東海地方で今、最も勢いがあると言われる名古屋の3ピース・ロック・バンド、BACK LIFTが結成10周年を迎える節目にメジャー・デビュー。リリース第1弾となるこのミニ・アルバムには、メロディック・パンクをベースにしたスピーディなロック・サウンドとポジティヴな歌詞を、バンドの背骨としている彼らが持つ幅広い魅力をアピールする5曲が収録されている。ストレートな高速のメロコア・ナンバー「Don't worry be alright」(Track.2)から一転、変化球のスカ・パンク・ナンバー「Bitter」(Track.3)、ヘヴィなスカコア・ナンバー「You're A Fool」(Track.4)では90'sのミクスチャーの影響が窺える。その2曲で聴かせる、うねるような演奏も聴きどころ。原点回帰と新たな挑戦の両方を同時に楽しめる充実の1枚だ。(山口 智男)
10年にわたって丹念に磨き上げてきた、強靭で、エネルギッシュな歌とサウンドを引っ提げて、このミニ・アルバム『BLANKS』でメジャー・デビューを果たす、名古屋発の3ピース BACK LIFT。収録曲5曲は、いずれも抜群にキャッチーだ。陽性のメロディ、高揚感のあるコーラスやシンガロング、ソリッドなアンサンブルで90'sメロコアや、哀愁感のあるスカやレゲエ調のエッセンスなども織り交ぜた疾走感のあるサウンドを奏で、どこから切ってもフレンドリーな曲に仕上がっている。エッジーなギターのカッティングを聴くだけで気分が上がったり、スピーディな2ビートに鼓舞されたり、メロディアスな歌になぐさめられたり。大げさなものではないけれど、いつでもポケットに忍ばせておきたいビタミン剤的な作品だ。
結成時からストリート・ライヴを積極的に行い、そこで培った確かな演奏力が各方面で絶賛されていた彼ら。当時Kazuki Washiyama(Gt/Vo)は"歌で伝えたいことはあまりない"と話していたが、2020年のコロナ禍を機に、世の中に対して自分が感じていることをメッセージにしようと"歌を立たせるアプローチ"を手に入れた。何より大きな進化と言えば、バンドのアンサンブルが格段に向上したこと。個々の演奏力、ソングライティング力、アンサンブル、それらが渾然一体となって生まれたのが『Travel The Galaxy』だ。リード曲「トラベル・ザ・ギャラクシー」を始め、新曲もリテイク曲も、どれもが演奏力も歌唱力も際立っている。飛躍的な成長を遂げた、まさに軌跡(奇跡)の1枚。
確かな演奏技術とDIYな活動スタイルで、多くのミュージシャンからも支持されているサスフォー。PIZZA OF DEATH RECORDSからデビュー・ミニ・アルバムをリリースし、波に乗り始めていたところでのコロナ禍と、決して恵まれた環境ではなかったが、そんななかでも強い意志で自分たちの音楽を突き詰めてきた彼らは、さらに強靭なロックを打ち鳴らす新作を発表した。これまで地道な活動で繋いできた、音楽への渇望をぶつけるかのような骨太のロック・ナンバー「KARMA」。独特の節回しが魅力的なヴォーカル・バージョンもいいが、グルーヴィで繊細なプレイ・スタイルは、インスト・バージョンも合っている。カップリングは現在入手困難な初期音源収録曲のリテイクということで、こちらも必聴だ。
名古屋 栄のストリートを拠点に活動する気鋭バンドが、PIZZA OF DEATH RECORDSとのタッグで全国進出。非凡で卓越した演奏テクニックとジャンルに縛られない幅広い音楽性は、まさにミクスチャー・ロックと呼ぶに相応しいものだ。若年層には今どきのバンドとは一線を画する"初めての衝撃"を与え、オッサン世代なら70~80年代の音楽との共通点にニヤリとするはず。つまり、全方位に向けたジャンルレス/ボーダレスな、最強のロック・アルバムなのだ。しかも、彼らにとってはこの音源が完成形ではなく、ここからライヴを通じて曲がどんどん進化していくのだから、甘く見てはいけない。このCDで彼らに興味を持ったリスナーは、ぜひライヴで曲が"化けて"いく過程を目撃してもらいたい。