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INTERVIEW

Japanese

シュレーディンガーの犬 × Laughing Hick

2023年11月号掲載

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"EDM × ROCK"を掲げているアイドル・グループ、シュレーディンガーの犬(通称:シュレ犬)による座談会連載、第3回にはLaughing Hickが登場。後編ではLaughing Hickの楽曲の大きな特徴でもある、人間臭さや人には明かしづらい感情を赤裸々に綴った歌詞について、シュレ犬メンバーがヴォーカル/ギターのホリウチコウタを質問攻め。SNSでZ世代を中心に大きなバズを生んだ「カシスオレンジ」(2019年リリースの1stアルバム『DOPAMINE』収録曲)誕生秘話や、なぜ彼はクズな男を綴るのか、歌詞や彼の内面に迫っていくなか、とあるメンバーの、人には理解されにくい理想の恋愛も飛び出す展開になった後半戦の模様を届ける。

シュレーディンガーの犬:ならく いち もな さりあ るるか
Laughing Hick:ホリウチコウタ(Vo/Gt) たいち(Dr) あかり(Ba)
Interviewer:山口 哲生 Photographer:川野晴都


自分がうまく言葉にできないことを言葉にされた感じがした(いち)


前半に引き続き、後半もLaughing Hickのみなさんにシュレ犬メンバーが質問を用意してきていますので、そちらに答えていただければと。それでは、るるかさんからお願いします。

るるか:1曲作るのにどれぐらい時間をかけていますか?

ホリウチ:曲によってすぐできる曲もあれば、全然できない曲もあるんですけど、事務所の方からは"ペース遅いね"って言われます(笑)。

るるか:一番長かったのはどれぐらいかかりました?

ホリウチ:どれぐらいだったんだろう......1ヶ月ちょいかかったりしたこともありましたね。それは世に出てない曲なんですけど。逆に「愛してるって」(『DOPAMINE』収録曲)はパッと書いたから、たぶん1~2日とかだと思います。

たいち:昔は結構直感型だったよね? 降りてくるみたいな、そういう印象があるけど。

ホリウチ:あぁ。「カシスオレンジ」は、バイト中に"いいメロディだ!"と思って、"トイレ行ってきます!"ってトイレでヴォイス・メモを録ったものがもとになっていて。

シュレ犬一同:へぇー!

いち:どういう感じだったかのか気になるかも(笑)。

ホリウチ:トイレだから、ちょうどいい感じでリバーブがかかってましたよ。

一同:はははははは(笑)。

るるか:"降りてくる"というのは、ずっと常に考えているからそうなるんですか?

ホリウチ:これも曲ごとによりますね。わりと机に向かって書く曲もあるし、それこそ「カシスオレンジ」はトイレで歌ったものが今の形になっているし、「愛してるって」はアコギを持って、ノートに頭からつらつらと書いていく感じだったので。

るるか:女性の感情を書くときも降りてくるんですか?

ホリウチ:どうだろう......実体験で言われたことがキーになって、それを膨らませていくこともあるんですけど、女性の歌詞を書いているほうが、わりと客観視できるんですよ。自分のことを入れすぎないから、パッと書ける感じもあるかもしれないです。


根底に恋愛リアリティ・ショーがわりと好きっていうのはあるのかも(ホリウチ)


-次も歌詞についてなんですが、もなさんとさりあさんから同じ質問が出てますね。

もな:歌詞は全部実体験からですか?

さりあ:歌詞は経験にもとづいているものなんですか?

ホリウチ:周りの女友達も、悪いというかいい恋愛をしている子がいないから、その相談相手になることが多くて。だから実体験もあるし、友達の話もあるんですけど、わりとリアルなものは根底にあって、半分ぐらい膨らませていくイメージで書いてますね。

さりあ:大人な恋愛だなと思って歌詞を見てました。自分はちょっとまだわからないから、"なるほど!"って勉強してました。

ホリウチ:いや、このままわからずに、素敵な大人になってもらえれば(笑)。

-もなさんとしても、"これってリアルかな?"と思うぐらい生々しさを感じたと。

もな:そうですね。リアルすぎてちょっと嫌だというか(苦笑)。

ホリウチ:ええっ!?

たいち&あかり:はははははは(笑)。

いち:心を読まれた感がすごくない?

もな:うん。

ならく:みんな過去になんかあったん?

もな:特に何もないんだけど、なんか病んでくる。

ならく:あぁ、リアルすぎるから。

もな:私、曲にめっちゃ感情が入る人なので、例えば大森靖子さんとか聴いているとめっちゃ病んでくるんですよ。それと同じ感覚があるんです。なんでそうなっちゃうのかはわからないんですけど......。

いち:うん、わかる。自分のことじゃないのに不安になる。

ならく:「カシスオレンジ」はそんな経験したことないのに、経験した気持ちになるよね?

もな:そうそう。

ならく:"「ゴメンね」じゃなくて/「愛してる」のひと言でいいのよ"っていう歌詞を見たときに"すごっ! 男性でもこんな歌詞が書けるんだ!?"と思って。わりと女性っぽい感じじゃないですか。なんでそういうことが書けるんだろうと思いました。

ホリウチ:そもそものマインドがわりと女々しいのかもしれないです(笑)。

いち:自分がうまく言葉にできないことを言葉にされた感じがした。

ならく:あぁ、(いちは)口に出すのが苦手なタイプだしね。

いち:そう。本当に"心を読まれてる!"って。でもこういうことを言ってると、"そんな恋愛したの?"って言われちゃいそうな気がするんですけど。

ならく:"うるさいんだよ!"って言えばいいよ。

Laughing Hick一同:ははははははは(笑)。

いち:数打ちゃ当たるっていう感じじゃなくて、すごくピンポイントなんですよね。女の人のいろんな感情が書いてあって、"ここはわかるかも、ここもわかる、結構わかること多いな、すごいな"じゃなくて、1個だけドーン! って来て、"えっ!? なんでわかるの!?"って。なんで女の人の共感を得られるようなことがわかるのかなって思ったんですけど。

ホリウチ:なんでなんだろう......「カシスオレンジ」はそれこそ"トイレでヴォイス・メモ"だから、本当にパッと思ったことというか。メロディを残しておきたいがために仮の歌詞として入れていたはずだったけど、"これいいじゃん"と思ったから採用しただけだったので。自分でもなんでそういう感じなんだろう......と思いつつも、たぶん根底にあるのは、恋愛リアリティ・ショーがわりと好きっていうのはあるのかもしれないです。"テラスハウス"も"あいのり"も好きだったし、"オオカミくん(オオカミには騙されないシリーズ)"も観るし。

いち:私、恋愛リアリティ・ショーってあまり観てなくて。

ならく:私も。

いち:そんなに女の子が思っていることがよく出てくるんですか?

ホリウチ:"俺だったらこうなのにな"って思うことはあるかも。

いち:観るならどれがいいですか? 私、"オオカミくん"はちょっと苦手なんです。なんで人を騙すのかわからなくて。

ならく:まぁ、そういうコンセプトだからね。

いち:だってひどいじゃん。その気にさせといて何それ? って思っちゃう。

もな:そういう日もあるの!

たいち:そういう日......?