバラエティに富んだ作風をもって、バンドの所信表明をしたノンラビらしく、今作もバンド・サウンドを軸に華やかな上物が楽曲に色を添える。三大欲求すら敵わないほどに夢を掴みたいと歌い上げるポップなリード曲「三大欲求」、自分の信じる道を進めと鼓舞するロック・ナンバー「是が非でも」は、YouTuber活動を売名行為と公言し、ロック・バンドとの二足のわらじでがむしゃらに駆け抜ける彼らだからこそ、説得力があるナンバー。かつて"自力本願"を掲げたバンドの精神は、メジャー・シーンでもまったく変わらない。
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Non Stop Rabbit
爆誕 -BAKUTAN-
YouTuber系バンドとして史上初のメジャー進出を果たすNon Stop Rabbitの堂々たるデビュー・アルバム。すれ違う想いを語感のいいメロディで歌い上げる「ALSO」を皮切りに、エレクトロなダンス・トラックにスクラッチとラップが交錯する「TABOO」、ストリングスとピアノが彩る冬のバラード「最後のキス」など、4年間のインディーズ時代に獲得してきたバンドの武器をすべて注ぎ込んで完成させた今作は、ノンラビからメジャー・シーンへの宣戦布告のような1枚だ。舐められがちな"YouTuber系バンド"としての存在を逆手にとった「偏見じゃん」は、バンドの原動力にある反骨精神がまったく鈍磨していないことを示す痛快なナンバー。ここから彼らは"ノンラビ"というジャンルを確立していく。
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Non Stop Rabbit
細胞分裂
フル・アルバムとしては前作『全A面』から約1年半ぶりとなる進化作。バンドの規模感が広がりつつある現状を踏まえて完成させた今作は、これまで以上に幅広くスケール感のある1枚になった。「排他的王道主義」をはじめダンサブルな要素を積極的に取り入れたが、やはり際立つのはロック・バンドとしての鋭さだ。無難に"置きにいく"のではなく、全力で"刺しにいく"。その精神はいっそう研ぎ澄まされている。彼らの原点にある"童謡×ロック"を掛け合わせた初のクリスマス・ソング「aiai」のほか、音でも歌詞でもLINEを表現した「LINEのうた」など、聴き手を飽きさせない全10曲。全体に攻撃力の高いアルバムだが、最後に収録される「二十五の自白」はあまりにも無防備で赤裸々だった。
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Non Stop Rabbit
自力本願
初の全国流通盤となった前作『全A面』から約半年ぶりのリリースとなるミニ・アルバム。キャッチーで耳馴染みのいい曲を収録した前作を"J-POPアルバム"と言うならば、今作は野心的なロック・アルバムと言っていいと思う。ダンサブルなビートとループするピアノにメッセージ性の強いラップを乗せたリード曲「アンリズミックアンチ」をはじめ、ゆとり世代の反骨精神を剥き出しにした「乱気流」など、20代前半の青年が抱く葛藤を綴った楽曲がインパクトを残す。彼らの真骨頂でもある遊び心溢れる「犬のおまわりさん」や実体験によるバラード曲「君と最後に選ぶ言葉」まで全7曲。"YouTuberバンド"として話題を振りまくだけでない、彼らのロック・バンドとしての本気を感じてほしい。
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Non Stop Rabbit
全A面
昨年10月にTwitterで公開された「いけないんだ、いけないんだ」が話題を呼んでいるYouTuberバンド、Non Stop Rabbitの初のフル・アルバム。絢香、YUI、いきものがかりらを手掛ける鈴木Daichi秀行がサウンド・プロデュースを担当した今作は、タイトルの"全A面"が表すとおり、"サビ始まり"の曲が多く、すべてがポップでキャッチー。ベース・ヴォーカルが率いる3ピースのバンド・サウンドを軸にしながら、ストリングスやシンセを多用した色鮮やかなアレンジが特徴的だ。"最高速度ぶっ飛ばして止まらないから"と歌い、"止まらないうさぎ"の初心を疾走感溢れるビートに乗せた「PLOW NOW」から、切ないラヴ・ソング「SHION」や「僕ら」まで、"全A面"の名に恥じない王道J-POP盤。