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Japanese

Skream!×MUSE音楽院公開講座

2016年10月号掲載

Skream!×MUSE音楽院公開講座

メンバー:hozzy(Vo) 田中 ユウイチ(Gt) 藤森 真一(Ba) 渡辺 拓郎(Dr)
インタビュアー:渡邉 徹也

-ありがとうございます。他、質問がございましたら挙手をお願いします。

質問者:今まで音楽活動をしてきて、バンドをやってて良かったなって一番思えた瞬間を覚えていたら教えてください。

hozzy:俺は、高校生のときに藤森と別のドラムの3人で高校生の音楽選手権に出たことがあって。そんなに大規模ではなかったんですけど、一応全国大会だったんです。そのとき何組か出た中で、準グランプリを受賞した瞬間のことは覚えてますね。あとで映像を観たんですけど、完全にただのクソガキで、金髪で変な柄シャツみたいなのを着て、ステージを飛び回ってました(笑)。

藤森:そのとき、hozzyの腕にサインペンで"アナーキー"って書いてありました(笑)。

一同:(笑)

hozzy:しかも英語じゃなくて、片仮名で(笑)。めっちゃ頭悪いですよね。でも、その瞬間とか景色はすっげぇ覚えてて。いつかまたそういう感覚を味わいたいなと思ってます。

藤森:青春時代の思い出ってなかなか超えられるものじゃないし、それがあったからプロになれたというか。まぁ変な勘違いだけど、"俺らプロになれるんじゃないか"みたいに思えた出来事が起きて今があると思うんです。その興奮に近かったのは、野音のライヴ(※2010年7月4日に開催した"aobozu TOUR 2010「こぼれるシルバー」"ツアー・ファイナル)かな。梅雨明けが間に合わず、残念ながら雨が結構な勢いで降っちゃって。DVD(2010年リリースのライヴDVD『aobozu TOUR 2010 こぼれるシルバー 日比谷野外大音楽堂』)で映像化されてて、そのときはDVDを作るつもりで撮影クルーがみんないてくれたんだけど、雨が降ってきたので、もうワタワタとしててね。

田中:ビニールを急いで被せてね。

藤森:そんな中でやってたんですけど、ライヴの途中でどんどん強くなってきちゃって。それが中盤を過ぎたあたりで、パッと晴れたんですよ。その瞬間に、そこまでのセットリストで決めないでいこうって箇所があったんですけど、(田中)ユウイチが急遽ステージ上で"ここ「空」でいこう!"って。それで「空」(2003年リリースの2ndシングル表題曲)をやったときに完全に晴れてて、星が見えてたっていう。あの瞬間は、バンドならではのものすごい奇跡で、お客さんがみんないて、みんなで作った中でこの景色が見れたって思った瞬間でしたね。なのでぜひ、DVDを買って――

田中:お前(笑)! さっきまでグッと来てたのに!

一同:(笑)

渡辺:いろいろあるんですけど、やっぱりドラムっていう楽器はひとりで音楽ができないので、いい演奏ができたなって思うときはいつもバンドをやってて良かったなって思います。ライヴですごくいい感じになったときに、めちゃくちゃ大きい会場でも、一番後ろにいる人の顔が誰だかわかるレベルで見えたりすることがあって。その瞬間はいい演奏ができてるなって感じるので、それを感じた瞬間は、ライヴであろうとリハであろうと、バンドやってて良かったと思う瞬間ですね。

田中:俺は最初にライヴをやったのが下北沢の屋根裏っていうライヴハウスで。高校生のときTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが好きで、ミッシェルが屋根裏でライヴをやってたことをよくインタビューで言ってたんで、憧れの場所でライヴできるんだ! っていうのがすごく嬉しかったです。ライヴ当日、ステージに立ったときに客席の上の方にミッシェルのチバ(ユウスケ)さんが書いた"屋根裏"って看板があって、それを見た瞬間、バンドをやってて良かったっていうか、こっからが俺のバンド人生なんだなと思いました。今まで、音楽を聴く側だったのが、こっからは自分がバンドをやっていく側にまわるんだなっていうのが決まった瞬間で。そのとき浪人生活が終わったというか(笑)。それがあって、今自分がここにいるんだなと思うので、バンドを志して良かったなって瞬間でしたね。

-ありがとうございます。他に質問のある方はいらっしゃいますか?

質問者:この夏の思い出を教えてください。

hozzy:たぶん君らは行ってないと思うけど、海に2回行きました。全然行かなそうでしょ(笑)?

一同:(笑)

hozzy:僕らの地元は小田原なんですけど、母方の実家が真鶴っていう静岡寄りのところで。そこ行って、ガチで泳いだわ(笑)。

渡辺:むちゃくちゃいいじゃん(笑)。夏してるねぇ。

田中:アウトドアだな!

hozzy:ごめんな、お前らが働いてるときに(笑)。

田中:俺はね、夜に近所を歩いてたんですよ。そしたら、下校途中の高校生なのか、男女とすれ違ったんですね。なんかね、3人×3人くらいの。そういうのって甘酸っぱい感じがするんだけど、彼らが"せーの!"って言って、サザンオールスターズの「真夏の果実」(1990年リリースの28thシングル表題曲)を合唱し始めたんですね。サビのところを急に歌い始めて、俺はワーッと意識が飛びそうになっちゃった(笑)。サザン好きだし、「真夏の果実」だしさ。また彼らの歌声が良くて。ちょうど夕暮れが終わったくらいの、夜になりかけのときで。それがね、この夏の思い出です(笑)。

一同:(笑)

渡辺:俺はすごく蚊に刺されやすいんですけど、今年はね、ここ3ヶ所(右前腕)、ここ3ヶ所(右上腕)を1日のうちにガッて刺されて、ものすごく腫れて。痕残ってるでしょ? そう、それが今年の夏の思い出ですね。

一同:(笑)

藤森:そっか......。それが夏の思い出か。

田中:完璧なパスだな、これ(笑)。

藤森:さっきのhozzyの話に繋がるかもしれないんだけど――全国軽音楽連盟みたいなものがあって、今年、それの高校生の決勝大会が小田原市にある市民会館で行われたんですけど、なぜか僕が審査員として出たんですよ(笑)。行ったら審査員席に通されて、いろんな資料を渡されて、話を聞いたら審査委員長になってました(笑)。

渡辺:偉い人(笑)。行って座って、初めて気づくんでしょ?

田中:審査委員長ってそんな感じで決まるの?

藤森:最初は嫌で、って言うと語弊があるけど、高校生の音楽に点数をつけるってことにプレッシャーがあって。審査員だし、そういうコンテストだからしょうがないんですけど。俺らはそれで勘違いしてプロになったっていう経緯があるから否定はしないですけどね(笑)。"日本で2位だ!"って思ってたから。で、全国から来た子たちが頑張ったあとで、いろんな審査員の人の投票によって点数がつけられて、結果が書かれた紙を渡されて審査委員長から優秀賞とかを発表するわけですよ。ドラムロールと、"最優秀賞は......○○!"みたいなのがあるんですけど、"エントリー・ナンバー、学校名、楽曲"っていう形での発表で、エントリー・ナンバーを言った瞬間、そのあとの俺の声がまったく聞こえなくなるくらいに"ゥワーーーー!"って盛り上がって。3年間かけたすべてが、その歓喜に詰め込まれてて。

hozzy:お前、そんなのに関わって大丈夫だったの(笑)?

一同:(笑)

藤森:俺みたいな者が(笑)。そしたらね、その場でちょっと涙が出てきちゃって。点数を決めるのもどうかなって気持ちがあったのに、それ以上に感動させてもらえたこの夏の思い出、ですね。

渡辺:いい話ですね。良かった、先に喋っといて(笑)。

hozzy:蚊ね(笑)。落差が半端ないもんな。

一同:(笑)