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INTERVIEW

Japanese

the irony

2017年09月号掲載

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Member:船津 陽史(Vo/Gt) 脇屋 周平(Gt) 川崎 嘉久(Ba) 工藤 伊織(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-レコーディングのやり方でいままでと変わった部分はありましたか?

工藤:今回からレコーディングの環境が変わって、音が生っぽくなりました。

脇屋:それもthe ironyが目指すものは何かっていうのを考えたときに、ギター・ロックだけど、歌謡ロックっぽい部分もあって、ノスタルジックなサウンドを全面的に出していくために、もっと生感を伝えた方がいいんじゃないかと思ったんです。いままでのレコーディングはデジタルだったんですよ。結構編集もしていたんですけど、今回は極力いじらない。多少のズレもそのまま使うようにしてますね。

工藤:だから、よりライヴに近い感じになってると思います。

船津:体温が伝わるようなものにしたかったんですよね。

-そうなると、より演奏の精度も問われてくるから、レコーディング自体が緊張感のあるものにはなったんじゃないですか?

工藤:よっぴーはドラムを録ってるとき、ずーっとベースの練習してたよね。

川崎:今回はエンジニアさんもアナログな人だったんですよ。だから"デジタルでうまく修正しちゃえばいいよ"みたいなことをやりたくない方だったので。とにかく何回も弾きまくるっていうのは大変ですしね、いま思えば(笑)。

-リード曲の「Hallelujah」は、the ironyがずっとライヴでは歌い続けてきたバラード曲です。これはいつごろから歌ってるんですか?

脇屋:これは4年前に作った曲ですね。今回のアルバムはこの曲以外は全部新曲なんですけど、その5曲を録りながら、"あと1曲をどうしようか?"っていうのを考えてたんです。で、そのときに"この曲を入れたらいいんじゃないか"っていう話になって。

船津:前に作ったときには伊織が叩いてないんですよ。でもずっと歌ってきたバラードだし、僕自身も大切な曲だと思うから、このメンバーで完成したかったんです。

脇屋:前回はアコギのイントロでロックな感じにしてたんですけど、今回はピアノに寄せてアレンジしていったので、結構(進行が)ギリギリでしたね。そのときはリード曲も決まってなくて、"バラードがリード曲になるのは微妙かな?"と思ってたんですけど、録りながら"これはリードだな"って話さずとも決まっていきましたね。

工藤:歌入れをしてるときにアキちゃん(船津)がボロボロに泣いてたんです。

-泣いてた?

船津:みんなが楽器を入れ終わったあと、"アキちゃんの番だよ"って言われてブースに入ったんですけど、イントロのピアノが流れた瞬間に"ヤバい!"ってなって。出だしの"君は四月のカメレオン"っていうのを歌い終わって、次のブレスをするときに涙が止まらなくなっちゃったんです。初めての感覚でした。ライヴのときに感情が入りすぎて、コントロールできなかったりすることはあるんですけど。

-それはどういう涙だったんですか?

船津:うーん......なんだろう? 言葉にできないものがあって......。本当にずっとバンドと共に歩んできた曲なんですよ。the ironyの初期からやってる曲だから、そのころから応援してくれてる人からすると、"the ironyのバラードと言えば、「Hallelujah」だよね"っていう僕たちの代名詞的なものだと思うんですよね。だから向かい合うものが多かったというか。そのぶん"昔の音源の方が良かった"とか言う人も出てくるんじゃないかなっていう心配はあるんですけど、それでも胸を張って、"これは素晴らしい作品ですよ"って言える曲にしたいなと思って歌いましたね。

工藤:あと、この曲は歌詞に"天神駅"っていう福岡の地名を歌ってるんですよ。去年出した『10億ミリのディスタンス』のときも、いまの東京にいる自分と、過去に九州にいたときの自分たちを繋ぐものっていうのを作ったんですけど、やっぱり僕たちは九州を大切にしたいから。そういう意味でも、この曲はリード曲にしたかったんです。