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INTERVIEW

Japanese

三浦隆一

 

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-ところで、楽曲のアレンジはどんなふうに?

僕が作った弾き語りのデモをもとに時乗さんが土台を作って、あとはメンバーそれぞれに変えていくっていう新しいやり方でした。空想委員会のときはバンドでがっちりやってたんで、1回、無責任に投げてみるのも面白いんじゃないかと(笑)。"どうですか?"、"いいですね!"ってキャッチボールしながら作ったんですけど、楽しかったです。

-今回、新たな挑戦はありましたか?

新人シンガー・ソングライターなので、誰も期待してないだろうと思って、結構自由にはやりましたけど、空想委員会のときにはできなかっただろうなって曲を入れられたので嬉しかったですね。例えば「怪」みたいな全然盛り上がらずに淡々といく曲は、空想委員会ではできなかったと思います。実はそういう曲、大好きなんですよ。あと、「亡霊」はチェロと鍵盤とアコギなんで、それも絶対バンドじゃできなかったから、すっごく楽しかったです。こうなるんだ!? ってスタジオでめちゃめちゃテンションが上がりました。ソロだから好きなもの全部入れちゃえって自由にやりましたね。

-「怪」はGeorge Harrisonっぽいというか、昔のウエスト・コースト・サウンドっぽい感じもありますね。

奥田民生さんの影響が色濃いかもしれないです。僕の中でのドカーンと盛り上がるわけじゃないけど、いい曲っていうのをやってみたかったんです。Kenji Smithのスライド・ギターもめっちゃかっこいいんで、お、意外とやるじゃんって(笑)。もともとギターが上手なのは知ってたんですけど、こんなに引き出しがあるとは思ってなかったんですよ。予想以上に素晴らしいギタリストだと思いました。Kenji Smithは参加メンバーの中ではちょっとだけ年下で、さっきも言ったように出口さんと拓郎さんとは初対面だったからめっちゃ緊張していたんですよ。でも、ギター・ソロを弾き始めたら、ふたりとも"素晴らしい"って感嘆してましたね。

-「ロボット」でもスライド・ギターを弾いていますね。

そうです。カントリーっぽいのもすごく知ってるんですよ。「ロボット」みたいな、のほほんとした曲も空想委員会ではたぶんできなかったでしょうね。歌謡曲っぽい「花瓶に水」も空想委員会ではできない感じだったと思います。そういうのも結構好きなんですよ。メロディはめっちゃ強いけど、バンド・サウンドじゃなくて、ストリングスが入っていてみたいなのも。それもやれて良かったです。

-それだけやりたいことを思いっきりやれたんだから、音楽を続けていきたいと思いますよね。

そうですよね。まだやりたいし、まだやれそうだなって感じられた1枚になりましたね。

-新たな挑戦云々は抜きにして、今回、特に気に入っている曲を挙げるとしたら?

断然、「亡霊」ですね。

-さっきおっしゃっていたアレンジ以外にも理由があるんですか?

この曲、仮の歌詞からほぼ変わっていないんですよ。もともと、僕は失敗したらどうしようと思って、動けないタイプなんですけど、そうやっているうちにタイミングを逃してっていうことを繰り返してきたんです。でも、空想委員会が活動休止したこともあったり、病気したこともあったり、コロナ禍になったこともあったりっていろいろなことがあったなかで、怖がってたけど、もうやってみたらいいじゃん。失敗するって100パーセント決まってるわけじゃないし、もともと何もないんだからやっちゃえって思った覚悟の曲なんですよ。今後活動していくうえでの気持ちと言うか、失敗することが怖くなくなったんです、最近。チャレンジした機会が来ただけだよねって自分に言い聞かせている曲でもあり、周りで踏み出せない人がいるなら、"いやいや、行っちゃえ行っちゃえ"って言ってあげられるような曲でもあるので、作れて良かったと思いました。

-Skream!のレビューで、今回のソロ・アルバムについてライターの吉羽さおりさんが"誰かにとっての道しるべになりそう"と書かれていて。

おぉ~、すげぇ(笑)。

-「亡霊」はまさにそういう曲なのかなと思うのですが、今回のアルバム、リスナーにはどんなふうに聴いてほしいですか?

2019年は空想委員会がラスト・ワンマン・ツアーをやりながら、僕自身はサラリーマンもやっていたんですけど、そのツアーが終わって、サラリーマンだけになったときに毎日会社に楽しい気持ちで通えたらいいのにと思いながら、通えないときがあったんです。だから、会社じゃなくても、学校でもいいんですけど、そういうときに聴いて、"今日、ちょっと頑張ろうかな"となってほしいというCDにしたかったんです。応援ソングってわけじゃないんですけど、聴いてもらって、"ちょっと頑張ろう"って思ってもらえたらいいですね。空想委員会のときは、こういうふうに聴いてほしいってなかったんです。去年1年間の中で、音楽には聴いただけでちょっと元気が出るっていう力があって、それってすごいことだよなって改めて思ったんですよ。そういうCDにしたいと思いました。めちゃめちゃ前向きになりましたね、空想委員会のときに比べたら。キャラが変わっちゃいましたね(笑)。

-こんなふうに聴いてもらいたいと考えることが今後、音楽を作るうえでのモチベーションのひとつになっていきそうですね?

そうですね。空想委員会のときは自分の中のフラストレーションを吐き出すために音楽をやっていたんですけど、それっていつかなくなるよな。もう限界だと思ったんですよ。歳をとるし、これは無理って諦めることも増えてくるし、そしたらフラストレーションがなくなっていくだろうって。それが今回、ソロを作ったことで、フラストレーションがなくなっても、こういうことってあるよね。でも、こう考えたら頑張れるよねって思えたから、まだまだ行けるだろうって思えたんです。

-これからのことも聞かせてください。今後はどんなふうに音楽活動を続けていこうと?

目標は年1枚、誕生月である4月にアルバム・リリースですね(笑)。それを目指して、曲を作り続けて、ライヴし続けて、その1年の記録みたいなCDを毎年出していけたらいいですね。実はもう曲を作り始めているんですけど、こういう曲じゃなきゃダメっていうのがなくなっちゃったんでバンバンできていて、もう次の10曲ぐらいは余裕でありますね。いや、『空集合』に足そうとして入らなかった曲もあるから、2枚組が作れますよ。そんな日が来るとは(笑)。

-音楽的にはどんなことがやりたいですか?

今回のメンバーで毎年やるのも面白いですよね。でも、急にDAFT PUNKみたいになってもいいと思うし(笑)。そこの制約はもうないので、そのときの自分の中の流行に乗っかると思います。ただ、僕、バンドの入口がOASISなんですよ。だから、今回のアルバムもOASISっぽさは出したいと思いました。今、聴いてもやっぱりすごいので、いいメロディとちゃんとしたアレンジっていうのは、ずっとやりたいですね。だから、OASISになりたいですね(笑)。

-おぉ~。

デカいことを言っちゃいましたけど(笑)。

-もう音楽をやめようかなと思っていた人が"OASISになりたい"って言えるぐらいの変化ってすごいと思います。

空想委員会を活動休止させる直前はもう音楽を聴くのも楽しくなかったんですよ。実際、活動休止してからも全然聴かなかったですね。でも、赤い公園の津野(米咲/Gt)さんが亡くなったときに赤い公園を聴き直して、やっぱりかっこいいって思ってから、また自分の好きな音楽を聴き始めて、また音楽ファンに戻ったんですよ。だから、すごいミーハー的な感じで、"Liam Gallagherになりたい"って言えるようになったところもあるんですよ(笑)。