DISC REVIEW
O
-
-
Organic Call
箒星、残像を探して
1曲目の「明けない夜はない」を聴いた瞬間、歌、演奏、そしてメッセージともにスケールアップを確信。その気迫に圧倒されながら、思わず快哉を叫んだ。ロック・バンド、Organic Callが前作『白昼夢も何れ』から、1年2ヶ月ぶりにリリースするミニ・アルバム。オルタナおよびシューゲイザーの影響が色濃いフレーズを奏でるカワカミトモキ(Gt)をはじめ、メンバーそれぞれに自分は何をすべきなのかが前作以上にわかってきたようだ。演奏をしっかりと支えながら遊び心を加え、演奏に変化をつける植木貴士(Ba)ときっつー(Dr)のプレイも聴きどころ。平田真也(Vo/Gt)は「彗星のよう」でラップ風のヴォーカルに挑戦。バンド初の全国流通盤はバンドの新境地も印象づける。
-
-
Organic Call
白昼夢も何れ
"強い信念を持ち、明日への微かな希望を唄う"と信条を掲げる東京のロック・バンド、Organic Call。今年、結成4年目を迎えた彼らが満を持してリリースした1stミニ・アルバムだ。いわゆる日本語のギター・ロックながら、オルタナおよびシューゲイザーの影響が色濃いバンド・サウンドと、低音の響きが魅力の平田真也の芯を感じさせる歌声で差をつける。MVを作った「海が見える街」をはじめ、夜明け前ならではの希望と不安がないまぜになった全6曲の歌詞から窺えるのは、それを書いた平田が持っている揺るぎない世界観。この作品ではバンド・アンサンブルはもちろん、その世界観を言葉にする方法も磨き上げたという。バンドの今後が楽しみになるような作品が完成した。
-
-
THE ORWELLS
Disgraceland
結成からわずか4年で世界に飛び出してきた5人組がいよいよメジャー・デビュー。彼らの存在をアピールしてきた破天荒なライヴ・パフォーマンスとは若干印象が違い、20歳そこそこのメンバーがここで奏でるガレージ・ロックンロールは荒々しさのみならず、曲が持つノスタルジックかつポップな魅力も際立たせるものになっている。THE STROKESからElvis Presleyまでと語る幅広いバックグラウンドは決して伊達ではないらしい。曲作りのうまさに加え、ARCTIC MONEKYS を手がけたJim Abbissら、3人のプロデューサーによる導きも大きかったとは思うが、フレーズ作りや音の響かせ方にも明らかな成長が窺える。ボーナス・トラックとして、ライヴ・ヴァージョンで収録された「Mallrats」は彼らの代表曲中の代表曲だ。
-
-
THEORY OF A DEADMAN
The Truth Is...
前作『Scars and Souvenirs』は全米で100万枚以上のセールスを樹立! NICKELBACKのChad Kroegerに才能を認められ音楽シーンに登場した若者たちは、年齢、そしてキャリアの成熟とともに、己の理想の音楽性をさらに確実に見い出した。“ロカビリー風のサウンドがあったので、それをさらに追求したいとHoward(プロデューサー・Howard Benson)と話した”とフロントマンのTyler Connollyはインタビューでも語っているが、そのどこかオールディーズな空気をまとう、良い意味で土臭い感触は今作でも彼らのサウンドの特徴的なポイントになっている。かつ、トイ・ピアノやウクレレなど多彩な楽器も駆使して新たな境地を開拓しようとする、貪欲な姿勢も感じ取ることができる意欲作だ。
-
-
osage
October.
2017年に精力的に活動を始めてから、"murffin Audition 2018"のグランプリを獲得し、今年4月に『ニュートラルe.p』をリリース、そのツアーも大盛況......と順調に階段を上っている4人組、osage。しかし、今作を聴くと、嗅覚や味覚をも刺激する歌詞も、どんなジャンルにも通底するようなポップ・センスも、器用に見えて"もどかしさ"がガソリンとなっている印象を受ける。その人間臭さに惹かれた。1曲目「アナログ」の歌い出しから炸裂する、儚いほどに美しい山口ケンタのハイトーン・ヴォイスにも、バンドの精神性が表れている気がした。言葉と音の豊かな表現が絡み合う「ginger air」などから、ありきたりとは一線を画す未来も見えてくる1枚。
-
-
Os Ossos(ex-Sentimental boys)
Festival
長野県上田市出身の4人組ロック・バンドが、3年の構想を経て2ndフル・アルバムを完成させた。"誰もいない夏"をテーマに制作された本作は、自然とまぶたの裏に原風景が浮かび、どこか懐かしさを感じさせるような、浮遊感のあるエモーショナルな楽曲たちが詰め込まれている。幻想的なサウンドスケープと穏やかなメロディが心に染みる「ユーモアを聴かせて」や、ゆったりとしたリズムから徐々に加速していくラストの展開が、夢からハッと覚めるような感覚を味わわせる「Festival」、メロディアスなギターが耳に残る「情緒」など、哀愁の中にも温かさが感じられる全10曲を収録。様々な情景が音で描かれ、群像劇的な作品に仕上がっている。アナログ録音によるこだわりの1枚を、ぜひ堪能してほしい。
-
-
Os Ossos(ex-Sentimental boys)
青春が過ぎてゆく
ライヴ会場、通販限定盤だった『グッドバイ e.p.』に新曲「はっぴいな日々」(Track.4)と「青春が過ぎてゆく」(Track.5)を加え、かけがえのない青春のひとときを、切なくも甘美で美しい結晶に閉じ込めた『青春が過ぎてゆく』。バンド・サウンドとしても、意欲的に試みや企みを盛り込んだ時期の曲が並び、初の全国流通ミニ・アルバムに相応しい内容となった。ミディアム・テンポで、景色や感情、纏う風や香りも、音と言葉で丹念に描こうとする。細やかなアレンジも、ニューミュージック的な雰囲気漂うメロディで、キャッチーにポップに響かせる、奥行きある音楽になっている。今回のジャケットは、Instagramで見つけた男子高校生が撮ったものだという。青春真っ只中のアングルで撮られた写真もまた、作品の入り口として、心をくすぐる。
-
-
OTHER LIVES
Tamer Animals
2009年USインディー期待の新星という高評価と共にデビューした男女5人組バンドOTHER LIVESの2年ぶり2ndフル・アルバム。RADIOHEADのツアーにて前座へ大抜擢される快挙を成し遂げただけあって、その音楽性は崇高で神秘的な世界観に満ちており他のインディー・バンドとは異質である。それはタイトル曲「Tamer Animals」に鳴り響く力強くも幻想的なピアノの旋律と、まるで世界への啓示のように淡々と歌われる独特なメロディを聴けば納得して頂けるだろう。そしてリード曲「For 12」ではアメリカらしいクラシカルなフォーク・ロックの雰囲気に叙情的な深みを加え唯一無二なポップへと昇華させている。どこまでも美しすぎるオリジナリティで溢れた会心の1作。
-
-
OTHER LIVES
Tamer Animals
2009年USインディー期待の新星という高評価と共にデビューした男女5人組バンドOTHER LIVESの2年ぶり2ndフル・アルバム。RADIOHEADのツアーにて前座へ大抜擢される快挙を成し遂げただけあって、その音楽性は崇高で神秘的な世界観に満ちており他のインディー・バンドとは異質である。それは作品タイトル曲「Tamer Animals」に鳴り響く力強くも幻想的なピアノの旋律と、まるで世界への啓示のように淡々と歌われる独特なメロディを聴けば納得して頂けるだろう。そしてリード曲「For 12」ではアメリカらしいクラシカルなフォーク・ロックの雰囲気に叙情的な深みを加え唯一無二なポップへと昇華させている。どこまでも美しすぎるオリジナリティで溢れた会心の一作。
-
-
O'tiempoman
淘汰るTOKYO
終始向かい風の中を歩いているようだった。このアルバムから発せられるすべての音を聴き逃すことができないのだ。音、言葉、声、ひとつひとつに宿る重量感。これがこのバンドの、この5人が積み上げてきた人生なのか。本気そのもの、妥協なし、ストイック。常に"お前はどうだ?"と問うような鋭い緊張感がありながら、シリアスになりすぎないという各楽器のアンサンブルが絶妙である。円熟した情熱は、冷静さを生む。がむしゃらに突っ走るのではない。苦しさも楽しさも嬉しみも知っている人間が鳴らすサウンドでありメッセージだ。一般的なポスト・ハードコアよりテクニカルで、ポスト・ロックと呼ぶには男くさい。夢を追う人間を送り出すだけではなく、リアルを突きつけながら、前へと歩む力を与えてくれる。
-
-
OTOTOI GROUP
WE ARE
The Mirraz、Czecho No Republic、踊ってばかりの国などでおなじみのmini muff recordsから次にとび出すバンドは女性ヴォーカル! 男4人、女1人という構成で、ゆるく脱力感もあるヴォーカルとちょっぴりストレンジな独自のOTOTOI GROUPワールドに引き込んでいく摩訶不思議サウンド。小学生のときの下校時を思い起こさせる懐かしさもあり切なさも含んだ音に涙腺を刺激され、気付くと鼻歌を歌ってしまう。しかし油断していると、ときたま核心をつくような刺さるフレーズにハッとさせられる。中野~高円寺あたりを想起させる雑多感もたまらない。初全国流通盤となる今作。ユーモアがふんだんに散りばめられた万華鏡みたいなOTOTOI GROUP、今後目が離せない存在だ。
-
-
otter hangout
新呼吸
強烈な熱量と歌声"を持つ名古屋の3ピース・ガールズ・ロック・バンド、otter hangoutの全国流通盤は、これまでのバンド活動の中で生まれた、"自分自身に言い聞かせるだけでなく、誰かの背中を押して応援したい"というあやかす(Vo/Gt)の想いを込めた作品だ。リード曲「閃光」を筆頭に、明るく疾走感のある、爽やかでパワフルな直球ギター・ロック・ナンバーが多いなか、「秋雨」や「醒めないで、夜」ではクールでダークな一面や、捻くれた部分、歌詞とリンクした3人の丁寧なプレイも光り、まだまだこれは彼女たちの魅力の内の、氷山の一角に過ぎないのかもという期待を持ってしまうほど。ガールズ・ロック・バンド・シーンに乗り込んでくる彼女たちの今をいち早く体感できる。
-
-
Outside dandy
Into the wild
"HAMIDASHI Records"を立ち上げて再始動したOutside dandyの2ndアルバム。はみ出し者的でワイルドな印象を受ける前半の疾走感ある楽曲から、ミディアム・テンポのメロウ・チューン「After the rain」を挟み、各楽器のソロで聴かせどころを作るダークな「スモーキンレディ」、ダンサブルな「クレイジーサーカス」でライヴ感を演出する展開が心憎い。メロディアスなギター・ソロやベースのスラップ、畳み掛けるドラムといった演奏が楽しめると共に、熱いヴォーカルが心を震わせる。全体的に激しく男臭い楽曲なのだが、どこか侘しさや孤独を感じさせる。特にメロディアスなギターのイントロから始まるロッカ・バラード「猫背男」は突出した名曲で、その力強いメッセージにうるっときてしまった。
-
-
Outside dandy
Mr.
2007年に結成され全国規模でライヴ活動を行ってきた4人組ロック・バンドのデビュー・アルバム。キャッチーなギター・リフを中心としたTrack.2「レイジーモンスター」、Track.7「愛のラビリンス」を始めとする性急な疾走感のあるサウンドと村上達郎(Vo/Gt)の豪快な歌声がマッチしており、ダンス・ロック・チューンのTrack.4「メリーゴーランド」などはライヴで大いに盛り上がりそう。違った表情を見せるバラード曲Track.6「Good night my sweet elegy」も含め、演劇調にすら感じるほどのドラマティックさがある。骨太な音を聴かせるロック・バンドではあるものの、楽曲のイメージ的にはアニメ作品などとの親和性もありそうな気がする。
-
-
O'VALENCIA!
Real Intention of Life and Boisterous Gramophone
都内のライヴハウスを中心に活動する4人組バンドO'VALENCIA!の2ndミニ・アルバム。個性的で優しくハスキーな歌声に込められた感情が、耳元からじんわりと染み入るように胸の奥を揺さぶる。ニヒルな歌詞でありながら、それを感じさせないキラキラとしたギター・サウンドが印象的。アルバムを優しく締めくくる「We're Snow」は真冬の寒空の下で聴くと格別だろう。川谷絵音(indigo la End/ゲスの極み乙女。)や佐藤(きのこ帝国)らが称賛するのも納得の叙情的な楽曲の数々。しかしながら、全体を通していささか落ち着きすぎているようにも感じる。冬だからこそじっくり聴きたい1枚。12/11に開催されるindigo la Endとのレコ発イベントにも足を運んでみたい。
-
-
OVER THE DOGS
WORLD OF SNEEZER
メジャー・レーベルを離れて以降、オバ犬は吹っ切れたというか自由度が上がったな、と思っていたが、その印象は本作を聴いても変わらず。4ピースのギター・ロックという基本編成はそのまま、ジャズのリズムが密かに香っていたり、ピアノの音色が煌いていたり、電子音が取り入れられていたり......と、その音はよりカラフルになった。だからこそ、まるで陽の光によって影が浮かび上がるみたいに、"嬉しさ1割、悲しさ9割"の世界のリアルや、その中で揺れ動きながら生活をする主人公の姿がまざまざと晒されていくこととなる。気の抜けたコーラのような、味の抜けたガムのような日常を丁寧に鳴らす音楽。たわいもない日々を愛すためのヒントは、もしかしたらここで見つかるかもしれない。
-
-
OVER THE DOGS
冷やし中華以外、始めました。
"オバ犬(ケン)"ことOverTheDogsの約1年ぶりとなる全国流通盤。亀田誠治、故・佐久間正英らのプロデュースでメジャー・デビュー・アルバムをリリースしているだけあって洗練されている。勢いよくギターが飛び出してくる冒頭の「ココロデウス」から楽器それぞれの粒が立っていながらしっかりしたアンサンブルを聴かせている。軽快にリフを刻む一方、ショート・ディレイでノスタルジックな音像を作るギター・サウンドの「幸、安堵、ピース」、前のめりに煽るベース・ラインとキラキラしたピアノが美しい「STAR ON MAGIC」といった楽曲で甘酸っぱくナイーヴなヴォーカルが活かされている。表題曲が言葉少なに切なさを感じさせる内容で思わずグッときてしまった。
-
-
OWL CITY
The Midsummer Station
Adam Youngのソロ・プロジェクトOWL CITYの、通算3作目となるオリジナル・アルバム。過去作は全てAdamが手掛けてきたが、今作は積極的に共作者や外部のプロデューサーを起用している。自分を守るために音楽を作り、1人で慎重に楽曲の世界を構築してきた彼にとってこれは大きなチャレンジだっただろう。彼は様々な人々と制作する上で"聴き手の心を動かすための芸術作品として曲を大切にすることを学んだ"という。煌びやかで叙情的なポップなシンセ・サウンドはそのままに、堂々としたリズムとダンス・ビートが躍動。ドリーミーな世界から飛び出した音は更に外向的になり、手と手を取り合うような多幸感と包容力を生み出した。大胆で甘酸っぱい、まさにミッドサマーな1枚だ。
-
-
OWL CITY
All Things Bright And Beautiful
シングル「Fireflies」が全世界で1200万枚(!)売り上げるなど破格の成功を果たしたOWL CITYだが、そんな環境の激変で彼の姿勢が変化することはなかった。というより、彼の音楽の魅力はさらに磨きをかけている。この2ndアルバムを一言で言うなら、美しい。「Alligator Sky」ではShawn Chrystopherのラップをフィーチャーするなどアッパーなリズム感を演出しながら、作品全体で強い印象を残すのはやはり美しいサウンド・レイヤー。メロディ、ダンサブルなリズム、それを包むきめ細やかな音の粒......。全ての要素の重なりは、本当に優しい感触で心に染みる。All Things Bright And Beautiful――全ては輝き、美しい。必ずしも幸せばかりではないものがあふれるこの世界が輝き、美しくあるように......。アルバム・タイトルとこの楽曲たちは、OWL CITYの平和への願いかもしれない。
-
-
OZ RAM INDIO
NAKED
もともと、ラウド・シーンに軸足を置いていた男女混成の4人組が、自分たちの音楽をより幅広いリスナーに届けるため、ラウド・ポップを掲げ、ポップさとキャッチーさをテーマに完成させた3rdミニ・アルバム。18歳のヴォーカリスト、Megによるハイトーン且つエモーショナルな歌と楽器隊のテクニカルな演奏を軸に、R&B、パンク/メタル、ゴス、バラードなど、多彩な要素が2曲のインストを含む全9曲に散りばめられている。そんな楽曲の多彩さもテーマのひとつだったそうだが、1曲の中で劇的に場面が転換するようなアレンジもまた、このバンドの持ち味のひとつだろう。今回、Megがほぼ全曲に加えたラップもスタイルにとらわれず、メロディに収まりきらない感情を自由且つダイナミックに表現している。
LIVE INFO
- 2025.07.03
- 2025.07.04
- 2025.07.05
- 2025.07.06
- 2025.07.07
- 2025.07.09
- 2025.07.10
- 2025.07.11
- 2025.07.12
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
ASP
Skream! 2024年09月号