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LIVE REPORT

Japanese

UNCHAIN

Skream! マガジン 2011年05月号掲載

2011.04.17 @渋谷WWW

Writer 道明 利友

<Rock Flavour>と<Soul Flavour>――。一見、隔たりがあるように見える二つの音楽の壁を崩す彼らのスタイルは、まさしく“UNCHAIN”というバンド名のとおりだ。ジャンルという束縛から聴き手を解き放つ、自由奔放なグルーヴ。その真骨頂が、渋谷WWWを両日ソールド・アウトさせたワンマン2デイズ・ライヴには間違いなくあった。

まずは1日目、3月リリースのコンセプト・ベスト・アルバムの一方『Rock Flavour』の内容どおり、この日のライヴのテーマは彼らの“Rock”な側面のフィーチャー! 登場とともに、冗談じゃなく、肌を震わせるラウドなサウンドが炸裂だ。オープニング・ナンバー「BLACK or WHITE」から勢いはいきなりトップ・ギア、激しくエッジの効いたサウンドで序盤から攻めに攻める。
 圧巻のスピード感が支配するライヴの中では、彼らのハイ・スキルぶりを見せ付ける場面も豊富だ。多彩に変化するフレーズやテンポ感を背に、ヴォーカル谷川が圧巻のエモーショナル・ヴォイスを響かせたのは「Always Shining」。フュージョンなどもルーツに持つ彼ららしいアプローチが垣間見える、ちょっと大人っぽいムードも漂う「Strain」。かと思えば、“Rock Flavour”の名にふさわしいタイトル「Rock And Roll Music」はTHE BEATLESのカバー! ロックは楽しいんだぜ! そんなメッセージが、ポップなムードに満ち溢れたサウンドからは伝わってくる。
鋭く、激しく、しなやかに、そして遊び心も……。エッジの効いたバンド・サウンドと、たしかなテクニックに裏打ちされた展開力で魅せたステージのもうひとつのハイライトは、新曲の「スタイル・ミサイル」だ。ラウドなギター・リフと疾走する高速16ビートは、昨今流行りのダンス・ロック的サウンドとは一味違う感覚の“踊れるロック”を体現していた。最近とみに“Rock Flavour”を増しているUNCHAINのアグレッシヴ&ダンサブルぶりで、渋谷WWWは過熱!

そんな、UNCHAIN流の“Rock Flavour”で圧巻の盛り上がりを見せた1日目から、2日目はオープニングからムードは一転……。ステージに登場したメンバーのコスチュームは、全員揃いのフォーマルなスーツ! 予想を裏切るアダルトな装いに喝采が降り注ぐ中で、1曲目の「Last Piece」を繊細なファルセット・ヴォイスとともにしっとり奏でたかと思えば……。昨日のTHE BEATLESに続くカバーは、MISIAの「つつみこむように」! 音楽のスタイルも、歌い手の性別すらも異なるナンバーを、谷川のソウルフルなヴォーカルはめちゃくちゃ良い相性で表現する。音楽にジャンルは関係ない――。そんなフレーズはもはや使い古されてしまった感はあるけれど、このときの彼らはまさしくジャンルを越えて、音楽の素晴らしさを表現していた。
そして、「Movin’ My Soul」から始まったライヴ後半は、女性コーラス2名を加えて華やかに!さらに、1日目に続いて新曲も披露だ。「太陽とイーリス」と名付けられたナンバーは、優しいタッチの音色が、切なくも暖かなメロディを包む、UNCHAINの“Soul”を感じるにはうってつけな珠玉のナンバー! “Rock”と“Soul”という二大ルーツを軸に据え、様々な音楽のエッセンスを融合させる彼らのハイブリッド・サウンドは、進化をまだまだ止めない。6月29日にリリースが決定した、この新曲2曲も収録したニュー・アルバム『SUNDOGS』で、現在のUNCHAINのエネルギーをぜひ感じてもらいたい。

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