Overseas
Dinosaur Pile-Up
2014.10.28 @代官山UNIT
Writer 山口 智男
爆音の演奏で観客を沸かせたSUMMER SONIC 2014から3ヵ月、イギリス・リーズ出身の3人組、Dinosaur Pile-Up(以下DPU)が早くも再来日。"VS JAPAN TOUR 2014"と銘打ち、SUMMER SONICで知り合った日本の4人組、BLUE ENCOUNTと東京と大阪で2公演を行った。その東京公演のトップバッターは、沖縄出身の5人組、Hello Sleepwalkers。
"VS TOURに風穴を空けにきました!"
ロック・バンドらしい向こう意気を感じさせるシュンタロウ(Vo/Gt)の宣言どおり男女ツイン・ヴォーカル、トリプル・ギターというある意味、濃ゆい編成でポップ、アグレッシヴ、エモーショナル、そしてテクニカルという感覚が曲ごとに絶妙に入り混じるロック・ナンバーを観客にぶつけ、ユニークなバンドの姿をアピール。会場の温度を一気に上げた。
その熱気を受け取ったBLUE ENCOUNTはDPUの3人と再会できた喜びを何度も語ると、SUMMER SONICで出会ったとき、音楽性が全然違う自分たちにフレンドリーに接してくれた3人のナイスな人柄を物語るエピソードとともに9月にリリースしたメジャー第1弾EP『TIMELESS ROOKIE』からの「MEMENTO」他、エモーショナルなロック・ナンバーの数々を披露していった。確かなテクニックに裏打ちされた演奏ももちろんだが、田邊駿一(Vo/Gt)が歌の中で必死に訴えかけるメッセージがファンの心にぐさっぐさっと突き刺さる光景を目の当たりにしているうちにレポーターとして、務めて冷静に見ていた自分までぐっと来てしまった。
その田邊は海外アーティストのサポートを日本人が務めるときにありがちなアウェイ感を気にしていたようだが、どうしてどうして、クラウド・サーフィンを含め、もみくちゃになっているステージ前の状況を見るかぎりアウェイ感はこれっぽっちも感じられなかった。
むしろ、大半がBLUE ENCOUNT目当ての観客なんじゃないかと心配になってしまったほど。しかし、それは心配性のレポーターによる杞憂にすぎなかった。イギリスからやってきた3人組を満員の観客が歓迎する中、演奏は6日前にリリースされたばかりの『Nature Nurture (Japan Edition)』のオープニングを飾る「Arizona Waiting」でスタート。かき鳴らすギター、猪突猛進するドラム、ぶんぶん唸るベース――轟音で奏でられるアンセムに胸が躍る。早速、人の波が動きはじめ、60年代風のヴァイヴがDPUが単なるグランジ・リバイバリストではないことを印象づける「Summer Gurl」ではいつの間にか手拍子が起こっていた。
『Nature Nurture (Japan Edition)』からの7曲に前作『Growing Pains』から「My Rock N Roll」と「Traynor」を加えた計9曲を40分にわたって披露。モッシュしたりとか、クラウド・サーフィンしたりとか、大暴れするわけではないものの、体を揺らしながら1曲1曲をしっかりと受け止める観客の反応からは、楽曲がかなり浸透していることが窺えた。
かき鳴らす轟音ギター。アンセミック且つポップなメロディ。パワフルではあるけれど、シンプルなリズム。ざっくりとしたアンサンブルで奏でられる曲の数々を聴きながら、最近のロックはちょっとややこしすぎると思った。今はこの単純明快さが心地いい。そう感じている人が少なくないことは、この日のライヴの盛況ぶりが物語っていた。彼らはここ日本でまだまだ大きな存在になるに違いない(因みに思いの外、女性ファンが多かった)。
DPU流のサーフ・ロックとも言える「Peninsula」で本編を終えた3人は観客のアンコールに応え、日本で納豆に挑戦したエピソードを語ったあと、「Nature Nurture」を投下。熱度満点のインプロを披露して、熱演を締めくくった。
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いよいよ10月9日の日本武道館公演を目前に控え、ブルエンのライヴ未体験者にも、その本質が伝わる選りすぐりのライヴ映像集がドロップ。古くは2013年の渋谷O-WEST公演から、まだ記憶に新しい6月の新木場STUDIO COAST公演まで、主なワンマン・ライヴから現在のライヴでの代表曲がスピーディな編集でコンパイルされている。ユニークなのは時系列での並びでないこと、そしてあくまでも演奏シーンにこだわった内容ということ。つまり田邊駿一(Vo/Gt)お馴染みのロングMCは現場でしか見られないということだ。しかし、時折挟まれるファンの感極まった表情や、ステージ上のメンバー以上に熱く歌う表情などが、ブルエンのライヴを雄弁に語る。"この空間に参加したい"、そんな渇望を生むリアルな映像だ。(石角 友香)
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