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INTERVIEW

Japanese

ヒトリエ

2021年06月号掲載

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Member:シノダ(Vo/Gt) イガラシ(Ba) ゆーまお(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-というなかで、リリースされるのがニュー・シングル『3分29秒』になります。最初にタイトルを見たとき、"仮タイトルかな?"と思いました。

シノダ:これが正式タイトルです(笑)。

-再生時間だと思いますけど、どうして、"3分29秒"にしたんですか?

シノダ:記念と言いますか。実は、この曲が3人体制になって初めての曲なんですよ。

-あ、そうだったんですか。

シノダ:初めて3人でレコーディングをして、ミックスダウンまで終えて。その再生時間が3分29秒だったんです。初めて3人で刻んだ音の波形の長さがそれだったから、これをタイトルにしちゃおうかなっていう。

-のちにタイアップ曲になっても、タイトルを変えないのがシノダさんっぽいです。

シノダ:まぁ、そうですね。気の利かないやつというか。

イガラシ:自覚はあるんだね。

ゆーまお:うん、俺も今びっくりした(笑)。わかってるんだって。

シノダ:みんなそう思ってたのか、俺のことを。気の利かないやつって。

-というか、「Marshall A」とか「ハイゲイン」(『REAMP』収録曲)っていうタイトルを付けた人のセンスですよね。制作で使った機材をそのままタイトルにするっていう。

ゆーまお:たしかに(笑)。

-この曲が最初ということは、制作は去年の......?

シノダ:2月とか3月とか。それぐらいじゃないかな。

ゆーまお:ワンコーラスがあってね。

シノダ:先にアニメのタイアップの話をいただいたんですよ。"曲を書いてみませんか?"って。そこから10曲ぐらい書いたんですよ。イガラシも何曲か書いたしね?

イガラシ:そうだね。

シノダ:実はその中に「ハイゲイン」もあったりして。

ゆーまお:っていうなかで、本当の本当に最初の時期にできた曲だよね。

シノダ:一番搾りだよね。言ったらね。

ゆーまお:......はい。

-(笑)まさにヒトリエっていう感じのエッジの効いた曲ですけども、どういうイメージで作っていったんですか?

シノダ:とにかくキャッチーなものを作りたかったんですよ。

-なるほど。サビが強いですもんね。

シノダ:そう、サビを一発で覚えられるものにしたかった。まずアニメ尺のワンコーラス分を作ったんですけど、その中でいかにフックを利かせるかを考えてましたね。エイトビートだけに終わらない感じというか。Bメロで急にテンポが半分になって、途中で早口みたいなラップが急に差し込まれる、みたいな。あとは『REAMP』を作ったときよりも、あんまり......考えごとみたいなのはしてないかもしれない。

-というと?

シノダ:どこかしらにヒトリエの曲としての要素を入れたかったというか。ヒトリエを継承するものにするには? っていうことを考えてたんです。

-その時期は比較的シンプルに考えていたんですね。

シノダ:『REAMP』になると、完全に早い曲を作りたくないモードになるんですけどね。そのときは抵抗なく"これはアニメに使われる曲"っていう考えでした。

-だから「3分29秒」って、ヒトリエの曲の特徴って言われるような、BPMが速いとか、情報量の多い緊張感のある展開とか、メロディの言葉数が多いとか、これまでバンドが築き上げてきたアイデンティティを正面から背負ってる感じはありますよね。

シノダ:そう、っていうのを迷いなく作れた感じではあります。そのなかで、ただ速いだけではないんだぞっていうフックの利かせ方を考えていったんです。

-ちなみにアニメ・サイドからこういう曲にしてほしいっていう要望はあったんですか?

シノダ:『HOWLS』(2019年リリースの4thフル・アルバム)の「LACK」みたいな曲を、っていうオーダーがありました。で、いろいろ考えて。そのまんまみたいな曲を作るわけにもいかないし、そのまんまの曲を作ることもできないですからね。

-シノダさんのデモをもとに3人でスタジオに入ったんですか?

イガラシ:レコーディングの前に入ったよね。

シノダ:うん。フル尺を作って、"こういう展開でいきます"って。スタジオに持っていって。

ゆーまお:決め打ちだったよね。特に俺は、ほとんどシノダが考えてくれたデモに沿ってやりました。イガラシは?

イガラシ:俺はかなりそのデモを無視したベース・ラインをつけましたね。いったん自分の気ままでやってみて。

シノダ:それに対して全部自分でディレクションをしなければいけないっていうのも、ほぼ初めての作業だったんですよ。『HOWLS』の「Idol Junkfeed」で、俺が作曲を手掛けたときに軽くやった以来で。そこが新鮮でもあり、意外と俺はこだわりがあるんだなって気づいたというか。それぞれのサウンドとかフレーズに対して、"もっとこうしてほしい"っていうオーダーを出すタイプの人間だったんだなって気づかされたんですよ。

-それぞれふたりにはどういうオーダーを出したんですか?

ゆーまお:ドラムは音作りのところですね。特にスネアがなかなか決まらなかったんですよ。まだ一発目なのもあって、言語を認識する時間だったというか。

シノダ:お互いの共通言語を確認し合うみたいなね。

ゆーまお:言っちゃうと、『REAMP』をやってて、少しずつわかってきたところもあるので。最初は言われてることが本当にわからなかった。

-例えば、どんな言い方をされるんですか?

ゆーまお:"ローが欲しい"とか。

-もっと低い音をしっかり出したいってことですよね?

ゆーまお:そのとき、ローと関係ない言語もバンバン出てきて。"ローが欲しい"というのも念頭にあるけど、"あと、こうあってほしい、こうあってほしい"っていうのもあるから、それを混ぜると、本当にローなのか? みたいになる。

シノダ:あぁ(笑)。

ゆーまお:でも、あとあとになって、本当にただただローを出せばいいだけだったっていうのがわかるんです。

-じゃあ、時間がかかったでしょう?

ゆーまお:かかりました。本録りするまで6、7回ぐらい叩いてますから。これも違うんだ、あれも違うんだっていう感じでしたね。

-イガラシさんは?

イガラシ:記憶があんまりないな......自分のアンプが火を噴いたんですよ。その日。

-え!? 淡々と喋ってますけど、大変なことですよね?

シノダ:そうだった! 青い火が噴いてね(笑)。

イガラシ:そう、きれいな青い炎が出て。きれいだったなぁ。

一同:あははは!

-そのアンプは使えなくなってしまったんですか?

イガラシ:使えなくなりましたね。