Skream! | 邦楽ロック・洋楽ロック ポータルサイト

Skream! 公式X Skream! 公式YouTube Skream! 公式アプリ

INTERVIEW

Japanese

Brian the Sun

2014年12月号掲載

いいね!

Member:森 良太(Vo/Gt) 白山 治輝(Ba/Cho) 小川 真司(Gt/Cho) 田中 駿汰(Dr/Cho)

Interviewer:沖 さやこ

-そうですね、そこはもちろん。

森:でもそういう些細なことが表に伝わるんやなあというのは、作ってる身からすると嬉しいですよね。大事やなと思いますね。

小川:でも今までCDに入れた曲には「チョコレートブラウニー」みたいなポップさはなかったよね。『彼女はゼロフィリア』に比べたらだいぶ違うもんね。

白川:メンバーは(森がソロや高校時代などに)もうちょっとポップなことをやっていたのも知っているんで。

森:......ライヴハウスにバンドを観に行くときって、ある程度の"こういうライヴしてくれるんちゃうか"みたいな期待はしているじゃないですか。そういうところをいい意味で裏切りたかったんですけど、そこ踏み込むのは結構勇気要るんですよ。30分の尺のライヴでそんなイメージと離れたことされても......って僕がお客さんやったら思うかもしれないんで。そういう気分じゃなかってんけどなーと思うかもしれないとか――なので結構、打ち出すという意味ではなかなか勇気が要ったんです。でも、最近はそういうことがほんまにどうでもよくなってきて......まあ"好きやったら聴くやろ"と(笑)。そういう単純に開き直りもあって、そういうものも入れられるようになったのかもしれない。

-今回のアルバム、今までのもやもやみたいなものが吹っ切れた感はあるなと思ったんですよね。今まで虚勢を張っていた部分や、きっとこうしたほうがいいんだろうなと思いながらやっていた部分とか全部置いといて、最近のバンドの流行とかもどうでもいいから、自分たちの好きなことをやろうよ! みたいな印象はありました。

白山:流行りを気にしないというのはたしかにあったかもしれないですね。

森:そうですねえ。うん。......同じシーンでまとめられるであろう人らと比べられたりするやないですか。でもそんなんカレーとラーメン比べてるようなもんやで、と思うし。だいぶ吹っ切れたと思います。同じ世代の人と語り合うとかは......意見がどんどん平均化されていくだけやから、もういいんです(笑)。それやったら自分がこれから行くところにおる年上の先輩とか、自分には過ぎ去ってしまった日々を過ごしている年下の後輩とかと話をするのが俺は好きやったりするし。でも同世代でも、考えかたとか生きかたとかめっちゃ好きなやつとは仲いいですよ。

-その集合体がBrian the Sunなんでしょうね。

森:そうですね。

-『彼女はゼロフィリア』のときは2013年に感じた憤りが裏テーマになっていたけれど、今回はその憤りをそのまま出すのではなく、制作へのエネルギーに昇華して、自分たちが信じる音楽をやっていこうとしているような。音楽へ向かう心持ちはシンプルにはなっているのかなと。

森:ああ、その通りですね。憤りもあるけど、(世間がどうとかは)結構どうでもよくなってる(笑)。それは投げやりではなくて、どっちもいいなと思えるようになったというか。気持ちの整理がつけられた気はします。物事には両極のものが共存していて、それが角度によって見えかたが違うだけという考えかたができるようになったんで――そういう意味では広がったのかもしれないです。それをより強く実感することが、今年は増えてきたんで。ライヴの評価ひとつでもそうじゃないですか。両極端の意見があることは頭ではわかってても、体で実感したり心でわかることは別なんで。そこで安心できるようになったというか、余裕というか......どっちでもいいやと思えるようになったんですよね。

-みなさんも出演なさる、2015年3月公開の、結婚をテーマに7つのエピソードが繰り広げられる映画"ハッピーランディング"の主題歌にTrack.10「アブソリュートゼロ」が決定ということで。こちらもとてもおめでたいです。

森:レコーディングをしている最中に、そういう話が決まるかもしれへんというのは聞きつつ、決まったのは録り終わるくらいのときで。脚本読ませてもらったら「アブソリュートゼロ」とたまたまテーマが一致していたから、合うんじゃないかと思って。そういうのも来るべきときが来た、みたいなタイミングやと思うんですよね。

白山:今回のアルバムにはピアノ弾き語りヴァージョンが入ってるんですけど、映画用にバンド・ヴァージョンも作ってあるので。

-そうなんですね。ピアノ弾き語りのほうがアルバムに合うと?

森:ラストの「忘却のすゝめ」という曲がアコースティックなイメージやったんで、あんまりロックロックした感じの曲は後半には要らんかなあと思ってて。せっかくCD買ったならしんみり聴き入る曲も欲しいしと思って。......まあでも、ピアノ弾き語りにした本当の理由は、(バンド・ヴァージョンが)間に合わなかったからなんですけど(笑)。でも"弾き語りで入れるのもアリなんじゃないの?"という話になって。

白山:アルバムの中でも対比ができたし、曲自体もアルバムはアルバムで、映画は映画で楽しめるやろうから、結果的にはすごくいい方向にいったと思います。

小川:しかもピアノ弾き語りの曲があのポジションにあることで、だいぶ落ち着いたよね。バンドのCDやけど良太の弾き語りを入れるというのは結構思い切ってるし。でも頭からの流れで聴いたら、「アブソリュートゼロ」でキュッと締まるし。

白山:「アブソリュートゼロ」のあとの「忘却のすゝめ」のフェード・アウトからリピートしていただくと、また1曲目の「Intro」でドラムからまた上がっていくという......そこはちょっと意識しましたね(笑)。

森:何回も聴いてね~ってね。