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INTERVIEW

Japanese

BLUE ENCOUNT

 

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Member:田邊 駿一(Vo/Gt) 江口 雄也(Gt) 辻村 勇太(Ba) 高村 佳秀(Dr)

Interviewer:石角 友香

壮大なテーマを、洗練されたサウンド・プロダクションで完成させた前作「ポラリス」から一転。どこかイノセントなギター・ポップの空気感がたっぷりな新曲「ハミングバード」を初めてデジタル・シングルとしてリリースするBLUE ENCOUNT。今回はこの楽曲を今、リリースする理由はもちろん、ストリーミングに移行する時代におけるバンドの方法論や、昨年行ったホール・ツアーと、その後のライヴハウス・ツアーがバンドに及ぼした今後の活動スタンスも含めて話を訊いた。目下、新曲の制作期間であるという彼ら。ここから2020年のBLUE ENCOUNTがどこに向かいつつあるのかが見えてくると思う。

-こういうことってデリケートな話ですが、現状、ライヴの自粛が続いているなか、バンドのみなさんの心情はどうなんでしょう。

田邊:僕らは正直、今のところ実害は被ってなくて。と言うのも制作時期だったので。

江口:タイミングが良かったって言い方が正しいかわからないですけど。でも、周りの友達のバンドとかは丸ごとツアーが飛んだりしてるので、ほんと早く終わってほしいなと思います。

-そういえば、04 Limited Sazabysの"MYSTERY TOUR 2020"の初日に行ったんです。

田邊:あぁ! クリープハイプの。

-だからブルエン(BLUE ENCOUNT)の対バンも実現していたらと思うと残念で。

田邊:複雑っすよね。彼ら的にはすごく計算してきてるので。ほんとにそう考えると一個一個のライヴが繋がってるっていうのが如実にわかりましたね。

-最近どのバンドも2マンをやるにしてもいろいろな意味を持ってやってますよね。

田邊:よりそうなってきましたね。血の通う対バン・イベントを世の中が求めてる気がするし。

辻村:MCのときに他のバンドのことをなんて言うんだろうっていうのも気になりますし、終わったあとの打ち上げの写真を楽しみに待ってる人とかもいるので。だから、やってるアーティストも感触はいいと思います。

田邊:リアルに、意味のなさそうな対バン・イベントにはお客さんが入らない時代になってきていて。僕らがメジャー1年生の頃とかって、5~6バンド出演するようなイベントでお客さんを掴んで、そこからフェスでさらに掴むみたいな時代で、その頃めっちゃあったサーキット・イベントとかは、今どんどん縮小されたりしていますね。やっぱりカルチャーが変わってきて、間違いないものにお金を落とすようになったのかな。いい時代なんだとは思いますけど。

辻村:でも、冒険はあんまりできない。"え? こんなバンドいたの?"みたいな衝撃がなかったりして。Twitterとかを見てると、ライヴに来る人たちは、なんの曲をやるかっていうのを事前に予習して臨んだりしていて、テスト対策みたいなことをやってる。でも、知らなくてもいい曲ってあるじゃないですか。そういう感動が少し減ってきたのかな? っていうのも感じますね。

田邊:それは思いますね。"このバンドがくる"企画とかよくあるけど、それ以外にもいいバンドはいるのに、なんかカテゴライズされちゃって。でもみんながそれに食いつくから、変に情報がふるいにかけられて、ちょっと寂しいかなって気もしますね。

-それはサブスクのチャートしかりで。それをどう動かしていくのかが今年の課題なのかなと思います。そういう状況の中でのデジタル・シングルのリリースなわけですが。

田邊:まさに今の時代ってなんなのかを知るための楽曲ですし、たまたまではありますが、今のちょっと混沌としてる社会情勢に向けてのリリースにもなったなと。今って、家にいなきゃいけない状況じゃないですか。外に出ると何かにつけて叩いてくる人がいる。けど、家にいながら音楽を手にすることができる、それに向き合う時間にもなっていると思うんです。それこそ、動画配信サイト――僕自身、ヘヴィ・ユーザーでもあるのでわかるんですけど、この時期だから増えたコンテンツもあるんですよね。そう考えると、エンタメ業界ってかなりの打撃を受けてますけど、逆に言うとそれがチャンスにもなる。ただ履き違えるとそれが足かせになるのかな。ライヴの生配信ばっかりになるのも残念ですよね。

-それが定着しすぎるのも違うし。

田邊:ただ、今回のシングルはもともと配信でやろうっていうのは決まっていて。昨年9月に、出させていただいたシングル「バッドパラドックス」がすごい数のストリーミング再生数、ダウンロード数になって、聴いてくれる人がすごく増えて、その人たちが実際ライヴハウスに足を運んでくれるっていう現象が起きて。そういう意味で昨年は、ブルエンとして如実にストリーミング、サブスク元年の煽りもその恩恵も受けた1年だったんですね。最終的にツアー・ファイナルのZepp Tokyoで生配信をしたら100万人が視聴してくれて。

-100万ってすごいことですね。

田邊:今までは正直、"配信やるとしても遅めにやってください"とか言ってたんですよ。フィジカルCDを買ってもらうことに全力を注ぐために、そういうふうに思ってたんですけど、僕らの中でもここ1~2年で、"それより曲を聴いてもらおうよ"っていう思いになったというか。その種を撒いて芽が出たら、たぶんCDにも手を出してくれる日が来ると。そういった意味でも昨年はいいムーヴメントを起こせたなと思うので、だからこそ今年は逆にそれから始めないか? ということで配信だけにして。どうしてもCDって出た日から日曜日までの集計が大事になってしまうので、そこで露出を増やしたり、いろんな施策をやったりしますし。でもダウンロードって、本人が頑張ればいつだってそのタームを作れるというか、まさに「バッドパラドックス」がそれだったんですね。ドラマの主題歌でもあったので、1週目、2週目と、放送回を経るごとにどんどん視聴数が増えていって。"あ、なるほど。ゆっくりバズらせていく方法もあるんやな"と、自分たちの中でも配信というものの見方が変わったというか。1曲入魂という意味ではブルエンっぽいなと思ったりもして、今回初めて配信限定でやってみることにしましたね。