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COLUMN

UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【第7回】

2013年04月号掲載

UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【第7回】

窓の外は鬼みたいな太陽が世界を厳しく睨みつけている。夏休みも中盤戦。僕こと茉莉乃沢ガニ太(マリノサワ ガニタ)と、ふもっちゃんこと比叡山ふもと(ヒエイザン フモト)は東京ゆきの新幹線に乗っていた。あの後、親友の部田下流夏(ブタゲ ルゲ)が親父のCPUをハッキング。僕らだけを脱出させ親父をヒューマンクラウドという異空間へ閉じ込めたのだった。流夏にそんな能力があるなんてあの時初めて知ったのだが。まあおかげで悪の元凶はこの世から消えたわけだ。それで何故東京へ向かっているのかというとだ、予知能力者の予知夢千代(ヨチ ムチヨ)曰く、どうやらふもっちゃんを元の人間に戻す方法があるかもしれないらしいのだ。そしてその手がかりが東京にあると。そこから先も予知で教えてくれよ、と思ったのだが。「本当なら比叡山ふもとがさらわれるのは一週間先だったなの。しかも、ふもとは命を落とすはずだったの。もう私にも未来がどうなるのかわからないなの。ガニ太、あなた自身が未来を作って!なの!」夢千代はそう言っていた。だから僕は決めたのだ。東京へ行って必ず、ふもっちゃんを人間に戻してやると!ボリボリ…ボリボリボリ…。ふもとはさっきから延々と、とんがりコーンを食べている。せっかくの熱の入った台詞が台無しではないか。小学校の頃から、ふもとはいつもとんがりコーンを食べていた。趣味趣向は人間であった頃と変わらないようだが、記憶をなくし感情のないロボットのようになっている。不用意に近づくとまたカウンターパンチが飛んでくるので、下手にスキンシップもできない。「ガニ太、たべる?」ふもとは人差し指にとんがりコーンを差して僕に突き出した。こ、これは!?いわゆるカップルでいうところの、あーん、というやつではないか!「あ、ありがとう…」僕は口をあけてふもとの方へ顔を近づける。すると、ふもとは人差し指をさらに前に出し、僕の鼻の穴にとんがりコーンを突き刺した。「ぐはぁっ…!!」気付いたら東京に着いていた。
東京、渋々谷。さっきまで太陽がギラついていたはずなのに、空はまるで夜のように暗い。「テレビでは見たことあったけど、実際はこんなにどんよりしてんだな」そう漏らした僕の背後から、何やらチキチキしたものがやってきた。「てやんでぃ!オメーら東京ナメてっと、右耳からうどん入れて左耳から出すぞバカヤロー!」「いやそれは無理だよ兄ちゃん。つって」振り返ると、パンチパーマにねじりはちまき、「祭」と書かれたTシャツ、そしてほっぺたには長い髭が3本生えている男が立っていた。その隣には、パンチパーマにねじりはちまき、「祭」と書かれたTシャツ、そしてほっぺたには長い髭が3本生えている男がツッコミを入れていた。「てやんでぃ!オメーら新参者だな?おいらはライオン坂 汰異牙(ライオンザカ タイガ)、こっちは弟の千異汰(チイタ)だバカヤロー!」ライオンなのにタイガーとチーター?ややこしいなこいつら。「てやんでぃ!オメーらおいらがこの渋々谷の街を案内してやる!来いバカヤロー!」汰異牙はそう言うと僕とふもとをひょいっと肩に担ぎ走り出した。「おいこら!やめろよ!」抵抗出来ない。スゴい力だ。千異汰は言う「無駄だよ。兄ちゃんは”剛力”をインストールしてるからな。つって」剛力?インストール?こいつらは一体。「てやんでぃ!着いたぞ!ここがおいらの店だ」ボロボロの一軒家だった。看板には”道玄沼 ライオン坂不動産”と書かれている。「おいら達ライオン坂兄弟は、ここ道玄沼クラウドを中心にヒューマンクラウドを扱っているクラウドブローカーなんだよバカヤロー」新章一発目からこの展開、僕とふもとはいきなり手がかりが掴めそうな予感がしまくっていた。

…to be continued