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Japanese
2024年現在、これほど要素としてはオーソドックスなロック・バンドが未だに新しい聴感を開いてくれることに少し驚愕してしまう。結成30周年を迎え、ライヴ・メインの活動を経て約4年ぶりに完成したアルバムをセルフネームにするのも納得のオリジナリティである。メンバーが各々2曲ずつ作詞作曲の両方を手掛け、オルタナティヴ~モダン・ロックの髄をバランス良く配置しているのもいい。Track.1とTrack.10にピアノやチェロが聴こえる程度でほぼ全編4リズムのバンド・アンサンブルであるにもかかわらず、アレンジのアイディアの豊富さに舌を巻く。Track.4でのサウダージなアコギとセンシュアルなエレキの絡みや、インディー・ポップ調のコード感でありつつ音はソリッドなTrack.7などファン以外にこそ聴いてほしい曲が揃う。
Plastic Treeの有村竜太朗(Vo/Gt)がソロ名義で発表してきたミニ・アルバム『個人作品集1996-2013「デも/demo」』(2016年)、『個人作品集 1992-2017「デも/demo #2」』(2018年)、シングル『円劇 / engeki』収録曲のリアレンジ・アルバム。各々、アレンジャー&ギタリストとして悠介(lynch./健康/Gt)、小林祐介(THE NOVEMBERS/THE SPELLBOUND/Vo/Gt)、生熊耕治(cune/BLUEVINE/Vo/Gt)を迎えているが、原曲やアコースティック・アレンジとは一転、ライヴ感満載のハードコア・パンクやガレージ、オルタナティヴ・ロック色を濃くしている。オリジナルでも小林が参加していた「19罪/jukyusai」のリアレンジ「≒jukyusai」の初期パンク的な破壊性、悠介がギターを弾いた「≒sikirei」はよりザラついたグランジテイストとエレジーを感じる仕上がりに、楽曲が孕む二面性が、有村の意志とそれを嗅ぎ取った今回のメンバーにより炙り出された感じだ。
Plastic Treeの通算41枚目となるニュー・シングルは、収録された2曲ともにPlayStation®Vitaゲーム"Collar×Malice -Unlimited-"とのタイアップ楽曲となっている。表題曲「インサイドアウト」は同ゲームの主題歌で、疾走感溢れるロック・ナンバーに有村竜太朗の艶のあるヴォーカルが映える。シンプルな曲構成ながらも、随所に散りばめられたテクニカルなギター・フレーズがアクセントとなり、聴き手を惹きつけていく。ゲームのエンディング・テーマであるカップリングの「灯火」は、鍵盤とストリングスが厳かで幻想的な雰囲気を醸し出す1曲。有村がしっとりと歌い上げるメロディはタイトルのとおり"灯火"のように儚げで、息を呑むほどに美しいバラードに仕上がっている。
Plastic Treeには一度たりとも裏切られたことがない。この20年余り、どのアルバムもすべてが傑作だったと断言できるのだが、いよいよ今作の秀逸さにはいつも以上に唸らされることとなってしまった。メンバー4人全員がそれぞれに作詞作曲を担えるだけのクリエイティヴィティを持っている点がいかんなく発揮された、各楽曲の高いクオリティしかり。時に感情過多なほど、濃厚な音像がこれでもかと溢れ出す圧倒的な叩きっぷり弾きっぷり歌いっぷりしかり。聴き始めたが最後、受け手である我々にはPlastic Treeというバンドの持つ懐の深さにただただ魅了される選択肢しか残されていないのだ。Plastic Treeの新たなる局面へと向けた、渾身の1枚。ここにきて、彼らはまた不朽の名盤を仕上げてくれたと確信する。
1月に発売したシングル『念力』に続く、メジャー・デビュー20周年"樹念"の第2弾シングル『雨中遊泳』。「念力」は、インダストリアル・ロック的なずっしりとしたヘヴィさと、電子的なソリッドさが冴えたスタイリッシュな曲だったが、今回の「雨中遊泳」は、これぞPlastic Treeという陰影のある曲となった。微妙に揺らぐ空気、誰かの気配が消え、空気の密度や温度、肌触りが変わるその"雰囲気"を、アンニュイでひんやりとしたサウンドと歌で綴る。前作のような重量感はない音のように聴こえるが、"雨中"のノイズ感がギターやベース、ドラムなどで表現されたシューゲイザー・サウンドが、甘美で狂気的な美しさを放つ。カップリングで「ユートピアベリーブルー」の突き抜けたエレクトロ・ダンスが並ぶのもまた狂気。
メジャー・デビュー20周年を迎えた2017年第1弾となるシングル。"ノリやすい曲を作りたかった"という作曲者・長谷川 正(Ba)の言葉どおりに、表題曲は歪んだベースにエレクトロ・サウンドが絡むダンス・チューン。Plastic Treeの進化形を見せつつも、妖艶で浮遊感漂うヴォーカルとトリッキーなギター・フレーズがフィーチャーされ、デビュー20周年を経てもなお変わらぬ、彼らのサウンドの機軸もしっかりと聴かせてくれる。カップリングには、ナカヤマアキラ(Gt)作曲/佐藤ケンケン(Dr)作詞というコンビもすっかり定着した感のある「creep」。さらに通常盤には、バンドの20年を見守ってきた曲とも言える「サーカス」のライヴ・アレンジ・バージョンも収録。彼らのライヴで感じさせる、息を呑むような空気をもパッケージされていて、その20年を知る最高の作品に仕上がっている。
オープニング・テーマとなる「サイレントノイズ」、そして2パターンのエンディング・テーマとして作られた「静かの海」と「シンクロ」という、いずれもゲームのために書き下ろされた3曲からなるニュー・シングル。とはいえ、いずれもPlastic Treeが色濃く出た曲が揃っている。ダークでいて、何層にも折り重なって匂い立つようなグラマラスな雰囲気のあるギター・サウンドと、ストイックさの光るタイトなビート、そこに有村竜太朗のヴォーカルが乗る。気だるげで、同時にヒリヒリとした緊張感も滲んでいる、どこか触れがたいような魅力がある歌声は、"サイレント"と"ノイズ"という相反するワードが結びついたこのタイトルにも重なる。リリカルな「静かの海」と、USエモの香り漂う「シンクロ」もカップリングながらキラー・チューンだ。
続けたいけど、続けるにはベクトルを変えるというか――ちょっと背中を押してもらいたかったのかもしれない
Plastic Treeという看板を背負っている以上、あとには一歩も退けない
メジャー・デビュー20周年"樹念" 初期衝動を封じ込めたニュー・シングル完成
Plastic Treeが生み出す、静かな狂気
環境の変化の中で死に物狂い、無我夢中で作った2年振りの新作
それぞれの楽曲が持っている潜在能力を、新たにいろいろと引き出してもらえた感じがします
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