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DISC REVIEW

D

Only In Dreams

DUM DUM GIRLS

Only In Dreams

昨年リリースされたデビュー・アルバム『I Will Be』から約1年半ぶりの新作が早くも到着。THE DRUMS、BEST COASTらに先駆けてサーフ・ロックにガレージ感を掛け合わせたサウンドをシーンに提示して来た彼女達の新作は、前作にあった勢いはやや押さえ気味なものの、ポップさや楽曲の完成度は明らかに今作のが一枚上だ。プロデュースは前作と同じくRAVEONETTES等を手掛ける大御所Richard Gottehrer。サウンド全体の手触りは変わらないものの、仕上がりは格段に耳馴染みが良く心地良い。ヴォーカルDee Deeの気怠くキュートな歌声も素敵なのだけど、1曲1曲のメロディの良さが際立つ彼女達の成長がしっかりと刻まれた理想的な2ndアルバム。

I Will Be

DUM DUM GIRLS

I Will Be

GIRLS、THE DRUMSと次々と面白いバンドが登場するUSインディのローファイ・ガレージ・バンド勢。続いて登場するのは、DUM DUM GIRLS。現地では既に話題沸騰中の彼女達だが、例えばVIVIAN GIRLSなどと比べると、随分と人懐っこく、ヴォーカルを前面に配したすっきりとしたサウンド・プロダクションが特徴的。RAMONESからVASELINES、RONNETSなどのガールズ・ポップまでをローファイなウォール・オブ・サウンドで包み込むセンスが抜群にキュート。ちょっと一本調子な感が残るソング・ライティングは今後の成長に期待したいが、今のローファイ・ガレージに共通する、ポップ・ミュージックに対する無邪気な空気がしっかりと反映されたバンドだ。

異

dummy-xD

今回の1曲入りシングル『異』は、TOWER RECORDS渋谷・新宿、オンライン限定リリースでのアイテムとなるが、この1曲の中に、dummy-xDというバンド、そしてアンクー(Vo/Gt)の音楽的な原点や表現することのルーツが詰まっている。80年代ポストパンク/ニュー・ウェイヴ的なひりひりに乾いたソリッドなアンサンブルにのせて、繊細なヴォーカルで声の限りに叫びをあげて歌うのは、異なるものへの衝動であり、憧れであり、一方で畏れも滲ませるような複雑な心境であり、自分への戒めでもある。人とは違った存在でいたい、というと単なる承認欲求にも聞こえるし、音には沸々とした怒りも感じるけれど、彼の原点にあるのは自分が変われば世界も面白くなるという思い。その肯定感と殺気立ったとのせめぎ合いが面白い。

magiqlogic

dummy-xD

magiqlogic

2014年は自主企画をマンスリーで開催し、全国流通音源もリリースするなど活動を広げる4ピース・ポスト・ロック・バンド、dummy-xDの2曲入り新作EP。Track.1「analogic」は展開とともに姿を変えていくシンボリックなギター・リフがドラマティックな、ソリッド且つメランコリックな楽曲。Track.2「1,2,3」は睡眠をテーマにした歌詞にエレクトロニカ色の強いアンサンブルを生音で表現するミディアム・ナンバー。2曲とも中性的なヴォーカルが悲痛に響くが、楽曲を司るすべてが美に昇華されている。ミックスはTHE NOVEMBERSやART-SCHOOLなどを手掛ける岩田純也。奥行きのあるクリアな音質で、dummy-xDのサウンドの可能性をそれぞれで二極に広げている。

Komorebi

DURDN

Komorebi

夜明けから深夜までの1日の心の動きや情景をテーマにした、DURDN初のコンセプトEP。アトモスフェリックなピアノ・ループに密かな野望を抱く青年のマインドがうっすら滲む「PRIDE」、起きるまでのほんの何分かの体感を描く「Alarm」、インディー・ポップと少し懐かしい90sテイストが昼下がりの空想時間とリンクする「Spaceship」、台湾出身のアーティスト Howard Leeをフィーチャーした「Pretense」では夕暮れが近づく街で虚勢を張ってしまったことを思い出し少し後悔している様子がリアル。また、シュールな印象のトラックの「Palm」は主人公の青年の孤独と野心が、ラストの「FAKE MOON」では穏やかなトーンに主人公の静かな決心が窺える。全編通して短編映画のような深さが響く作品だ。

Total Dust

DUSTED

Total Dust

THE XXやSBTRKTを輩出したYOUNG TURKSからリリースし、日本ではFUJI ROCK FESTIVALでの壮絶なプレイも話題になったHOLY FUCKのBrian Borcherdtと、FINAL FANTASY(現OWEN PALLETT)でDrとエンジニアをつとめていたLeon Tahenyによるユニットのデビュー・アルバム。Track.1の「All Comes Down」から枯れたギターとローファイかつ儚げなメロディが染み渡る。非常に宅録的で飾り気のないリラックスした楽曲が並ぶのだが、それがより彼らのソングライティングの素晴らしさをむき出しにしている。カントリーやフォークなどのルーツ・ミュージックがもつ普遍的な歌の響きとシューゲイザーやフォークトロニカ等の質感まで感じるインディー・サウンドとの調和。子供の夏休みのように行楽気分にはなれないけれど、夏のうだる暑さが嫌いじゃないあなたのベッド・ルームにこのアルバムを。

Tropical Circle

TAKAKO MINEKAWA & DUSTIN WONG

Tropical Circle

嶺川貴子にとって2000年に発表の『Maxi On』以来13年ぶりのアルバムは、ギタリスト・Dustin Wongとの共作。すべて2人のセルフ・プロデュースにより制作された本作は、細部にまでこだわりと温かさを感じれられるハートフルな1枚となっている。ミニマルな美しいDustinのギター、女性らしく透き通った嶺川の歌声に、キーボード、ドラム・マシンも交えたカラフルで精妙なアンサンブルは、どこまでもピュア。その穏やかなサウンドは、大自然の中で川のせせらぎを聞いたときに似た、思わず深呼吸したくなるような気持ち良さがある。5月26日にShibuya O-nestにてリリース・パーティーの開催も決定。安らぎのポップ・サウンドを、体感してみてはいかがだろうか。

I'm your DADDY

DUTCHDADDY

I'm your DADDY

90年代のUS/UKインディー・ロックやパワー・ポップ、3コードでギターをじゃきじゃきとかき鳴らしドカスカとビートを走らせるTHE MUFFSや、THE LA'Sのような煌めきのポップ・サウンドまでを奏でる3ピース。カラリとしたサウンドを、岩切麻由(Vo/Gt)のヴォーカルがよりパワフルにも、エモーショナルにも彩っていくことで、洋楽にどっぷりと寄りすぎない、歌を真ん中にした親しみやすい内容にもなっている。メロディは聴かせどころのひとつであるけれど、メタル好きな草野ひろ明(Dr)による歯切れのいい、さりげなくキメのあるドラムと、ノイジーでいて、パワー・ポップ好きらしい心地好くクセになるコード感を聴かせるネイタクヤ(Gt)のギターという、シンプルでいて個性のあるサウンドも肝。

スマイル3

D.W.ニコルズ

スマイル3

不覚にも涙がこぼれてしまった、知らない誰かに優しくされたような感じで。せっかく春なのにイマイチ元気が出ない人、周りは休みを謳歌してるのに仕事や就活や勉強で心がささくれがちな人にこそ聴いてほしい。びっくりするほどエゴがない、わたなべだいすけの歌、そしてバンドの朗らかで有機的な演奏は、言葉じゃなくて、ただ青空やこの季節の空気を感じ取ることの"実"はとても大きな効果を思い出させてくれる。子供が聴いても楽しめそうな"おまじないソング"が書けるということは、楽しいことに全力を注いでいる大人の証拠だったりする。でもそんなことはあとでわかればいいこと。忙しい日々の隙間のような時間にも"WONDER"はある。ひとりでも誰かとでも何かを探しに行きたくなる魔法の1枚。

LIFE

D.W.ニコルズ

LIFE

10年という月日は長い。しかし、振り返ってみるとあっという間だったりする。D.W.ニコルズにとって、結成から今に至るまでの10年間はどうだったのだろう? エモーショナルな名曲「愛に。」から、アットホーム感に満ちたライヴ音源「haleiwa」まで、彼らの魅力をたっぷりと詰め込んだこのベスト盤を聴けば、その濃密さは窺い知れる。今作のタイトルにもなっている新曲「LIFE」で彼らはこう歌っている。"果てしなく まっすぐで 限りなく まっ平ら そんな道などどこにもない"――曲がりくねった道も、急な坂道も乗り越えて、人は笑うのだ。もちろんニコルズにだって困難はあったのだろう。それでも歩みを止めず進んできたからこそ、彼らの音楽は老若男女関係なく人々を笑顔にする。何気ない日常に、そして人生に寄り添ってくれるあたたかい1枚。

スマイル2

D.W.ニコルズ

スマイル2

2015年にいよいよ結成10周年を迎えるD.W.ニコルズ。数々のライヴでたくさんのファンに笑顔をもたらしてきた彼らが、6月にリリースした前作に続く『スマイル』シリーズ第2弾を発表。今作も"ニコルズらしさ全開"のとびきりハッピーな作品だ。嫌なことを吹き飛ばしてくれそうな爽快ソング「ローリンローリン」や、わたなべだいすけ(Vo/Ag)による言葉遊びのセンスが光る「波瀾爆笑」、短編映画のような「遠藤」など、6曲とも個性的でありながら、思わず一緒に口ずさんでしまう曲ばかり。中でも、ザ・ドリフターズをイメージしたという「ニコルズのドンマイマイのマイ」は、前作収録の「フランスパンのうた」と共にニコルズのライヴを盛り上げる2本柱となる予感。ぜひともライヴ会場で"ドンマイマイのマイ!"とシンガロングしたいものだ。

マイライフストーリー

D.W.ニコルズ

マイライフストーリー

C.W.ニコル氏公認のD.W.=わたなべだいすけ(Vo& At) 率いるギター・ポップ・バンドD.W. ニコルズが2009 年9月9日( サンキューの日) にいよいよメジャー・デビュー。2005年結成、1枚の配信シングルと2枚のミニ・アルバムをインディからリリースしTOWER RECORDS 新宿店のインディーズ・チャートで1位を獲得するなど徐々に頭角を表してきたD.W.ニコルズ。爽やかで透明感ある歌声と、前向きで背中を押される様な歌詞が印象的。口ずさめる耳馴染みのいいメロディと寺岡呼人プロデュースによるカラッとしたサウンド・プロダクション。「イイ曲しか作らない」をモットーに男女混合の4人で作り出した天気のいい日に似合うポップ・ソング集。