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Japanese
むろん、アーバンギャルドが音楽作品を生み出すことにおいて優れた手腕を持っていることは間違いないが、そこに映像が伴ったときには情報伝達度と芸術性が一気に爆上がりすることを、今作では自ら証明していることになるだろう。もともと松永天馬(Vo)もおおくぼけい(Key)も共に自主映画の制作経験があるせいか、モデルやナレーションの経験がある歌姫、浜崎容子嬢を主たる被写体として生み出されてきた数々の映像作品は、どれもMVと呼ぶには濃密すぎる内容のものばかり。また、3時間に及ぶオーディオ・コメンタリーにおいてメンバーから明かされる制作秘話も、聞き応えは充分。そして、あの黒宮れい(BRATS/Vo)が出演する「平成死亡遊戯」をAV監督、ターボ向後が手掛けている点も地味に見逃せない。お宝映像満載!
アカデミックで上品な味わいと、サブカル的な胡散臭さが融合するアーバンギャルドのエキセントリックな濃厚世界は、隙のない作り込みがされた音像を背景に、下世話なほどのポップ・センスが大胆に闊歩する不条理な美しさに充ち満ちている。そんな彼らが歩んできた15年の歴史を包括するこの作品は、新曲にして絶妙なノスタルジーが漂う「いちご黒書」から数々のレア・トラックたちまでを含む全45曲を収録したCD全3枚組のまさにオールタイム・ベストであり、コア・ファンにとっての必携アイテムであるのはもちろん、より深いアーバンギャルド沼にハマりたい方にとってのガイドとしても最適となろう。つくづく、公式に謳われている"二十一世紀東京生まれの「トラウマテクノポップ」バンド"のコピーはガチで伊達じゃない。
現3人体制で作り上げた10thアルバムがついにリリース。今作はコロナ禍の2020年という時代性を反映した「マスクデリック(ver.2.0)」を筆頭に繰り返しのフレーズを用い、一度聴いたら忘れないクセになる楽曲が並んでいる。また、メンバーいわく"メタルEDM"を意識した「アルトラ★クイズ」はライヴで盛り上がること間違いナシのアッパー・チューンと言える。作品トータルの完成度も申し分なく、とりわけ「シガーキス」~「白鍵と黒鍵のあいだで」の流れも秀逸で、聴き手の隣にそっと寄り添う雰囲気のある曲調にも心酔。楽曲やアプローチの振れ幅は自由度が増し、3人編成という強味を生かした風通しのいい作風は多くのリスナーに突き刺さるだろう。これらの楽曲がライヴでどう化けるのか、今から楽しみだ。
2年4ヶ月ぶりのニュー・アルバムが素晴らしい。今年はCDデビュー10周年のタイミングでもあり、バンドのアイデンティティがここでひとつ確立されたと言っていいだろう。メンバー自ら音色やアレンジにもこだわり、アーバンギャルドらしさを追求した結果、群を抜くポップ性を獲得している。先行シングル「あくまで悪魔」は他の追随を許さないキャッチーな魅力に溢れ、脳内ループ必至のシンガロング・ナンバー。また、鍵盤の響きが印象的なバラード「キスについて」における浜崎容子(Vo)のセクシーな声色は、曲の世界観を鮮明に炙り出すことに成功。この曲に限らず、これまで彼らに何かしらの偏見を持っていた人こそ、今作を聴いてほしい。純粋に良質な楽曲が詰まった会心作と太鼓判を押したい。
バンド初のコンセプトを掲げた7thアルバム。"殺すな、殺すな、言葉を殺すな"というテーマを軸に、現代における生きづらさを提唱した痛烈な歌詞は実にアーバンギャルドらしい。冒頭曲から歌謡曲メロディとEDMを融和させたポップな曲調で、浜崎容子(Vo)のキュートな歌声と松永天馬(Vo)の切迫感のあるセリフ調の歌い回しによる対比も秀逸。文学的な題材やシュールな歌詞を用い、踊れてノれるポピュラリティ抜群の楽曲が今作にはぎっしり詰まっている。圧巻なのは9分台の長尺曲、Track.7だろう。オーケストラを導入し、ストーリー性豊かな曲調で中だるみせずに聴く者を引き込んでいく。またアイドルの生々しいインタビューを挿入したTrack.10はあまりにも強烈だ。
"トラウマテクノポップ"と自らジャンル名を掲げた4人組。移籍第1弾の新作は、まず会田誠の作品"群娘図'97"の一部をアートワークに用いたジャケがインパクト大!だが、中身もそれに相応しいエネルギッシュな1枚だ。シャンソン歌手をやっていた異例の経歴を持つ浜崎容子のアイドル顔負けのキュート・ヴォイス、そこに大人びたロウ・ヴォイスで迫る松永が絡み、純粋にポップ・ミュージックとしてレベルが高い。加えて、これまで培ってきた優れたエディット感覚で電子音とバンド・サウンドを繋ぎ合わせた曲調も絢爛豪華。ダブル・ミーニング的にチクリと刺す毒のある歌詞も刺激性たっぷり。鍵盤を用いて静謐に聴かせる「アガペーソング」、大槻ケンヂを迎えた「戦争を知りたい子供たち」など全11曲捨て曲ナシ。
驚くなかれ。今度のアーバンギャルドの世界には、血も、鋭くとがった刃も出てこない。誰も傷つかない。傷つけ合わない。この一切の棘のない、神々しく、母性に溢れた世界はなんなのだ。今作について、松永天馬(Vo)による楽曲解説では以下のように語られている。"暗闇を照らすために、言葉のナイフを研いだ。切っ先鋭いフレーズで、時代の暗闇を照らそうと思った。しかし何故だろう。研ぎ澄ませれば研ぎ澄ませるほど、言葉は柔らかく、黄金色に光った。メロディは甘く弾んだ"研ぎ澄ませた果てにあったのは、こんなにも無防備な歌だった。"歌は死なない"というキャッチの通り、武器も持たず、"生まれたままの姿=歌"の美しさを全面に押し出したこの曲が、彼らの楽曲世界にまた新たな変化をもたらすだろう。
"トラウマ・テクノ・ポップ"バンド、アーバンギャルドのメジャー・デビュー・シングル。吐息まじりの甘ったるいロリータ&ウィスバー・ヴォイスは、愛らしくもセルロイドの人形のごとく無機質。ルックスやアートワークなどのアート性の高さ、独創的かつクリエイティヴな佇まいの通り、面白いのは、その多様性。エレクトリック・ポップから、歌謡曲調のドラマティックでモダンなメロディを基調に、メタリックなギター・リフが飛び出したり、男声の甲高い叫び声が組み込まれるなど、テクノ・ポップ・アイドルのような完全なるアンドロイド的なものとはまた違うのは、サブカルへのオマージュが含まれているため。シニカルでちょっぴり病的なのだ。まずは、恋の情熱を"乙女のシンボル=スカート"に託したナンバーから、ひとつ御味見いかが?
創業13年目となるキノコホテルは、全館改築ではなく今このタイミングでもとから館内にあったバンケット・ルームを大幅に改装し、新たにモダンで粋なダンス・クラブをオープンしたようだ。ここまで、長きにわたって中心人物であるマリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)がセルフ・プロデュースを貫いてきたわけだが、今作ではジャニーズやAKBグループなどへの楽曲提供やサウンド・プロデュースも手掛ける敏腕クリエイター 島崎貴光を共同プロデューサーとして起用し、ダンス・ミュージックの要素を大胆に取り込みながらバンドとしての奥儀をいよいよ発動することに。キノコらしい味わいはより洗練され、いっそうブーストされた印象であるし、何より徹頭徹尾まるで隙がない。キノコならではの菌糸活性化がよくわかる1枚である。
2017年に"創業10周年"を記念して行われた"キノコホテル創業10周年記念大実演会ツアー<サロン・ド・キノコ~飼い慣らされない女たち>"から、創業記念日である6月24日に赤坂BLITZで開催された実演会を2CD+DVDで計約174分の大ボリュームでパッケージしたライヴ作品。「おねだりストレンジ・ラヴ」、「還らざる海」をはじめとするメロディアスでキャッチーな曲もあれば、アヴァンギャルドな演奏が楽しめる「球体関節」、「ゴーゴー・キノコホテル」、従業員を紹介しながらバンドがエクスタシーに向かっていく「#84」など、熱狂の実演会の模様を余すところなく伝えている。まずCDを聴いて妄想を膨らませてからDVDで映像を観ることをおすすめしたい。初回生産分は写真集がセットになった豪華盤。
キノコホテルの"創業10周年記念作品"は、これまでの新作アルバム・シリーズ『マリアンヌの~』とは違うことをジャケットやタイトルで明確に表した作品となった。10周年を迎えるにあたり、しばらくライヴでも演奏していなかったという過去の隠れた名曲たちを中心に選曲、今のマリアンヌ東雲の感性によるアレンジを施してレコーディングされている。そのアプローチの仕方は、「球体関節」でJoe Meekばりの宇宙サウンドを聴かせてみたり、前アルバム収録曲「おねだりストレンジ・ラヴ」にオリエンタルなイントロを加えたり、"ウッハッ"と「ジンギスカン」を大胆にフィーチャーした「悪魔なファズ」があったりと、ユニークなもの。ジャム・バンドとしての側面を長尺で聴かせる「風景」など、ひと癖もふた癖もある曲たちで世界中を駆け巡るような1枚だ。
約2年ぶり5枚目のフル・アルバムはイメージを覆すアートワークに目が留まるが、その内容もこれまでになくカラフルなもの。マリアンヌ東雲が"最初で最後なんじゃないかっていうくらいのポップ・チューン"と自ら評するTrack.9「流浪ギャンブル(メカ仕様)」では、オートチューンを使ったヴォーカルを披露。一緒に口ずさみたくなるサビメロはとてもキャッチーで、これをきっかけにキノコホテルの音楽の世界に足を踏み入れるリスナーも出てくるのではないだろうか。かと思えばTrack.8「赤ノ牢獄」では延々と続きそうな不気味なループで陶酔的な世界を構築しており、Track.10「月よ常しえに」では美しいバラードで締めくくるなど、聴き応え満載の作品となっている。
歌謡曲、プログレ、ロックン・ロール、ガレージ......音楽のジャンルなんて作詞作曲&プロデュースを担当するマリアンヌ東雲(歌、電気オルガン、パーカッション)の前では何の意味も持たないのかもしれない。だってそんな概念は五感を鈍くするだけ! 強烈なビジュアルが先行しがちだが、美空ひばりさんのように聴く者の心を動かすヴォーカル、哀愁あるサウンドに安定感あるリズム。どれをとっても完璧でギュッと掴まれるメロディ・センスはさすが。レトロな雰囲気はあるけれど、決して過去の焼き直しではなく、未来的要素、サイケデリックも含んだ物語のような曲構成。女子であることを武器に女子であることを誇りに、そんなエネルギーが詰まっております。
「憂鬱」から「休日」へ。キノコホテルのメジャー第2弾リリースは、「ひらめき」で決めたというマニアックかつカルトな選曲のカバー・アルバム。このようなバンドには、どうしても強烈なコンセプトに囚われてしまい、終始イロモノとして敬遠してしまいそうだが、" ひらめき"とはいえ細部にまで拘り徹底された音作りを体感すると、インパクト重視のそれとは一線を画す、純粋な憧憬と愛情、そして、したたかな知性を感じる。マリアンヌ東雲の色気と愁いが混じり合ったアダルティな歌声にイザベル=ケメ鴨川のうねるファズ・ギターと、圧倒的なオリジナリティが刷新した魅力を醸す......と言いながら原型を知っている若者はどれだけいるんだろう?と疑問が浮かぶ。ググって聴き比べをするのも面白いだろう。
デビュー15周年を迎えたアーバンギャルドの歴代MVを詰め込んだお宝映像満載のオールタイム・ベスト・リリース
"空想と妄想とキミの恋した世界"を受け継ぐ新アイドル・グループ・オーディション――特別審査員3名と空想プロデューサーによる座談会が実現!
どんなシチュエーションで聴くかを人に委ねられるようになった
10歳の"少女"となったアーバンギャルド、これまでの集大成となる記念すべき1枚
過去と現在が交錯するバンド初のコンセプト・アルバム!
移籍第1弾アルバムは、持ちうる武器を磨き上げて、突き抜けた傑作!
新改修! 創業13年目に突入するキノコホテルが極めた、ポップでグルーヴィな問題作
10年間、創作意欲やステージで表現してみなさんに喜んでいただきたい気持ちは絶えずあった
バンドとしての成長をようやくここ1、2年くらいで感じることができるようになってきた
エロスの感じられない人間に魅力などないでしょ?
2023.03.31 @中野サンプラザ
2014.08.16 @赤坂BLITZ
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