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COLUMN

UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【第11回】

2013年12月号掲載

UNCHAIN 谷川正憲 改め、茉莉乃沢ガニ太【第11回】

さっきまでの全てを溶かすほどのダウンジャケットを来てサウナに入るみたいな暑さから一転。僕たちはあまりの寒さに震えていた。〝炎帝〟高島 一世短はすぐに聡ったようだった。「なぜ邪魔をする!?〝氷結〟の魔女、瀬汰我屋の茶沢 星優(ちゃざわ せいゆう)よ!!」説明くさい台詞をありがとう一世短。どうやらまたしてもボスキャラの登場らしい。「ひょほほほほ!!相変わらず無駄に赤いねえ〝炎帝〟のお坊っちゃん」〝氷結〟の茶沢 星優がそう笑うと彼女の口周りの空気がつららとなって落ちてきた。「オレの口癖パクってんじゃねえ!〝氷結〟の魔女!てめえこそムダに青白いんだよ!ムダムダぁ!!」一世短は言うと同時に炎の柱を星優に向けて放つ。しかし星優はその炎をいとも簡単に凍らせてしまう。星優は自分の身長よりも長い白い髪の毛を宙に漂わせながら、ふわふわと浮いている。いや空気を凍らせ、その上に立っているのかもしれない。透き通るような肌、白いと言ってしまうにはあまりにも白すぎる。てゆうか透き通っている。後ろの景色とか見えちゃってる。服は着ているのだろうが、白すぎてよく見えない。着ていないのかもしれなかった。「ひょほほほほ!!あたしへの攻撃は無駄だってわかっているでしょうに。口癖のわりに無駄がお好きのようだねえ〝炎帝〟のお坊っちゃん」「その人を見下した喋り方が気に喰わねえんだよ!いつかてめえを焼き殺してやるぜ!ムダムダぁ!」一世短は何度も炎の柱を放つが、一つ残らず凍らされ落とされていた。とりあえず、僕たちは一旦助かったみたいだった。「てやんでぃ!今でしょ!逃げるぞガニ太このヤロー!!」汰異牙は僕の手を掴みジャンプ一番この場から離れようとした。しかし地面も全てが凍っているため、思いっきり滑ってこけた。「ぐはあぁぁ!!」汰異牙が氷に突っ込んで全身がズル剥けになって苦痛の叫びが響いた次の瞬間、僕たちは渋々谷の駅前にいた。一体!?瞬間移動でもしない限りこんなとこまで一瞬で脱出できるはずがない。「瞬間移動したんだよ。つって」聞き覚えのある口調だった。目の前にいたのは炭と化したはずのライオン坂千異汰だった。「てやんでぃ!?千異汰このやろー!生きてやがったかドちくしょう!」汰異牙は全身ズル剥けだが、知ったこっちゃあない。「兄ちゃん!おいらは渋々谷一番の〝韋駄天〟だぜ!?そう簡単に炭になってたまるかよ!つって」「てやんでぃ!しかし千異汰!あの炭は一体!?」「あのとき、おいらは〝韋駄天奥義~抜き足~〟を使って外のチンピラと間一髪入れ替わったのさ。つって」~抜き足~。それは一定以上ダメージを与えた相手と自分の位置を一瞬で入れ替えることのできる、変わり身の術よろしくの奥義らしかった。「ここへ逃げてきたのも~抜き足~を使ったからさ。まだチンピラは二、三人残っていたからな。つって。。。」言い終わるか否か、千異汰は縮んだ。人が縮むなんてことは通常ではありえないことだ。しかし文字通り、千異汰は全身が縮んだ。いつかテレビで見た南くんの恋人的に縮んだ。ポケットサイズだ。かわいい。お土産に買って帰りたい。「てやんでぃ!このバカヤローが!奥義を使い過ぎたんだ!ドちくしょう!」汰異牙はミニミニ千異汰くんをそっとつまむ。「〝風神〟だバカヤロー」え!?「汰異牙、〝風神〟てなんだよ!?」僕は聞く。おそらくボスキャラの一人であろうことはわかるが、聞く。「墨澄み田のクラウドノイド〝風神〟の巣蚊 伊釣(すか いつり)仙人なら、千異汰を治せるかもしれねえんだバカヤロー!」汰異牙はそう言うと千異汰をパンツの中にしまった。そして静かに微笑んだ。「に、兄ちゃん。。。こ、ころすぞ。。。」千異汰は静かに意識を失った。今までに見たことのない兄弟愛?だった。
...to be continued