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INTERVIEW

Japanese

WHITE ASH

2013年12月号掲載

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Member:のび太

Interviewer:石角 友香

-ARCTICの話ばかりで恐縮なんですが、彼らって今の時代の他のジャンルの最新形もちゃんと取り入れるバンドじゃないですか。そういう意味でもWHITE ASHには同時代性を感じます。

そうですね。彼らに対していちばん尊敬してる部分は、他の人たちは自分たちにとって関係ないというか(笑)、"自分たちがどうか?"というところを大事にしているところ。それがカッコいいなと思うし、共感する部分で。たとえば今の邦楽ロック・シーンを分析的に見ると、四つ打ちでBPMの速いダンス・ロックが主流じゃないですか?特にフェスに来るお客さんは若い子が多いんで、わかりやすくノれるものって気持ちがいいもんだと思うんですね。同じ動きで一体感を共有したいという気持ちはすごくわかるんです。ただそれ以外にももっと自由に体を動かしてもいいんじゃないかな?とすごく思っていて。だからテンポの早いもので体動かせるっていうのがひとつの主流としてあるんだとしたら、僕はどれだけテンポを落として、すごくノレるものを作れるか?そこは今回のアルバムでは意識したところなんですね。

-たしかに今回は速さよりグルーヴやドラマティックなイメージが強いですね。

それはシーンをちゃんと意識した上で、シーンとは別の、いわゆるライバルがいないところで、今回のアルバムのようなことをやるからこそWHITE ASHというバンドが存在する意味にもなると思ってるんです。他で聴けるものを僕らがわざわざやる必要がないというか。でも、そこで今の主流を好きな人を置き去りにせずに、ちゃんと今回で言えば2曲目の「Number Ninety Nine」のように、たぶん今のロック好きな子たちが"あ、この曲カッコいいよね"って言える曲もあることを見せて、その上で僕らが進めていきたい音楽のあり方はこれなんです、っていうのを呈示したい。

-今回の2ndフル・アルバムの前にシングルも2作リリースしていて、その課程でアルバムのことも考えていたんですか?

普通だと"前作"って去年の7月に出た1stアルバム(『Quit or Quiet』)だと思うんですけど、僕はシングルとかアルバムとかすべてひっくるめて作品だと思ってて。だから僕にとっての前作は、今年の8月に出した『Crowds』なんですね。イメージで言うとシングルは小さい絵で、アルバムは大きい絵であって、その絵はおのおので完結してるんです。

-だから今回のアルバムには「Velocity」も「Crowds」も入っていないと。

そうなんです。メジャーで1枚目のアルバムって、いちばん人目につくであろうアルバムにも関わらず、しかも1コ前のシングルはアニメのタイアップになってるのに(笑)、それを入れないっていうところで、スタッフの方たちを泣かせてしまってる部分があると思うんですけど。でも全部新曲ってところで、僕らがひとつひとつの作品に対して、どれだけこだわりを持ってるか?っていう意味ではむしろ説得力につながると思うんですね。僕自身、好きなアーティストは常に新曲を聴きたいし、去年の7月に出したアルバム以降、出したシングルにはカップリングを2〜3曲入れてますけど、全部揃えても曲はかぶってない。そういう姿勢からひとつひとつのシングルやアルバム、ミニ・アルバムを大切にしてるっていうことをわかってもらえるんじゃないかなと思ってますし、そういうこだわりをちゃんと呈示していくことって、それこそ飽和状態にあるシーンにおいて、すごく大事なことだなって思ってるんです。

-単曲で聴きたい人は配信で買えるという現実もあるし。

うん、うん、そうです。