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COLUMN

UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【最終回】

2014年10月号掲載

UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【最終回】

「レビレビ...レビレビ...」レビレビ言ってるやつが藤手レビィ。シーフの能力で"雷神"、"炎帝" "氷結"の技を盗み、僕たちの前に立ちはだかっていた。「それだけじゃないレビ。"風神"の能力ももちろんいただいたレビ」心が読まれているのだろうか。ナレーションの僕の言葉に反応しやがった。「"風神"の"風の噂"はお前らの心の中さえ教えてくれるレビ。実に便利レビ」くそぅ。ならばナレーションで悪口を言ってやる!シーフか何だか知らねえがただの泥棒じゃねえか!他人の能力で偉そうにしやがって!ダッセ!レビレビうるせえんだよ!ダセえんだよ!この豆野郎!「な、なな、ひどいレビ!一番気にしてること言われたレビ!レビ~!」「てやんでぃ。こいつさっきからなんで勝手に一人でイキって一人で傷ついてんだ?」汰異牙たちにはナレーションは聞こえないので、レビィがひとり言を言っている状態になっていた。「コイツキモイ。チッ」ふもとは舌打ちしながら、この間に汰異牙と千異太の傷を"ゼロ"に戻していた。「この泥棒野郎っつって!こっちには"ゼロ"があるんだ。おめぇに勝ち目はねぇぞっつって」千異太は言う。「それはどうレビかな?」レビィは両手を天にかざした。「雷・炎・氷・風・剣!うおおおおレビ」叫ぶレビィの両手に暗黒の剣が形成される。「レビっ」レビィは剣を振り下ろす。するとレビィの右側の大地が全て音もなく消えた。穴が開いたわけではない。破壊されたわけでもない。大地がない。地球がない。世界が、ない。これは一体!?「私は盗んだ能力を操り、独自に組み合わせることだってできるレビ!ただの泥棒なんかじゃないレビ!」レビィは汰異牙の腕と千異太の足を剣で斬りつける。すると今度は斬られた部分が消えた。血さえ出ていない。「てやんでぃ!なんじゃこりゃあ!」「全く痛くねえっつって!」ふもとはすかさず〝ゼロ〟を発動。しかし汰異牙たちの傷は治らない。「ナゼダ。チッ」舌打ちが多い。「この剣はどうやら斬ったものを異次元へ飛ばしているみたいレビ。パラレルワールドの歪みまではさすがの"ゼロ"でも戻せないようだなレビレビ!」レビィは自分が神にでもなったかのように調子に乗っている。「うるさいレビ。この剣で私がこの世界を丸ごと創造してやるレビ!!」「ナラバ、ワタシハコノセカイヲ、マルゴトゼンブモトニモドス!コノイノチニカエテ!!」ふもとはそう言うと祈るようなポーズをとった。「ふもっちゃん何を言ってるんだ!君が死んだら意味がない!」僕は必死に訴える。「させるかレビ。まずはふもと、お前を異次元に葬ってやるレビ!」レビィはふもとめがけて剣を振りかざす。「やめろおおおおおお!!!!」僕がふもとの前に立って身代わりになろうとしたその瞬間、レビィの全身の動きがビタッと止まった。「レビ?」「イマダ」ふもとの全身が光り輝く。「コノセカイヲ、ゼロニスル。クラウドノイドナンカイナイ、ヘイワダッタコロノセカイヘ、モドス!!」ふもとは光の球体に包まれる。「だめだふもっちゃん!死ぬな!死ぬなふもっちゃん!死ぬなあああああああ!!!!」光の中で分解されるようにふもとの体は光と同化していった。「サヨナラ。ガニタ」最後の言葉だけが静かに響いた...。
「つまりこうゆうことなの。あなたとのキスでガニ太は言葉を現実にする"言霊"の能力に目覚めていたなの。」夢千代は言った。「だからあの時、レビィは動きを止め、あなたは生きている。ガニ太の言葉が現実になったなの」夢千代は続ける。「あなたの最後の"ゼロ"によって世界はクラウドノイドの概念が生まれる以前の状態に戻ったなの。でもそれによってガニ太は記憶の一部始終を失っているなの」夢千代は去り際に言った。「"ゼロ"の能力はなくなってしまったけれど、出会いはやり直せるの。なの!」
...ピンポーン!玄関のチャイムだ。僕は寝起きのパジャマ姿のまま玄関の扉を開けた。「はーい。どちらさまですか?」扉の向こうには少女が立っていた。「私は比叡山ふもと。初めまして、茉莉乃沢ガニ太」

fin.