Japanese
ラックライフ
Skream! マガジン 2014年08月号掲載
2014.07.11 @TSUTAYA O-Crest
Writer 奥村 小雪
台風一過の7月11日、ラックライフの1stシングル『ハルカヒカリ』リリース・ツアー・ファイナルとなる企画"GOOD LUCK vol.28"を見に、TSUTAYA O-Crestへ向かう。渋谷を歩いていると、お昼は快晴だったのに夕方になって急にパラパラと雨が降りはじめた。昨日、雨雲を吹き飛ばしてくれなかったのかと心の中で台風8号に文句を言いながらO-Crestの入り口へ駆け込み、長い階段をひたすら上る。会場へ着くと、バー・カウンターの前で話している若者や、ステージの前で開演を待つファンの姿が。そして18時を少し過ぎて暗転、いよいよライヴがスタートした。
オープニング・アクトのSHE'S、先輩バンドのFUNKISTとDOOKIE FESTAがそれぞれ個性豊かなパフォーマンスで会場を温め、本日の主役、ラックライフにバトンが渡される。ファンもステージへ近づこうと前へ詰め、今か今かと彼らの登場を待ちわびている様子が伺える。一体どんなステージとなるのか、ワクワクしながらステージを眺めていると、ついにメンバーが登場。PON(Vo/Gt)がタオルを高く掲げると歓声が沸き上がる。"だんだん空が暮れていく きっともうすぐ明日になる 明日になれば なにか見えるかな 君はそこにいてくれるかな"と美しい歌声を披露し、ライヴは「未来」からスタート。さすがは年間約100本のライヴをこなしてきたというだけあって、PONの圧倒的な歌唱力はもちろん、パフォーマンスに華がある。CDで聴いた時よりも熱のこもったヴォーカルと、男気溢れるパフォーマンスにも驚かされた。チクタクと時計のようなドラムが印象的な「この空の下で」に心奪われ、続く「そんな世界になればいい」で更に加熱。MCを挟み、フル・ヴォリュームで「チキンボーイ」を歌詞の通り高らかに歌い、続けて思わずスキップしたくなるような、ハッピーな新曲を披露。メンバーもファンもみんなが常に笑顔で、幸福感に満ちあふれている。PONが、"きっと、一生変わらない気持ちを歌います"と一言添えて歌った「タイムライト」では、バスドラがずしんと響き、ベースのルートとエモーショナルなギターが絶妙に絡み合う。フロアからの手拍子に乗せて奏でられた「君のこと」は、心の奥底から吐き出すように歌うPONの姿にバンドの"等身大"が感じられた。MCでも彼らはツアーを振り返りつつ、ありのままをさらけ出し、バンドの仲の良さを感じさせるトークも炸裂。おなじみのほんわかMCにファンも癒された様子で、柔らかな雰囲気が会場を包み込む。そして、ツアーのメインとなる1stシングルのタイトル・トラック「ハルカヒカリ」へ。"色んな人の顔を思い出しながら作った"というこの楽曲を、深いベースと多彩なギターのサウンドとともに優しく歌い上げ、彼らはステージを去った。
彼らを見送る拍手はすぐにアンコールの手拍子へと変わり、やがてメンバーが登場。カントリー調の「その手とこの手」でリズミカルなドラムとベースにメロディアスなギターが混ざり合い、絶妙なハーモニーを生み出す。サビでPONがオーディエンスへ向けて手のひらを掲げる様は、ファンとの深い絆を感じさせた。"またやろう!"と一言残し、ステージを後にするメンバー。
しかし1曲だけでは物足りないと、ダブル・アンコールを求める拍手が。再び4人が現れ、"ほんまに大事な歌"だという「ローグ」を披露した。彼らがこれまで節目節目ですごく大切に歌ってきたという、まさにバンドの原点とも言えるこの曲を、最後に全員で大合唱。ファンと同じ目線で、共に成長してきた彼ららしいライヴとなった。
彼らの歌は会場の1人1人に向けられている、という感覚がすごく強かった。それはきっと、彼らにとってライヴとはファンと会話をする場所だからだろう。ファンへ伝えたい思いを歌にして、心を込めて1人ずつに伝える。そんな彼らの強い思いがファンとの絆を結びつけているのだと思う。そして、PONがライヴ中何度も語っていた"続けてきてよかった"という言葉。この一言に彼らの全てが詰まっているのではないだろうか。結成からもうじき6年、長い旅路を歩んできた彼らにとって、このツアー・ファイナルはファンとの繋がりを再確認できる場であり、バンドの"これから"を支えていく糧となったことだろう。
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