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少年がミルク (23)
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少年がミルクの約1年ぶりの新作となる1stシングルは、前作『トーキョー・ネコダマシー』で描いたお洒落な空気感をさらに強め、ギラギラしたシンセサイザーを抑えた大人っぽいサウンドと、チャイルディッシュな歌声の対比が際立った作品となっている。曲タイトルもさながら懊悩煩悶する様を毒々しく切り取った「嘔吐」で幕明けし、孤独な都会の夜を思い浮かばせるクリアでダークなピアノ・ロック「アタシッテレコード」、生活感のある風景を描きながら、男女それぞれの目線から生々しく恋人への想いを歌う「ちゅうして」、"孤独なんだよ姑息なんだよ ハッシュタグばっか連なって"など現代への皮肉めいた歌詞が鋭い「イツツノツノ」で締めくくる。4曲それぞれに表情の違う歌声と才筆をふるう彼女の魅力が溢れ出す。(稲垣 遥)
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アルバムを幕開ける「トーキョー・ブルーガール」は、少年がミルクとして思い切りポップに振り切った、洒落たシティ・ポップに仕上がった。街にうまいこと溶け込んで生きられない子たちがシュールに、そして愛を持って描かれ、歌われているのはなんともアイロニカルだけれども、その裏腹さは少年がミルクらしいところでもある。この初のフル・アルバムは、少年がミルクというアーティストの、不条理な世界観や、心を鮮血で染めるような激しい筆致で書かれる詞、また、ドリーミーだが痛みの海をたゆたうような痺れる歌を、とてもチャーミングに切り取っている。ミニ・アルバム3作を重ね、作曲を手掛ける水谷和樹との感性の掛け算の値が大きくなってスケール感が増し、独自のポップ・ワールドを生んだ。 (吉羽さおり)
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少年がミルクいわく、ラヴ・ソングばかり詰め込んだアルバムだということだが、ここには愛や恋、それにまつわる切なさや愛しさ、憎しみや困惑みたいなものとは違った、ヒリヒリとした情感がある。不条理な「I love you」(Track.1)、心が背中合わせなことをわかっているふたりを描く「qualia」(Track.2)、ふんわりと甘ったるい恋の歌を蹴散らす「アンチラブソングヒーロー」(Track.3)、琴線を共有するふたりを綴る儚く美しい映画のような「聴こえないくにのくちづけ」(Track.4)。物語的で想像力をかき立てながら、鋭利なナイフで秘めた思いやエゴを切り出される感覚を味わう曲が揃う。3作目にして、作曲を手掛ける水谷和樹(Gauche.)との共犯関係も深まり、激しくもエレガントに心を射抜くサウンドで暴れまわっている。(吉羽 さおり)
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『KYOKUTO参番地セピア座』に続くミニ・アルバムは、"GYUNYU革命"というポップなタイトルやアートワークに反し、頭から終わりまでヒリヒリとして、さかむけた心を赤裸々に晒し、聴き手の心も剥いていく感覚だ。エモーショナルなヴォーカルになったが、泣いたり喚いたりで共鳴させるよりも、研ぎ澄ました攻撃性で、ここは痛いはずだと的確に深く切り込むスピードが凄まじい。とても耳当たりのいい歌声で、そんなことをやってしまう。作曲を手掛ける水谷和樹(Gauche.)のサウンドは自由で、ポスト・ロック的な「CURTAIN CALL」や、ギター・ポップ、ロックなどを彼女にぶつける。少年がミルクはその音から美しい映像を浮かべ、そこから深層にある泥臭くも鋭利で、時に容赦なく壮絶な言葉を産み落とす。だからこその、痛みだろう。(吉羽 さおり)
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連想ゲームのような言葉の連なりだったり、目に入ったものすべてにシャッターを切っていくようなスピード感であったり、現実と想像とが曖昧に混じり合ったようなどこでもない街の風景だったり、あるいはカットアップ的に脈絡のないフレーズが織りなされ不思議な情感を生んだり。少年がミルクの歌の世界、感触や匂いは、とても独特だ。彼女特有の言語感や言葉のリズムを持ったその歌は、心をきゅっと掴んで揺さぶるものがある。淡くチャイルディッシュなヴォーカルとサウンドで、ポップでファンタジックに、きらきらとセンチメンタルに響く。音のタッチは愛らしくすらある。でも、その余韻は、美しいばかりでも、悲しいばかりでもない。デジャヴに似た、これは何だろうと鼓動が逸るような、甘みも苦みもあるような感覚がじわりと広がる。(吉羽 さおり)
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