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INTERVIEW

Japanese

SEBASTIAN X

2013年08月号掲載

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Member:永原 真夏 (Vo)

Interviewer:天野 史彬


-僕、1曲目の「POWER OF VITAL」のイントロが凄く好きなんですよ。ベース、ドラム、ピアノがぶつかり合いながらも調和していく感じが、凄くバンドの関係性を象徴しているし、もっと言うとこのアルバムを象徴しているなと思って。

これは個人的になんですけど、今回のアルバムは自分を解放して、素の自分にもっともっと近づきたいっていう気持ちがあって。それこそ、17歳の時にみんなで最初に組んだバンドがあって、そのヴォーカルの女の子が大人になったアルバムにしたいっていう気持ちがあったんです。で、この「POWER OF VITAL」のイントロは、その17歳のバンドやりそうなイントロなんですよ。出だしの“キック・スネア・ハイハット OK!”っていうのも、そのバンドの歌詞からの引用だったりします。「POWER OF VITAL」は、そういうドラマのある1曲目なんですよね。大人になるに連れての変化とか、趣味とか、その時の気分とかで人は変わっていくと思うんですけど、でもやっぱり本来自分が持ってるものを追求しようと思ったアルバムなので、こういう曲ができたんだと思います。

-17歳の頃の自分を見つめてみる作業っていうのは、『ひなぎくと怪獣』の時に、今までは自分のルーツでありながら禁じ手であったパンク・ロック的なアプローチを取ろうとしたことと地続きなのかなって思うんですけど、パンク・ロック的なことをやってみようっていうのは、今回のアルバムでもあったんですか?

パンク・ロックみたいなものをSEBASTIAN Xっぽくやってみようっていうのが『ひなぎくと怪獣』だとしたら、それをリリースしてライヴでやってみた結果、これしかできないんだなって気づいたんですよね(笑)。結局、うちのバンドはガチャガチャしてるし、音もデカいし、 “抑揚つけろ”って言われても“うわー!”ってやっちゃうし(笑)、これもう諦めようよって。でも、これは逆に最大の長所だよなって自分たちで認めたんです。その中で、いろんな音楽的なアレンジとかジャンルとかを楽しんでサーフしていったっていう感じに近いんじゃないかなぁ。

-なるほど。「DNA」の中に、“そう連鎖して そう連鎖して 私の血に刻まれたアナーキー”っていう歌詞がありますけど、『ひなぎくと怪獣』を通して、パンク・ロック的なものを、音楽性以上に自分たちの“血”として認識したっていうことですよね。

そうですね。やっぱり若い時って、人付き合いのやり方とかもわかってないから、自分の軸にしてるものとか憧れとかが1番露骨に出る時期じゃないですか。そういう時に得たもの……それこそ私はパンク・ロックが大好きだったけど、その精神を失ったことはないと思ってるので。アナーキーっていうのは、ファッションとかジャンルじゃなくて1人ひとりの精神だと思うんです。演歌やってる人でも、絵を描いてる人でも、主婦でも、必ずそれぞれ1人ひとりにあるものだと思っていて。私はほんとにパンク少女で、昔はそれこそ鋲ベルトとかでパンク・バンドを観に行ってて、パンクの精神論とか美意識が凄く好きだったんです。それで、20歳超えたぐらいから、ずっと自分なりのパンクを追求しようと思ってきたんですね。SEBASTIAN Xっていう、一見パンクを感じさせない音楽でも、必ず自分の精神があったら、パンクは生きてくると思ってて。「DNA」では、そういうことを初めて曲に込めれたのかもしれないです。パンクが好きな人が“アナーキー”って言っちゃうと、悔しいことにそれはもうジャンルになっちゃってて。でも、私が言うことによって、その言葉の深みとかリアリティみたいなものが生まれるのかなって思ったし、これを聴いた少年少女たちも、ジャンルとかを超越して“アナーキー”っていう言葉が本来持っている感覚に気付けるのかなとも思ったし。