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戸塚慶文原作の人気漫画"アンデッドアンラック"がアニメ化、その第2クールのエンディング・テーマに書き下ろした「この愛に敵うもんはない」。原作のファンだというオカモトショウ(Vo)が、主人公ふたりがリアルの世界に生きていると想定して書いたという歌詞は、愛する相手の悲しみや苦しみすべてを引き受けるという、原作に通じるもの。特異なストーリーがストレートなラヴ・ソングを生む好例だ。ドライヴするユニークなギター・サウンドをフックに開かれたR&Rに落とし込んでいるのも、何周か回って十八番を堂々と鳴らしている印象。2曲目の「カーニバル」はオカモトコウキ(Gt)の作詞作曲。彼の作風には珍しいオーセンティックなフォーク・ロックで、ナチュラルな音像だが、知らないどこかを夢想しているような新鮮な1曲。
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フィジカル・パッケージのシングルはなんと2016年の『BROTHER』以来となる本作は、人気漫画を原作とするTVアニメ"Dr.STONE"第3期エンディング・テーマとして書き下ろした新曲だ。作曲はアルバム『KNO WHERE』以降最強タッグになったオカモトショウ(Vo)とオカモトコウキ(Gt)で、彼らのレパートリーの中でもファンクとロック両方の旨味と哀愁を混交した世界観。いわば"レッチリDNA"をここまで極上のアンサンブルで落とし込めるバンドは、国内外を見渡してもいないのではないだろうか。石器時代から現代まで一気貫通する冒険譚に漂うスケール感と人間愛を、普遍的な人生の物語として歌詞に落とし込んだショウの歌は、奇しくも先の見えない現代とシンクロする。ライヴでもほぼそのままの音像なので現場でも確認してほしい1曲。
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OKAMOTO'Sのコラボレーション・アルバムとはいったい? と妄想していたら、相手はメンバー。4人が曲のプロデューサーとなって自由にアイディアを出したことで、音楽的なキャラクターが明快に。「Gimme Some Truth」の90s UKロック~THE BEATLESを彷彿させる大展開、オカモトレイジ(Dr)とオカモトコウキ(Gt)作曲のアルバム・タイトル曲は、コウキの声に似合うネオアコっぽいメロとトリップ・ホップのビートやネタの差し込みが新鮮。ハマ・オカモト(Ba)のスラップが前面に出た「いつも、エンドレス」は、AOR歌謡的なアレンジに。他にもストレートすぎてこれまで着手していなかったコード進行も、腹の底からパワーが出そうな音像も、彷彿どころか"OASISじゃん!"な曲も、むしろ4人のバンド・サウンドが際立つ高度な仕上がり。
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時間をかけて紡ぎあげられたことが美しくきらめく音の粒から伝わる、約2年ぶりのアルバム。TAIKING(Suchmos)、澤 竜次(黒猫チェルシー)、マスダミズキ(miida)らとの音作りは、懐かしい要素をいかに新しく聴かせるかというレア・グルーヴ感があり、近年のシティ・ポップ・ムーヴメントにも通ずる。そしてそこに、とびきり人懐こい彼の声がベスト・マッチ。OKAMOTO'Sのギタリストのソロ作、といったイメージで聴くといい意味でひっくり返るに違いない新鮮な仕上がりだ。"喪失と時間"について描いた本作は、この2年のどこか空っぽに感じる心模様が素直に落とし込まれているが、実はそれってコロナ禍と関係なく存在していた感覚なのかも、と思わせられたりもした。心地よいうえに聴き応えも充分の名盤。
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デビュー10周年というキャリアもあるが、彼らはTHE WHOらが編んできた物語性のあるロック・ミュージックを作れる数少ない日本のロック・バンドであることを改めて実感する。音数を整理したRED HOT CHILI PEPPERSのようなアンサンブルで生業について歌う表題曲にしろ、反復するビートに乗せ、世界で起こっている暴動を身近に感じながら、しかしこの国では起こらないであろう虚無感が滲む「Riot」にしろ、以前、彼らが『OPERA』で実現したことのさらに図太いやり口に感じられる。BRIAN SHINSEKAIがアレンジで参加している「MOTEL」のピアノもギターのどこか70年代風なムードも不穏且つ耳新しい。このEPは2020年のOKAMOTO'Sの全容のさわり且つ大事な伏線である予感がする。
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中学の同級生で結成し、10代でデビューした彼らは"BOY"というワードが似合いすぎるバンドだ。デビュー10年を経て客観的になれたからこそ冠することのできたタイトルだし、ある種象徴的。誰より早くロック・バンドでファンク的なグルーヴを導入した彼らだが、今作では「Dreaming Man」に代表される8ビートが圧倒的に多い。また、NHK「みんなのうた」に起用された「DOOR」でのTHE BEATLES的アレンジへの昇華も新鮮だし、LOVE PSYCHEDELICOのNAOKI(Gt)を共同アレンジャーに迎えた「Dancing Boy」は珍しくU2からのリファレンスを感じられる作風。他にも00年代ヒップホップの匂いのミクスチャーなど、そのセンスの奥深さは音楽好きのタイム感とツボを突きまくる。
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音楽は溢れているけれど一瞬で消費されてしまう、今の状況を象徴するテーマを打ち出した本作。"昨日の続きのようなすっきりしない今日"を歌うリード曲「90'S TOKYO BOYS」のファンク/ヒップホップを呑み込んだグルーヴ、ダルなギャングスタ・ムードの中でアイデンティティ崩壊寸前のメンタルを歌う「Cold Summer」、タイトルに反して本当はかけがえのないものとして存在し続ける音楽について歌う表題曲、ポップ・マエストロ 堂島孝平をプロデューサーに迎え、オカモトコウキ(Gt)のスウィートな資質がさらに押し出された「WENDY」、珍しくグランジーな「SAVE ME」など、どの曲も"いい加減ほんとのこと言えよ"的なヒリヒリ感が根っこにある。カラ元気はいらない、哀しみを認めて前へ進むためのハイブリッド・ロックの誕生だ。
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アナログと配信のみの『BL-EP』にしろ、ライヴ音源とライヴ映像で構成された今回にしろ、今のOKAMOTO'Sは必然性のあるリリースしかしていない。それにしても日比谷野音のライヴからもう半年経過しているにもかかわらず、あの日最後に演奏され、熱狂と歓喜が爆発した「Dance With You」を聴くと、全県ツアーで獲得した自分たちの存在意義や、時代とリンクした手応え、彼らの信じるR&Rの強度に涙が出そうになる。およそ今のR&R、R&B、ファンクの美味しいところをすべて凝縮したようなOKAMOTO'Sのレパートリーの中でも、その振り幅を象徴するライヴ・テイク5曲と、ツアー中に制作した「ROCKY」のスタジオ・テイクからなるCD。Blu-rayは日比谷野音公演をコンプリート収録した永久保存版。
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楽曲の参照点としてTHE ROLLING STONESやらRED HOT CHILI PEPPERSや80'sのファンクがあるんじゃなくて、バンドの肉体性や精神にそうしたカッコいい洋楽の美学がもう根付いちゃっているのである、OKAMOTO'Sは。しかもカオスなまでに様々なジャンルを呑み込んだ怪作『OPERA』のあとの作品なわけで通り一遍のアレンジじゃない。でもパッと聴くにはゆるいぐらいな「BROTHER」の本物感。それにしてもオカモトショウが描く自身のアイデンティティに関わる英語詞のリアリティが泣ける「Lagoon」。日本語だとある種、ロック的なスタイルに着地しがちな彼の言葉が今回はグッと生々しく表現されたことも本作収録の「BROTHER」と「Lagoon」の大きな成果だろう。コウキ作の「なんかホーリー」は太いファンクに乗るスウィートさが絶妙なバランス。
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シングル「Dance With Me」でショウが語る冒頭部分の怒気と切なさが混じったあの強烈なインパクトを信用したリスナーは、このアルバムでさらにOKAMOTO'Sというバンドが持つ迫力を知ることになるだろう。このロック・オペラのストーリーはこうだ。泥酔した主人公はカギとケータイとサイフをなくして、街を彷徨い、自分の内面でも彷徨い......自分にとって必要なものを探しながらさらに傷つく。のだが、これまでの彼らの文脈にない相当振り切ったテクノやヒップホップや往年のファンクやオルタナ要素が曲ごとに色濃く打ち出され、そのアレンジは時にコミカル、時に歌詞とともにシリアスに迫ってくる。まさに映画より小説より生々しい、だからこそ"ロック・オペラ"なのだろう。ここまで突き詰めた4人に感服。
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CDデビュー5周年を迎え、1月に5thアルバムをリリースしたばかりのOKAMOTO'Sによる"5.5th"アルバムは5組のアーティストとのコラボレーション作品。RIP SLYMEとはAEROSMITH & RUN-D.M.Cばりのオールド・スクールな王道ヒップホップとハード・ロック・サウンドの融合を聴かせ、スカパラとは大編成イケイケ音楽部隊と化し、Wilson PickettばりにシャウトするROYとはクロさ全開で渡り合う。タイトルと曲調から"民生愛"がビンビン感じられる「答えはMaybe」と、いずれもOKAMOTO'Sならではの、この企画を実現できる実力と各アーティストへの敬意を感じさせる内容。中でもラストの黒猫チェルシーとのデュエット「Family Song」が出色で、2組の友情を感じさせる感動的な楽曲となっている。
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CDデビュー5周年にあたる2014年にリリースされるメジャー5thアルバム。"夢を殺して"というサビが強烈で、ある種アルバムの原動力となった、現状を越えていく意思がみなぎる「Kill Dreams」、くるりの岸田繁がプロデュースとアレンジで参加した、シンプルだがこれまでにない広がりを感じるR&R「HAPPY BIRTHDAY」、SOIL&"PIMP"SESSIONSのタブゾンビ、元晴、丈青が参加した2トーン・テイストの「Let's Go! Hurry Up!」、Phil Spectorや大滝詠一らへのオマージュ的なサウンドへの挑戦も新鮮なラストの「虹」までOKAMOTO'Sのルーツ・ミュージックへの造詣の深さが10年代のサウンドやポップネスへと昇華された全11曲。4つ打ちにアプローチした「JOY JOY JOY」もアルバムの中でさらに光っている。
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10 代にして、時代錯誤な匂い漂う音を生々しく響かせるOKAMOTO'S。学園祭で話題をさらっていたキッズ達は、瞬く間にその名を全国、そして全米にまで轟かせた。なんとも末恐ろしい才能である。OKAMOTO' S のロックには、綺麗な女の子と眩く輝くネオンのぎらつきがぎゅうぎゅうに詰められている。圧倒的な熱量が駆け巡るサウンドは、文字通り世代を超えて、エネルギッシュな奔放さで私たちを翻弄する。彼らのライヴさながらのスピードでリリースされた本作では、街の空気に漂う酒臭い裏通りの匂いやざわめきを感じさせながらも、向こう見ずなエネルギーが更に増幅されている。"人間大嫌い" と叫んでいながら、そこにあるのは愛と焦燥なのだ。悔しいけれど、彼らの思惑通り、すでに私たちはオカモトズに夢中。そう、全ては"ここから始まる" のです。
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メンバー全員が岡本太郎好きだというOKAMOTO'Sの2ndアルバム。成長期には1年間で10センチ以上も背が伸びることがあるというが、まさに10代の成長は目覚ましく、それはこの子供たちにおいても、例外ではないようだ。前作から1年、確実にバンドは変化している。高校生とは思えないクオリティの直球ガレージ・ロックを鳴らした1stアルバム。しかし、その中には、"ロックン・ロールに夢中な少年" が見え隠れしていた。幼さが垣間見える瞬間が何度もあり、そのサウンドと不釣り合いな"青さ"には、思わずくすりと笑ってしまうような愛嬌があった。それがどうだ、この頼もしさは。前作よりも、さらにシンプルになっているのにもかかわらず、全てがより力強く、より豪快に振りきれている。一つ大人になったからこそ、本当の意味でやんちゃになったのかもしれない。
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ポルトガル語で"驚き"を意味する表題をつけた7thアルバムは、1曲1曲がビックリ箱的な要素を盛り込んだ作品に仕上がった。奇抜で予測不可能なフレーズや展開を忍ばせた一筋縄ではいかない楽曲が多い。とはいえ、キャッチーな歌メロや人間臭いアプローチもあり、リスナーを突き放さない愛嬌が全編に敷かれている。いつの間にか曲を口ずさんでしまう人懐っこい音色で、ライヴで聴いたらさらに楽しめそうな曲調ばかりが揃っている。素っ頓狂なコーラスがインパクト大な「激情とウンザウンザを踊る」、コミカルなノリに身体が揺れ動いてしまう「よのっしーがやってくる」など、キャラ立ち抜群の曲が目白押し。ラストを飾る「うたい文句」は郷愁を刺激するバラードで、しっとりしたメロディも実に魅力的だ。
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2006年に結成された4人組編成バンドの5枚目のフル・アルバム。いきなりミュージカルさながらの合唱と徐々にスピードを上げるスカ風アレンジで困惑させる「夕暮れにウンザウンザを踊る」に始まり、次々と情報過多ぎみの楽曲が飛び出してくる。"池袋は死んだ。だが俺は生きてる"と勝手に宣言する「池袋のマニア化を防がNIGHT」、"埼京線快速は、南与野駅にただちに停車せよ""俺は板橋生まれ千葉育ち与野市のやつらはみんな友達"と歌う「市長復活~さいたま市ヨリ与野市ヲ解放セヨ~」等、クスクス笑いつつスルスルと聴き入ってしまう歌たちは、バイオリンも飛び出すHR/HMマナーにアレンジされたテクニカルなバンド・サウンドがあるからこそ成立する。自分の好きな音楽がニッチ扱いされる切なさと怒りを歌った「CD屋からサイコビリーがなくなる日」に共感!
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その類まれなセンスに磨きがかかったヤバT渾身の1枚が到着。モチーフにしたであろうバンドが浮かぶ"バンドあるある"的なコード、曲構成、展開が散りばめられ、思わずクスっと笑ってしまうが、クオリティの高さやメロディの良さ、そして時代を反映した深い歌詞に、ただのおふざけで終わらない絶妙なバランス感覚が光る。中でも特筆したいのは、正体を隠し別名義で配信していた「dabscription」。流行りのメロウ・チューンに乗せてこっそり毒を吐きながらも、後半にはロック・バンドの悲痛な叫びと覚悟が。BGMとして消費されがちなチル系プレイリストに紛れ込みリスナーの度肝を抜いてほしい名曲だ。パンクからシティ・ポップ、教育番組風のピアノ曲、初挑戦の合唱曲、さらには岡崎体育とのコラボ曲まで、とにかくバラエティ豊かな力作揃い。
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ヤバT初の夏ソング「ちらばれ!サマーピーポー」をリード曲とした本作。どこか耳なじみのあるこのタイトルからしてヤバT節が炸裂しているが、やはり彼らに"アンチ陽キャ"ソングを作らせたら天下一品だ。夏に浮かれる人々を斜に見る歌詞もその語感の良さでポップに昇華され、シンセサイザーやブラスを取り入れたアレンジにより、歌詞とは裏腹な夏全開のアッパー・チューンに仕上がっているのが面白い。加えて、"たしかに"と唸ってしまうバンドマンあるあるから派生した「まじで2分で作った曲」や、"コンプラギリギリ"な遊びを題材にした「コンプライアンス」、まさにタイトル通りの誰もが歌える1曲「もももで歌うよどこまでも」、そして岡崎体育によるリード曲のリミックスを収録。朋友同士のおふざけ感満載なコラボにも注目だ。
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新曲を耳にすると、"こんな曲名を付けるのはあとにも先にもヤバTしかいない"と思うのはもはや毎度のことだが、"くそ現代っ子ごみかす20代"はさすがに衝撃を受けた。自身だけでなくファンのメイン層も含む20代というあまりにも大きな対象を、"ごみかす"と称するのはいかがなものかとも思うが、いざ聴いてみるとそんな自虐も一転、今の時代にマッチした自己肯定ソングとなっているんだから、本当に彼らには何度も驚かされる。また、初のドラマ主題歌でもある「Bluetooth Love」は得意のメロコア・サウンドで魅せつつも、主人公の名前をちゃっかり歌詞に交える遊び心も忘れていない。加えて2021年はうるう年ではないのに、いや、だからこそ「2月29日」を歌うのもヤバTらしい。
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挫折しても諦めない心が大事だと歌うモチーフに珪藻土マットを用いるソングライターは、世界中探してもきっとこやまたくや(Gt/Vo)しかいない。"さすがにふざけすぎでは!?"と思う歌詞が頻発しながらも、良質なメロディや堂々たるメロコアの音圧、時に哀愁を孕んだラップも飛び出すハイブリッド&ハイクオリティな楽曲の前では、もう大人しく笑わされるのがいい。それでいて、"とにかくみんな生きてほしい"という想いをストレートに歌った「寿命で死ぬまで」では、バンドの芯にある良識もきちんと窺え、彼らがお茶の間をも席巻している理由がわかる。手を替え品を替え、絶えずリスナーの予想の斜め上を急角度で突き抜け、否応なしに楽しませる。唯一無二のヤバT節が隅から隅まで行きわたった13曲。
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全5曲を収録した盛りだくさんの9thシングル。ヘヴィに幕を開けつつポップなサビへとなだれ込む「泡 Our Music」は、シャンプーのCMソング。華麗にタイアップを乗りこなすスキルが大いに発揮されている。もちろん、聴きどころは1曲目だけではない。2曲目で曲名に取り上げられているのは"創英角ポップ体"......なんのこっちゃ? と思う人も多いかもしれないが、フォントの名前である。聴けば聴くほど、このフォントの絶妙な親しみやすさとおしゃれさを表現した楽曲だと思わずにはいられない......が、なぜこのことを歌ったのか? まぁ、そのナンセンス感も含めてヤバTらしさ満点だ。そして、関西のローカル番組"ちちんぷいぷい"の20周年記念ソング「はたちのうた」も勢いが漲っている。
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NHKとのコラボレーションなどで世間を驚かせ、完全にお茶の間の人気者となりつつあるヤバイTシャツ屋さんの、自主制作盤から数え通算6枚目のシングル。今回もジャケットには3人のタンクトップくんが登場し、新曲3曲と岡崎体育によるTrack.1のリミックスが収録されている。Track.1はタイトルのとおり正統派のパンク・サウンド。キュート且つ毒もある歌詞は彼らのメンタリティやキャラクターをクリーンに映し出している。Track.2は琴線に触れるメロディとエモーショナルなヴォーカル、ラストのシンガロング・パートにフロアの拳上げも必至で、Track.3は語感もノリも抜群。3人が鳴らす楽器の音で構成されたシンプルなバンド・サウンドでここまでカラフルに見せられるバンド、実はなかなか稀有なのでは。
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2ndフル・アルバムで手堅く1stフル・アルバムを超え、且つ伸びしろを残すという知能犯っぷり。それも全部"楽しい"を突き詰めたゆえの行動なのだろう。ミクスチャー・ロック、ホーンを用いたダンス・ナンバー、アコースティック、豪華ストリングスなど、アレンジのバリエーションやギミックを広げていることはもちろん、ストレートすぎるほどのメロコア・サウンドはさらにエモーショナルでフレッシュに。音域が違う3人による楽曲に合ったカラフルなヴォーカル・ワーク、琴線に触れる人懐こいメロディも歌心を際立たせる。悔しい気持ちを抱えながらも、自分たちが面白いと思うことをひたすら追い掛けてきたサークル・バンドの青春感――彼らの音楽が全世代に響いている理由の根源はその青さかもしれない。
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ヤバTの新作リリースのたびに"笑ってたまるか"と思うが、今回も一本取られてしまった。飲み会並のコール、驚きを通り越して呆気に取られるくらいのサビの出だしとそのオチ、突然の転調など仕掛けが多数の「ハッピーウェディング前ソング」は彼ら史上最も享楽的。まさしくハッピーに振り切れたライヴ向きの曲である。ロッテ"キシリトールガム"20周年プロジェクト・ソングの「とりあえず噛む」はポジティヴなメッセージが綴られた正統派メロコア・ナンバー。「眠いオブザイヤー受賞」はラテン・テイストのトラック×ラップありという90年代顔負けのミクスチャーなアプローチで、彼らの持ち味のひとつである日本人の琴線に触れるセンチメンタルなメロディが炸裂。サウンドに合ったムードのあるヴォーカルも光る。
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メジャー1stシングルであり、自主制作盤も含めると4thシングルとなる今作。ジャケットや収録内容など、これまでのシングルのコンセプトを受け継ぎながら、新しい挑戦も多々見える。特に「ヤバみ」は、ギミックが増えてパワーアップした演奏もさることながら、読み解き方次第で風刺的でシニカルな歌詞としても、時代性を肯定する歌詞としても受け取れる作詞センスには舌を巻いた。メッセージ性だけでなく語感重視のセクションを織り交ぜたり、それをアッパーで中毒性のある楽曲に乗せるところもソングライター こやまたくや(Gt/Vo)の遊び心だろうか。暗号のように交錯する言葉と音のロジックが痛快だ。ザ・ヤバT的なメロコア・ナンバー「寝んでもいける」、ミディアム・テンポに挑戦した「肩 have a good day」とカップリングも充実。
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2015年から快進撃を続ける3人組が、初の全国流通盤となるメジャー・デビュー・アルバムをリリース。大阪の大学生のあるあるネタなどを綴った歌詞が注目されがちな彼らだが、魅力はなんと言っても楽曲の良さ。例えば「無線LANばり便利」は、90年代的な直球メロコアやミクスチャー・センスを継承しながらも、そこに2010年代の若者ならではの価値観の歌詞、琴線に触れるメロディ、男女ツイン・ヴォーカルを乗せている。過去の焼き増しにならない革新性が彼らの強力なオリジナリティだ。新録された既発曲はアレンジもマイナー・チェンジし音も厚く進化。ミュージカル風の楽曲、おしゃれギター・ロック×キーボード、ラウド・ナンバーなど、3ピースの常識をぶっ壊す痛快なサウンド・アプローチはエネルギーに満ちている。
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祝、四星球結成20周年! 彼らのベスト盤が単なるベスト盤であるわけがなく、新曲4曲に、彼らの音源にはお馴染みとも言えるコント4本を収録、というのがトラックリストを見ただけでもわかるが、さらに「薬草」ではコザック前田(ガガガSP/唄い手)がゲスト参加するなど、既存曲も全曲最新バージョンに。おかげで聴き進めると、不意に詰め込まれた遊びに思わず吹き出しそうになったり、涙腺を刺激されてしまったり......。曲という単位ではなくアルバム全体を使い、CDの最大収録時間に差し迫るほどに、サービス精神旺盛な四星球の姿勢をこれでもかと詰め込んだ。1枚通して最後まで聴くと胸が温かくなる、私たちの気持ちを"心の穴の奥そこ"から掬い上げるパワーを閉じ込めた、玉手箱のような作品。(稲垣 遥)
四星球結成20周年を記念して作られた、ベスト盤ではなく"ベスト選曲アルバム"。ライヴでおなじみの楽曲たちはもちろん、4曲の新曲や曲間のコントも収録。ベスト盤として、最新オリジナル・アルバムとして、存分に楽しめるボリューム満点の1枚になっている。アルバムを象徴する曲且つ、四星球の最新型と言える1曲目「トップ・オブ・ザ・ワースト」でガッツリ心を掴まれたと思ったら、コントで四星球の不思議ワールドに誘われ、そこからは急転直下の80分。アルバム中のたくさんのネタフリが後半で回収される作品の物語性や、新曲「リンネリンネ」で終わる美しいラストはちょっと感動的ですらある。軽くネタバレしちゃったけど、あんまり情報を入れずに一気聴きするのがオススメ!
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スマートとは言えない、けど思いやりと信念が表れた作品名。四星球にしかできない術で、疲弊しかけた私たちを笑顔にする1枚が届いた。リード曲「ライブハウス音頭」は彼らの戦友である関係者、アーティスト100名以上がコーラス参加。ライヴハウスあるあるに頷き頬がほころぶと同時に、"ガラガラのライブハウスは いつだって最先端"などグッとくる一節も。また2度目のアルバム収録となった「運動会やりたい」も笑ったし、"段ボーラー"に続き、あるドラマーを描いたナンバーも意外と(?)名曲! シンガー、北島康雄節満載の愛の歌「シンガーソングライダー」はテッパンの温かな仕上がりで、あの曲のアンサー・ソング「早朝高速」にはリアルなバンドの生きる姿が刻まれていていい。やっぱりエンタメって絶対、何にも代えられない。
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突如台湾進出を発表した、大阪の賑やかしバンド PANと、盟友である徳島のコミックバンド 四星球。台湾と日本の両国で開催する"台日爆音 BORDERLESS 2018"に彼らが引っ提げていくのが今作だ。両者共に新曲、代表曲、共作曲の全5曲を中国語で歌唱し気合十分。共作の「用小籠包都包起來吧(小籠包で包みましょう)」はPANらしい弾けるメロディック・ポップなサビに四星球お得意の言葉が跳ねるメロと、2組の十八番が融合した印象の、誰もが一発で盛り上がれる曲。中国語に挑戦した影響もあるのだろう、性急な初期衝動が詰まっている。そのうえ終わったかと思えばピアノが流れドラマチック(?)にメンバー全員が語り出し再び歌う展開に、"欲しがるなぁ~"とニヤニヤ。これは前代未聞の何かが起きるかも!?
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前面に押し出した"段ボール"とまさやん(Gt)。彼らのライヴに欠かせない小道具(もはや大道具の場合も)をすべて彼ひとりが段ボールで制作していることが由来なわけだが、オチやオマケ以外で彼にスポットライトが当てられたことに少し感動。本楽曲はそんな陰の努力者への賛歌であることに加え、リスナーへのメッセージ・ソングにもなっている。続く「発明倶楽部」も"新しい時代"を作ろうとするバンドの本気のロック・ナンバーでニクい。またライヴでは数年前に披露していた「直りかけのCamera」、インディー期の隠れた名ラヴ・ソング「六文役者」の再録版、限定盤DVDには大阪の名物フェス"OTODAMA"の映像も収められているのも嬉しい。シンガー 北島康雄の歌唱力が着実にアップしているところも必聴。
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四星球が放つメジャー1stシングルは"占い"をテーマとして、1枚に13曲47分43秒収録という、シングルCDの概念を破壊した作品。表題曲が終わると牡羊座から魚座まで、星座順に1曲ずつ歌われているので当然まずは自分の星座から聴きたくなってしまうのだが、「蟹 座『い蟹ひそ蟹したた蟹』」、「天秤座『天秤の座』」等、趣向を凝らした楽曲(とコント)たちを順番に聴いていけば、ニュー・アルバムを聴くくらいの満足感あり。チャットモンチーの橋本絵莉子をフィーチャーしたセルフ・カバー「乙女座『蛍の影 feat.橋本絵莉子』」、八木優樹がKEYTALKをアピールすべく参加(?)の「山羊座『哺乳類星座会議 feat.八木優樹』」等も収録。"自分の星座よりあっちの星座の方がいい!"とか思わないように。完全限定生産盤には、デビュー前夜の2016年秋以降制作されたMVや企画動画を収録。
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四星球、結成15周年にしてビクターのレーベル"Getting Better"からまさかのメジャー・デビュー! 誰もが驚いたその吉報が届いた際の様子は初回限定盤付属DVDに収録された、2016年10月のワンマン・ライヴの映像で観ていただくとして、記念すべきメジャー1stアルバムの内容はというと、ライヴ定番曲+新曲で構成されたベスト・アルバム的な内容。「Mr.Cosmo」(Track.2)でのビクター担当者登場や「四星球十五年史 ~上巻~」(Track.12)でのバンドの歴史紹介、「メジャーデビューできなかった曲たちの逆襲」(Track.14)など、メジャー・デビューをたっぷりネタにしてエンタメ感全開の1枚に仕上げている。「HEY!HEY!HEY!に出たかった」(Track.6)が"HEY!HEY!HEY!"特番で聴ける日もそう遠くないのでは!?
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自ら"出世作"と名づけた通算5枚目となるフル・アルバム。"四季折々/12ヶ月のうた"をコンセプトにそれぞれの曲に"○月のうた"とつけ、生々しく現在のバンドの心境を歌い上げる表題曲から始まり、盛りだくさんの14曲+ボーナス・トラック「桃源郷をやってみた」が収録される。新たな挑戦を彼らなりの表現で示唆したTrack.2「鍋奉行パエリアに挑戦」などユーモア溢れる楽曲がある一方、訥々と歌い上げるメロディアスなTrack.7「蛍の影ではセンチメンタルな一面も。そんなムードをTrack.8「今作ここまでのダメ出し」で自らを戒めて(?)後半戦では怒涛のネタをぶっこんでくるあたりに、コミック・バンドとしての"バカ真面目さ"を感じることができるアルバム。祈!出世!
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四星球は、去年、地元・四国最大のフェス"MONSTERbaSH"のオオトリを務めた。本作の表題曲は、その経験から生まれた曲だという。"今日のための今日までが 明日のための今日に変わる"というラインは、フェス参加者だけじゃない、毎日を必死に生き抜くあらゆる人々に捧げたい言葉だ。Track.2「武器を捨てよ 太鼓を持て」では、バンドの本質を歌う。不毛な争いをして誰かを傷つけるくらいなら、笑かしてやろうと。たとえ、それで馬鹿にされようが、笑かしたもん勝ちだと。自分に尊厳と誇りを持てなければ歌えない歌だ。彼らが地元で、そして地元から遠く離れた場所でも愛される理由が良くわかる。本当に大事なものなど数えるほどしかないが、本当に大事なものが何かわかっていれば、人もバンドも、大いに笑えるのだ。