ハードでソリッドなナンバーから、ピアノが印象的な素直なラヴ・ソングまで、普遍的なロックの骨組みを持ちつつ、サウンドはWHITE ASHの2015年バージョン。UKやUSのR&Rリヴァイバル時のシンプルさも、現行のインディーR&Bが持つ削ぎ落とした洗練が持つシンプルさも想起させるあたりに、のび太のアレンジ・センスにバンドの音楽的筋力の進化も合わさって邦楽ロック・シーンではより突出した存在感を強めそうな1枚に。王道感と新鮮さの同居という意味ではヴォーカルの重ね方と80年代的なエレクトリックなビートの「King With The Bass」や、儚さや切なさを表現しつつ大仰さを微塵も感じさせないバラード「Gifted」が特に出色。王道とは、実は不変とアップデートの両輪があってこそ走ることができるのだ。
Track.1「Casablanca」の哀感とドラマ性たっぷりなイントロから変化を楽しむ姿勢が伺える2ndフル・アルバム。不穏なベースが牽引する「Zodiac Syndrome」、ラテン的なビート感や艶っぽさを増したのび太のヴォーカルが印象的な「Bacardi Avenue」、ダーク・サイケデリアがド--プな「Under The Lightless」など、いずれもグッとBPMを落とすことで冴えるリフやグルーヴで思わず曲の世界観に引きずりこまれてしまう。同時に従来の十八番的な構成の「Number Ninety Nine」や、全編日本語詞のクリスマス・ラヴ・ソング「Xmas Present For My Sweetheart」では蔦谷好位置のアレンジを有機的に導入。コーラス・ワークの素晴らしさも快感ポイントだ。
昨年夏にリリースされた1stフル・アルバム『Quit or Quier』はオリコン・インディーズ・チャートで見事1位を獲得し、初となるワンマン・ツアーも成功させたWHITE ASHからヴァレンタイン・デイにニュー・シングルが届いた。タイトル・トラックである「Would You Be My Valentine?」はいつものソリッドな彼らではなくドキドキするよな軽快で小気味良いロックンロール。メロディの良さはもちろんだが、ヴォーカルのび太の表現力豊かな歌声がとても気持ちいい楽曲だ。そしてカップリングの「I Wanna Be Your Valentine」は力強いハードなナンバー。DISC2には昨年行われたツアー・ファイナルの全14曲が収録。今のWHITE ASHの魅力がぎゅっと詰め込まれたシングルだろう。