the shes goneの1年ぶりとなるミニ・アルバム。今作には、どこか季節の巡りが感じられる色とりどりな5曲が収録されており、全曲で異なるサウンドスケープが鮮やかに描かれている。そして、なんと言っても彼らの強みでもあるメロディ・ワークが素晴らしい。不思議な温度感を持つ兼丸の歌声を乗せた"シズゴ節"とも言えそうなそのメロディは、聴き手の日常にスッと溶け込む唯一のものだろう。希望と不安の狭間でぐらついた気持ちに優しく触れる「春の中に」、飲みの席で感じる不甲斐なさを軽快なリズムの中で歌う「alcohol」、すれ違い沈んでいく想いの行先を綴る「Orange」。どれだけ季節が過ぎようと人それぞれ悩みや葛藤は絶えないけれど、今作はそんな心を少しだけ、楽にしてくれる気がする。
所属事務所移籍後初となる音源。そこに彼らは、ここから再び走り始める決意をしっかりと刻み込んだ。シンガロング/コーラスを擁した「理想像」で、込み上げてくる思いを力強く叫ぶPON(Vo/Gt)の歌声は、いつにも増してエモーショナルで、いつも以上に4人の姿が目に浮かんでくる躍動的なバンド・アンサンブルは、アップテンポなものだけでなく、壮大なスロー・ナンバー「朝が来る前に」でも、生々しく胸に迫ってくる。ユニークなリフレインが一瞬で耳から離れなくなる(けど、歌詞の内容は"超"がつくほどエモい)「けんけんぱ」や、「Don't you say」のような肩の力を抜いた曲もありつつ、決して"壊れることのない"自分たちの意志、そして音楽への情熱をまっすぐに燃やしている。
3月にメジャー1stフル・アルバム『Life is beautiful』をリリースしたばかりのラックライフが、早くもニュー・シングル『リフレイン』を完成させた。TVアニメ"最遊記RELOAD BLAST"のED主題歌となる表題曲「リフレイン」は、ダンサブルなロック・ナンバー。アニメに寄り添いながらも、その歌詞では全曲のソングライティングを手掛けるヴォーカル PONが、曲作りの中で感じる葛藤をありのままに綴っている。常に誰かの幸せを願うラックライフには珍しい、負の感情を纏ったマイナー調の楽曲がバンドの新たな魅力を引き出した。表題曲で歌われる"世界を変える"というまっすぐなメッセージが、カップリングの「存在証明」と「sweet my life」の2曲にも貫かれるというコンセプチュアルな性格の今作は、いまのバンドの攻めのモードを表している気がする。