DISC REVIEW
L
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Luminous Orange
Songs of Innocence
結成約18年目を迎えるLuminous Orangeからニュー・アルバムが届いた。2009年にリリースされたベスト・アルバムで存在感を見せつけた彼女たちの今回のアルバムは結成18年目のベテランとはまるで思えない躍動感と喜びが満ちたとても清々しいアルバムになっている。口笛を効果的に取り入れた一曲目からとても心地いい世界が広がる。シューゲイザーという括りで語られる事の多いアーティストだが、不協和音や変拍子を駆使しながらも今作は電子音を新たに取り入れながら、DEERHOOFを彷彿とさせるような展開の読めない不思議なメロディ・ラインで新たな発見を僕らに与えてくれる。ちなみに今作では西浦謙助(相対性理論)やアヒト・イナザワなどの実力派アーティストがサポートで参加している。
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LUNKHEAD
家
ああ、まただ。ランクの曲はまた私の心を開く。「白い声」の衝撃から11年経った今でも、私はLUNKHEADから目が離せないでいる。1月に新木場STUDIO COASTにてメジャー・デビュー10周年集大成となるワンマン・ライヴを行った彼らの10thアルバムは、"家、みたいなバンドでありたい"という思いが込められた渾身作。これまでもランクの新曲を聴くたびに、自分のすべてを暴かれたような感覚に陥っていたのだが、もうこれ以上ないと思っていた心の奥底の扉までもを開いてくれたのが今作だ。無理やりこじ開けるのではなく、コンコンとノックして"うちにかえろう"と連れ出してくれる感じ。そうやってたくさんの人の心がLUNKHEADの"家"へと集まり、この家はどんどん大きくなっていくのだろう。
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LUNKHEAD
メメントモリ
もしも突然、そばにいることが当たり前であるとても大事な人が目の前から消えてしまったら――。ふとしたときにそう考えることは誰しもあるだろうし、実際そういう経験をしてきた人も少なくないだろう。生きている限り避けては通れない死という別れ。だけど、いきているからには笑っていたいし、笑った顔を見ていたい。LUNKHEADの9作目となる『メメントモリ』は聴き手の心にしっかりと寄り添う、強さと優しさを持ったアルバムだ。もともとLUNKHEADというバンドは生や死を歌い続けていたが、メメントモリの持つ“いつか死ぬということを忘れない”という思想が、生きていくことそのものを一層強く後押しした。より深みを増してゆく音像と言葉は鋭く優しく輝く。間違いなく現段階でのLUNKHEAD史上最高傑作。
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LUNKHEAD
青に染まる白
染まりゆく青。染めゆく青。その青は濃く、どこまでも浸透してゆく。だが、生き急ぐ焦燥の青は最早なく、此処にあるのは生き抜こうとする者による二度目の青。生き抜かんとする中で生まれる焦燥とは、こんなにも猛々しいものなのだ。決意という血の通った、LUNKHEADの2度目の初期衝動は、伝わらんとする気迫、歌い抜こうとする覚悟が、凄まじいまでに吹き荒れている。猛進し、猛“信”するその様を、衝動の塊というべきか。いや、衝動の化け物というべきか。キャリア12年目で、尚“青”く染まろうということは、これだけの熱量と踏ん張りが必要なのである。いいか、目を背けるな。耳を、心を研ぎ澄ませろ。前進し、加速し続ける情念を心して見届けるんだ。その時きっと、この“青”は明日を染めゆく青となる。
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LUNKHEAD
ATOM
今年2月に行われたツアーの初日にドラマーの石川が脱退を表明した。しかし公式HPに発表された石川の声明からは彼とメンバーとの間にある想像を超える信頼と深い絆を感じずにはいられない。今回、この通算6枚目となるアルバムは人間同士の繋がりに深くメッセージ性が置かれており、石川に始まり、遠くは他国にいる子供達にまで愛を込めて作られた作品といえよう。出会えたことへの温かさ、孤独に対する普遍性、また光の中にある希望と絶望の2面性を強く叫んでいる。また、今作ではサウンド・エンジニアに比留間整氏を起用。LUNKHEADらしさをより引き出し、厚みと骨のある音に仕上がっている。きっとこのアルバムを聴いたリスナーは、LUNKHEADというバンドの温かさを改めて感じることとなるだろう。
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LUST FOR YOUTH
Compassion
2010年代に入り急速に日本でも注目を集めているコペンハーゲンの音楽シーンを、スウェーデン出身でありながらICEAGEと共に代表する存在となったシンセ・ポップ・バンド。舵を取るHannesに、シーンを代表するレーベル"Posh Isolation"主宰のLoke、すでにキャリアのあるMalthe(元OH NO ONO)が入り、まさに北欧ドリーム・チーム体制となって2作目となる。不敵な顔で坦々とした演奏/歌唱ながら、とびきりに夏を感じさせるシンセ・フレーズ。ポップとエクスペリメンタルの隙間を見事に射抜くバランス感覚には、3人の主張が見事に溶け合っている。中でも最もキャッチーでポップに振り切っているのが「Tokyo」であるところに、3度目の来日もすでに決まっている彼らの遊び心がうかがえる。
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Lym
torch
収録曲に共通するテーマは"夜"。冒頭のアルペジオが冬の空気を連れてくる「シリウス」然り、"音で情景を描く"ということを丁寧に行っているバンドで、その情景に自分の心情を重ねながらの歌詞表現も印象的。R&B/ヒップホップ的なフィールの「ペトリコール」からは新たなトライに前向きな姿勢が、歌詞の表記にも工夫がある「period。」からは細部まで表現を怠らない姿勢が読み取れた。ロマンチックな歌詞表現と"君"の主人公になれない現実の対比が切ない男性目線の曲「選ばれない恋」のあとに、"焦がれたヒロインにはなれないこと分かってるよ"と歌う女性目線の曲「Pupa」が来る流れも秀逸。ラストの「灯し、君へ」には、聴き手に対するバンドの想いが託されている。
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