Japanese
Hello Sleepwalkers
2014.02.12 @渋谷WWW
Writer 沖 さやこ
2月19日に、"ライヴを突き詰めた"という約2年1ヶ月振りの2ndアルバム『Masked Monkey Awakening』をリリースしたHello Sleepwalkers。そのリリースの丁度1週間前となる2月12日、彼らはecosystem、Reading Note、BYEE the ROUNDを招いた自主企画ライヴ"走りだす生命体"を渋谷WWWで開催した。思い返せば、デビュー・アルバム『マジルヨル:ネムラナイワクセイ』の発売日に行った、アルバム購入者を対象にしたショウケース・イヴェントを行った会場も同じくWWW。2年の時を経てこの会場でライヴを拝見するのは感慨深いものがある。セッティングからそのまま暗転し、Hello Sleepwalkersのライヴがスタートした。時刻は21時過ぎ。5人一斉に轟音を鳴らすと"最高の夜にしましょう"とシュンタロウ(Vo/Gt)が告げる。夜の入り口とも言える時間帯に、夜を体現するバンドが登場するのはなかなかにドラマティックだ。1曲目は最新作の1曲目を飾る「猿は木から何処へ落ちる」。冒頭で"かかってこいや!"とフロアを煽るシュンタロウは、分厚いサウンドに負けじと言葉を強く発し、それを支えるナルミ(Gt/Vo)、タソコ(Gt)、マコト(Ba)のコーラスが、それにより説得性を持たしてゆく。サビの"1, 2, 3, 4"の掛け声も痛快に響き、一気に一体感を生んだ。
続けて「午夜の待ち合わせ」、「越境」と新曲を畳みかけ、現在のバンドのモードを届けてゆく。憂いと色気のあるメロディに、強弱でサウンドの奥行きをつけるユウキ(Dr)のリズムは、流星のように舞う弦楽隊の音色をひとつにまとめるような統率力だ。アグレッシヴでディストーションの効いた音色を放ったかと思えば、エフェクターを駆使し繊細な音色を奏でるなど、七変化のようなタソコのギターは、2年前にライヴを見たとき以上によりその精度を上げていた。シュンタロウがエレアコを構え披露された四つ打ちも心地よい柔らかいギター・ロック「21」で会場をノスタルジックに染めると、難解なリズムとツイン・ヴォーカルが独特の不安定感を生む「天地創造」へ。実験性に富んだ楽曲展開やメロディ楽曲で、本人たちも"新曲は緊張した"と言う通りかなり高度なテクニックを要するように見える。この日は少々固めの印象があったが、これから演奏を重ねることでより柔軟性に富むだろう。
2年前のWWWでのライヴを思い出し、"皆さんの前でこうやって音を出せることが幸せです"と語り、大勢で賑わうフロアを前に、2年前と同じく感極まり涙が溢れだすナルミ。だが演奏となればひとたび表情を変え、エモーショナルなヴォーカルを聴かせてくれる。彼女がAメロとサビでメインを取る「砂漠」は、しゃくり上げる歌声が艶やかだ。シュンタロウがハンド・マイクで歌うシーンもあったキラー・チューン「円盤飛来」は力の入った5人の演奏の攻撃力が尋常ではなかった。アンコールは"こんな夜に相応しい曲を"と「ミッドナイトにグッドナイト」。全9曲、観客への感謝を絶やすことはなかった。5月に開催予定のワンマン・ツアーではどんなサウンドスケープを見せてくれるのか、期待が高まる。
- 1
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
ASP
Skream! 2024年09月号