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INTERVIEW

Japanese

2016年01月号掲載

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Member:秋野 温(うたギター) 神田 雄一朗(ウキウキベース) 笠井 快樹(テンパリドラム)

Interviewer:岡本 貴之

自主レーベル"Soul Mate Record"を立ち上げてからリリースした『SOULMATE』『Love&Soul』に続くソウル三部作の集大成『ソウルのゆくえ』を完成させた鶴。"94都道府県ツアー"の真っ只中に作られただけあって、旅を連想させる曲や、ソウルメイトたちへのメッセージが込められた曲、リラックスしたバンドの素顔が垣間見れる録音がなされた曲など、音楽を演奏する楽しさとそれを聴いてもらうことへの喜びを詰め込んだ力作となっている。"鶴"と"お正月"という、縁起物感がジャケットにも全開となった今作について、そして94都道府県ツアーの先に見据えているものについて、3人に話を訊いた。彼らが想う"ソウルのゆくえ"とは?

-アルバムが完成した今の率直なお気持ちを訊かせてください。

秋野:ツアーの中でできた曲だし、スケジュール的にもそんな中で録った作品なので、すごく考えて作ったというわけじゃないんですよね。結構衝動的な部分が大きいかなと思っています。

神田:自主レーベルを立ち上げて、『SOULMATE』(2013年リリースの4thアルバム)、『Love&Soul』(2014年リリースの5thアルバム)を出して前回ミニ・アルバム『Live&Soul』(2015年8月リリース)を出して、サウンド的なところで言うとバンドとして毎回目標があって。でき上がるたびに、いいものができたなという手応えがある反面、"もっとこうしたい"という反省点がやっぱりあるので。今回のアルバムがひとつ、自力でやっていく3人組バンドとしてのひとつの形というか、到達したんだけどそこからスタートするようなものができたなという感覚ですね。

笠井:今までで1番"癖のあるヤツ"が出たなという感じですね。すごく忙しい中でできたからなのか、秋野君の世界観が凝縮された形で、今後の鶴はこういう方向に進んで行くのかなという、そういう第一歩が見えたアルバムなのかなというのが率直な感想です。

-全国ツアー中に制作するのはかなり大変だったんじゃないですか?

秋野:今年に入ってあれやろうこれやろうって決めたことなんで、テンションが高かろうが低かろうが、もう作るって決めたし、そうしたいという気持ちがあるからやれるというか。ライヴでも全国をグルグル周っている鶴でいたいし、音源もコンスタントに出している鶴でありたいという。どっちかをやったからどっちかがおそろかになったじゃなくて、こんなことやっててもちゃんとやってます、という。今年はライヴが今まで以上に多かっただけであって、かといって音源のペースを落とさずに、やってきたことを守りたかったというか。それが自然とモチベーションになっていたと思います。

-自主レーベル1枚目『SOULMATE』は独立してやっていく決意を込めた作品、『Love&Soul』はもう少しリラックスして歌の魅力を打ち出した作品、それに続くソウル三部作の集大成となるフル・アルバムは"ソウルのゆくえ"という気になるタイトルになりましたが、今回はどんなことを考えていましたか?

秋野:鶴のありたい姿、自分たちが思う鶴像、お客さんたちが思う鶴像がだんだん固まってきた気がしていて。それをまんま詰め込みたかったというか。3人でシンプルに音数が少ないのに、"すげえ音出てるね、このバンド"っていうライヴをしたいし、音源でもそうありたいということで作ったんです。"ソウルのゆくえ"という言葉は、鶴にとってすごくちょうどいい温度感を持った言葉というか。僕自身、昔から"ソウル"という言葉は自分の中の音楽とは切っても切れないものがあって。だから"Soul Mate Record"というレーベル名にもなったんです。全国を周っている中で――お客さんを"ソウルメイト"と呼んでいるんですけど、周っているうちに鶴を聴きに来てくれる人がいるというのは、簡単ではあるようですごいことだなっていうことに改めて気づいて。みんな音楽の好き嫌いあると思うんですけど、その中のひとつに鶴の音楽がたまたまあって、鶴が100パーセントじゃないにしろ、どこかしら俺らと共鳴する部分があるから鶴のライヴにワイワイ来てくれると思うと、これは本当にもう......ただごとじゃないなみたいな(笑)。

-それは10年以上バンドをやっていて改めて?

秋野:そうですね、これだけ周っていて改めて思うので。それがいよいよソウルメイトというひとつの着地点であり、そんな俺たちだったらその先の景色というか。俺たちだけで音楽をやっているだけでは届かないし、お客さんだけでも届かないし。ライヴにはどっちらかだけではなし得ないものがあると思うので。鶴が作った曲、ライヴで共鳴する部分があるわけだから、その先へ行けるんじゃないかなって。なんか難しい、宇宙の話をしているような感じですけど(笑)。

一同:ははははは!

秋野:要は鶴の音楽で喜怒哀楽が生まれてくるわけですよ、聴いてくれる人には。それってすごいことだなって素直に思います。

-お客さんがいろんな音楽的な趣向を持っているように、鶴の音楽もいろんな要素が入っていて、今回も多彩なアレンジが楽しめますね。今回はギターはあまり重ねずにコーラスでそこを補うということをより意識したとのことですが。

秋野:昔からそれはいつも意識していることで、ライヴとリンクしているんです。なるべく人力で再現できるものでありたいと意識しているので。どうしてもギターを弾きながら歌っていると、細かいフレーズは歌の後ろには入れられないんですよ。その場合コーラスにしてみようか、とか。本当は頭の中にオブリが鳴っているけどそれは入れないとか。そこらへんはどんどん潔くなってきましたね。

-秋野さんが弾きたいフレーズを神田さんのフレーズで補ってもらうとか笠井さんがフィルを入れるとかいうことにはならないんですか?

神田:昔から常にそういうことは考えていて。オブリっぽいのをベースが弾くとか、この隙間はドラムで何かしてもらおうとか。3人でバランスをとるというのは基本的には常にやっているものではあるんですけど、レコーディング(以下:REC)となるとちょっとダビングというものができてしまうので(笑)。今回はさらに1段階そういうところを止めて、本当にライヴに近く。

秋野:毎回ギリギリだけどね(笑)。どんどん減ってきたよね。