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キノコホテル (72)
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創業13年目となるキノコホテルは、全館改築ではなく今このタイミングでもとから館内にあったバンケット・ルームを大幅に改装し、新たにモダンで粋なダンス・クラブをオープンしたようだ。ここまで、長きにわたって中心人物であるマリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)がセルフ・プロデュースを貫いてきたわけだが、今作ではジャニーズやAKBグループなどへの楽曲提供やサウンド・プロデュースも手掛ける敏腕クリエイター 島崎貴光を共同プロデューサーとして起用し、ダンス・ミュージックの要素を大胆に取り込みながらバンドとしての奥儀をいよいよ発動することに。キノコらしい味わいはより洗練され、いっそうブーストされた印象であるし、何より徹頭徹尾まるで隙がない。キノコならではの菌糸活性化がよくわかる1枚である。 (杉江 由紀)
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2017年に"創業10周年"を記念して行われた"キノコホテル創業10周年記念大実演会ツアー<サロン・ド・キノコ~飼い慣らされない女たち>"から、創業記念日である6月24日に赤坂BLITZで開催された実演会を2CD+DVDで計約174分の大ボリュームでパッケージしたライヴ作品。「おねだりストレンジ・ラヴ」、「還らざる海」をはじめとするメロディアスでキャッチーな曲もあれば、アヴァンギャルドな演奏が楽しめる「球体関節」、「ゴーゴー・キノコホテル」、従業員を紹介しながらバンドがエクスタシーに向かっていく「#84」など、熱狂の実演会の模様を余すところなく伝えている。まずCDを聴いて妄想を膨らませてからDVDで映像を観ることをおすすめしたい。初回生産分は写真集がセットになった豪華盤。(岡本 貴之)
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キノコホテルの"創業10周年記念作品"は、これまでの新作アルバム・シリーズ『マリアンヌの~』とは違うことをジャケットやタイトルで明確に表した作品となった。10周年を迎えるにあたり、しばらくライヴでも演奏していなかったという過去の隠れた名曲たちを中心に選曲、今のマリアンヌ東雲の感性によるアレンジを施してレコーディングされている。そのアプローチの仕方は、「球体関節」でJoe Meekばりの宇宙サウンドを聴かせてみたり、前アルバム収録曲「おねだりストレンジ・ラヴ」にオリエンタルなイントロを加えたり、"ウッハッ"と「ジンギスカン」を大胆にフィーチャーした「悪魔なファズ」があったりと、ユニークなもの。ジャム・バンドとしての側面を長尺で聴かせる「風景」など、ひと癖もふた癖もある曲たちで世界中を駆け巡るような1枚だ。(岡本 貴之)
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約2年ぶり5枚目のフル・アルバムはイメージを覆すアートワークに目が留まるが、その内容もこれまでになくカラフルなもの。マリアンヌ東雲が"最初で最後なんじゃないかっていうくらいのポップ・チューン"と自ら評するTrack.9「流浪ギャンブル(メカ仕様)」では、オートチューンを使ったヴォーカルを披露。一緒に口ずさみたくなるサビメロはとてもキャッチーで、これをきっかけにキノコホテルの音楽の世界に足を踏み入れるリスナーも出てくるのではないだろうか。かと思えばTrack.8「赤ノ牢獄」では延々と続きそうな不気味なループで陶酔的な世界を構築しており、Track.10「月よ常しえに」では美しいバラードで締めくくるなど、聴き応え満載の作品となっている。 (岡本 貴之)
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歌謡曲、プログレ、ロックン・ロール、ガレージ......音楽のジャンルなんて作詞作曲&プロデュースを担当するマリアンヌ東雲(歌、電気オルガン、パーカッション)の前では何の意味も持たないのかもしれない。だってそんな概念は五感を鈍くするだけ! 強烈なビジュアルが先行しがちだが、美空ひばりさんのように聴く者の心を動かすヴォーカル、哀愁あるサウンドに安定感あるリズム。どれをとっても完璧でギュッと掴まれるメロディ・センスはさすが。レトロな雰囲気はあるけれど、決して過去の焼き直しではなく、未来的要素、サイケデリックも含んだ物語のような曲構成。女子であることを武器に女子であることを誇りに、そんなエネルギーが詰まっております。(花塚 寿美礼)
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「憂鬱」から「休日」へ。キノコホテルのメジャー第2弾リリースは、「ひらめき」で決めたというマニアックかつカルトな選曲のカバー・アルバム。このようなバンドには、どうしても強烈なコンセプトに囚われてしまい、終始イロモノとして敬遠してしまいそうだが、" ひらめき"とはいえ細部にまで拘り徹底された音作りを体感すると、インパクト重視のそれとは一線を画す、純粋な憧憬と愛情、そして、したたかな知性を感じる。マリアンヌ東雲の色気と愁いが混じり合ったアダルティな歌声にイザベル=ケメ鴨川のうねるファズ・ギターと、圧倒的なオリジナリティが刷新した魅力を醸す......と言いながら原型を知っている若者はどれだけいるんだろう?と疑問が浮かぶ。ググって聴き比べをするのも面白いだろう。(伊藤 洋輔)