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INTERVIEW

Japanese

シュレーディンガーの犬 × Dannie May

2024年01月号掲載

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"EDM × ROCK"をコンセプトに掲げているアイドル・グループ、シュレーディンガーの犬(通称:シュレ犬)が、毎回様々なアーティストと座談会を行う連載企画。ここではDannie Mayの3人をゲストに招いた、第4回後編の模様を届ける。Dannie Mayが生み出す、様々なジャンルを融合させた独自のポップ・ミュージックについて深掘りしていくシュレ犬メンバーたち。時に笑い、時に驚き、時にちょっとだけビビりながら(笑)、話が進行していくなかで、Dannie Mayのメンバーすら知らなかった想いも飛び出す展開となった後半戦をお楽しみください。

シュレーディンガーの犬:ならく いち もな るるか
Dannie May:マサ(Vo/Gt) 田中 タリラ(Vo/Key) Yuno(Vo/Kantoku)
Interviewer:山口 哲生 Photographer:川野晴都、うつみさな

前半に引き続き、シュレ犬メンバーからの質問に答えていただければと思います。まずは、いちさんの質問からお願いします。

いち:私、Wikipediaを調べる癖があって。Wikiにすべての信頼を置いているんですけど。

田中:置かんほうがいいけどね(笑)。

いち:そうですよね(笑)。あれって誰でも書けちゃうので。なんか、Yunoさんが作ったプロットから曲を作っているというのが書いてあって。でも、いただいた資料には載っていなかったから、Wikiの情報はデマなのかなと思ったんですけど、本当はどうなんですか?

Yuno:物語を作ってから楽曲制作をする方式を取っていることもありますね。

いち:全曲ですか?

Yuno:全曲ではないんですけど、シングル曲はその方式です。MVもあるので、こういう世界観が合いそうだよねというところから、例えば曲のキーもちょっと下げてみようとか、ちょっとダークな雰囲気にしたかったらマイナー調にしてみようとか。で、僕が20ページぐらいのプロットを作るんですけど、それを渡して、物語から歌詞を拾ってくれたり。それをだいたいここふたり(マサとYuno)でやってます。

いち:すごい! 普通というか、何が普通なのかわからないんですけど、よくあるのは先に曲があって、それに合わせてMVを作るじゃないですか。MVから作るとなったときに、何から入るんですか? こういうMVを作りたいとか、こういうイメージの絵にしたいとか、そういうのがあるんですか?

Yuno:最初にテーマを決めるんですよ。"こういう感じのテーマで、こういう曲を作らない?"っていうのを持ち掛けて、"いいね"ってなって。で、デモのデモみたいなのを(マサが)送ってくるんです。そこにはまだ歌詞もなくて、"それだったらこういう映像にしたいから、もうちょっとこうしたらいいじゃない?"っていうのを揉んでいくっていう。

マサ:だからアニメの主題歌とか、いわゆる書き下ろしと言われる楽曲の書き方に近くて。プロットを貰ったときに、写真がちょっとついてたり、物語が書いてあるときもあるんですよ。20XX年みたいなのがバーッと書いてあって、そこでもう絵が想像できるから、ここではどんな音楽が鳴っているのかなって考えて、じゃあピアノから始めるのか、ギターからなのか、歌からなのかをある程度組んでいくんですけど。だから逆に、何もなしで"作って"のほうが、僕は困っちゃうところがあって。もちろんそれがなくても作れるんですけど、何を作ろうかなってなっちゃうんで、むしろ今はそっちのほうがやりやすいですね。なんとなくの雰囲気というか、香りみたいなものは最初に貰ったほうが作りやすいかなって。

いち:今季のアニメ"ビックリメン"の曲(2023年10月リリースのデジタル・シングル「コレクション」)はどうやって書いていったんですか?

マサ:音がまだ入っていない映像がもうあったんですよ。それを観て、台本を読んでいたら結構青春っぽい話だったから、オープニングはどういう画になるんだろうと思って。で、空にドーン! ってカメラがパンする感じとか、河川敷を走っているような感じとか、言い方はあれですけど、結構ベタなイメージがあったんです。だから、そこに合うように書いていったので、やっぱり作るときは映像を観ると早いかなぁ。

いち:ドラマのときもそうですか?

マサ:そのときもそうでしたね。

Yuno:"イケメシ(イケメン共よ メシを喰え)"は原作が漫画だったしね。

マサ:そうそう。それで漫画も読みました。こんな感じだったら面白いなって。

いち:コロナ対策の映像の音楽も作っていましたよね?(※田中が、内閣官房 新型コロナウイルス等感染症対策推進室 映像「iとi」の音楽を担当)

田中:あれは、内閣が若者向けにSNSに出す映像を作る話があって、その映像を作るやつが友達だったんですよ。で、そいつが撮ってきた映像があって、そこに音楽をつけました。

いち:映像が先だったんですね。

マサ:そっちのほうが楽だよね。

田中:そうだね。あと、羊文学の人(塩塚モエカ/Vo/Gt)がナレーションをやっていて、それもすでにあったし、作曲というよりはアレンジだったので、またちょっと違うのかも。

マサ:BGMみたいな。

いち:すごい。作詞作曲から入るっていう思い込みがあったんですけど、たしかにそっちのほうが映像に合ったものになるからいいですね。

マサ:うん。毎回違うものになりますね。なんか、ご飯を作るような感じなんですよ。例えば、肉とじゃがいもとにんじんにカレー粉を入れたらカレーになるじゃないですか。それと同じで、こういうドラムと、こういうベースと、こういうギターが入ると、こういう音楽になるっていうレシピみたいなものがある程度あって。毎回それを勉強しながら作るんですけど、それがすごく楽しいですね。いろんな料理を覚えていくみたいな感じで。

いち:だからDannie Mayさんの曲って"こういう感じの曲"というのが決まっていなくて、いろんな曲調があって楽しいっていう。

マサ:うん、そうですね。

もな:自分はエモい系の曲が印象に残ったんですけど、ああいう曲をやろうと思ったのはなんでなんですか?

マサ:それはね、エモい系がやりたいなって思ったからだと思います。ベースとドラムがいないから、普通のバンドがやる普通のバンド・サウンドも、僕らからするとちょっと挑戦だったりするので。だから、そのときはそういうことをやりたかったんでしょうね。エモい気持ちだったんだと思う。

田中:あと、(マサは)もともとエモい系の曲のシンガー・ソングライターだったんですよ。だから、意識しないで作ったらそういう曲になると思うし、そっちのほうが得意だよね?

マサ:うん。得意だし、作りたいって思う。

田中:でも、このバンドの曲を作るとなると、またそれとは違うものもないといけないっていう。

-バリエーションが増えていったのは、ライヴの影響とかも多かったりするんですか?

マサ:ライヴでこういう曲調が欲しいからそういう曲を作ろう、っていうのはあんまりないですかね。Yunoからたまに言われることはあるんですけど。

Yuno:初期の頃は言ってたね。やっぱりバンドはライヴをやっていかないといけないだろうし、ライヴを盛り上げる曲を作っていきたいよねっていうのは、最初の1~2年ぐらいの頃は言っていたんですけど。でも、曲も結構揃ってきたし、シングル・カットの曲はだいたいライヴで盛り上がりそうな曲になっているので、今は特に言わないですね。それよりも、今ある曲で自分たちのライヴをどう作っていくのかっていうふうになってきてます。

-では、次はるるかさんの質問にいきましょうか。

るるか:1曲作るのにどれくらい時間がかかりますか?

マサ:作業だけだと7時間ぐらいなんですけど、例えば"この日までに作ってください"って言われたら、そこまでずっと考えてます(笑)。そうすると頭の中にピースみたいなものがどんどん貯まっていくんですよ。それを一気に起こしていくので、考えている期間も含めると、長いときは2ヶ月ぐらいかかるときもあるし、"この日まで"が1週間しかなかったらその期間でやるし。時間があるほうがいろんなピースが集まるのでやりやすいですけどね。(※田中に向かって)どれぐらいかかる?

田中:どれぐらいだろう......明々後日にレコーディングする曲があるんですけど、これから作ります(笑)。

シュレ犬一同:えぇーー!?

Yuno:たしかにそうだ(笑)。

マサ:そういうの結構あるんですよ(笑)。"明日ギター入れてよ"って言われたけど、どんな曲かまだわからない、とか。

田中:でも、それこそ頭の中にはあるので、それを音源化する作業をする感じではあるんですけど。

マサ:その作業がね。しかもやってるうちに変わったりするし。こっちのほうがいいかもとか。だから料理だよね、ほんとに。これとこれを掛け合わせたら面白いんじゃない? っていう。

田中:うん。カレーはカレーでも普通のカレーもあるし、そこにほうれんそうをトッピングするのか、ウィンナーをつけるのかでまた個性が出るし。それと同じ感じですね。