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INTERVIEW

Japanese

SEBASTIAN X

2013年08月号掲載

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Member:永原 真夏 (Vo)

Interviewer:天野 史彬


-なるほど(笑)。あとこれは、お客さんとのコミュニケーションの話にも繋がってくると思うんですけど、「光/男/カメラ」の中に“同じように見てる人が 同じように話せる人が どこかにいるとしたなら”っていう歌詞がありますよね。これは暗に、人と人とが100パーセントわかり合うこと、同じ気持ちを持つことはできないっていうことを表しているものだと思うんですけど、どうですか?

そうですね。1人ひとりが何にも寄りかからずに、自分の感覚を大事にして生きていくことができたらいいっていうのは、ずっと自分の中にあるテーマで。それができたら、共感者として集わなくてもいいし、集わなくてもちゃんと力を持つようなものができるし。そういうふうにお互いが支え合って、尊重したり、尊敬し合って生きていけたらいいなって思ってるんですよ。それに、ほんとに同じ感覚を持ち合わせてる者同士は、会って会話をしなくてもいいんですよね。ファンタジーっぽい話になっちゃうんですけど、たとえば私とはまったく違う状況で生きてきて、もしかしたら一生会わないかもしれなくて、だけど私と同じような気持ちで動いたり、同じような感覚を持って生きている人がいたら、きっとその人たちはそっちの角度からやってくれるから、もちろん会って喋ってみたいなって思うし、出会って仲よくなりたいなとも思ったりするけど、会う必要はない。自分たちがたくましく生きていくだけでそれは意味を持つから。

-それは裏を返すと、違った意思、考え方を持つ者同士が集まって、ぶつかり合って生まれてくるものには、凄く価値があるっていうことでもある。

同じようなトピックをつまんで同じ枠組みにするのって、普通に考えると気持ち悪いじゃないですか。人って違っているものだから。仲がいい友達とか、家族とか恋人だと、尚更その違いってわかるもので。仲がよくて毎日一緒にいるのに“まぁ違うよね”っていうのは、近くに行けば行くほどわかるものだし。それを最大公約数みたいなものでまとめていくのは素直に気持ち悪いなって思う。人は1人ひとり生きていかざるを得ないから。でも、みんな1人ひとり生きてるって思うと、見える世界って変わるんですよね。私はそう思うと、凄くいろんな人のことを尊敬するようになったし、“人はそれぞれの人の価値観と、時間軸と、発想、思想で生きていくしかないんだ”って考えると、みんな尊敬できるようになって。それを私は、“みんな目に見えない王冠をかぶってる”って表現してるんですけど。みんな自分の思想の王様だから、凄いなって。そういう人たちとコミュニケーションを取り合って生きていくんだなって思った時、みんながみんな、ちゃんと王様だったら、繋がっていけるなって思ったんです。

-それはバンドの組織論とか、リスナーとの関係性にも表れてきますよね。

バンドでも仕事でも、全員が王冠をかぶってたら責任も持てるし、信頼も生まれるし、敬意も生まれるし。やっぱり、自分に王冠をかぶせるのって1番しんどい。他人には勝手にかぶせられるじゃないですか。“ちょっと、社長~”みたいな感じで(笑)。でも、自分にかぶせるのが1番怖くて。それでも自分に王冠をかぶせようと思ったのが、このアルバムです。なので、ジャケットでも自分で王冠をかぶりましたし。でも、それは自分だけが王冠をかぶってるんじゃなくて、みんなかぶってるっていう意味合いで。

-今って、特に10代の人たちとかには、ボーカロイドに象徴されるような“個”から生まれる表現が凄く強い力を持ってる時代だなって思うんです。そこにはそこの切実さがあるんだけど、SEBASTIAN Xはバンド内でもそうだし、それ以外の部分でも、個と個がぶつかり合って生まれるエネルギーみたいなものを今の時代に鳴らしてますよね。

うんうん。そうですね、ぶつかり合ったり調和したりしながら、その結果生まれるものって、やっぱりパワーがあると思うので。私はそれを、ずっとやりたいなって思います。