Japanese
Plastic Tree
2017年09月号掲載
人徳ならぬ、"バンド徳"というものがあるとするならば。このたびPlastic Treeがリリースするメジャー・デビュー20周年を"樹念"したトリビュート・アルバム『Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~』は、彼らの持つバンド徳が全編に溢れかえった1枚だと言えよう。THE NOVEMBERSやMUCC、People In The Boxなど、総勢12組もの多岐にわたるアーティストたちが、Plastic Treeに対する愛情や尊敬の念を音として具現化している様は実に興味深い。なお、9月16日からは最新シングル『雨中遊泳』にちなんだ秋ツアー[Plastic Treeメジャーデビュー二十周年"樹念" Autumn Tour 2017「雨を観たかい」]が開催され、そのファイナルは有村竜太朗と長谷川 正の故郷である千葉県文化会館での凱旋公演となるそうだ。
有村 竜太朗(Vo) 長谷川 正(Ba)
インタビュアー:杉江 由紀
根を張り、枝葉を伸ばし、年輪を重ねてきた"Plastic Treeという樹"のもとに。このたびは全12組の魅力的なアーティストたちが、ジャンルの壁を超えて集うこととなった。9月6日に発表される、Plastic Treeのメジャー・デビュー20周年を"樹念"したトリビュート・アルバム『Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~』。この作品は、通称"海月(くらげ)"と呼ばれているPlastic Treeのファンの方たちにとってはもちろん、各参加アーティストの支持者たちにとっても興味深いものになっていると言えよう。
"僕もまさに、そこについての興味心は結構前からあったんですよ。これだけ長く活動してきているのもあって、近年はウチのバンドに対して"前から好きでよく聴いてました"みたいな声をいただく機会もいろいろと出てきていましたし、そう言ってくれるアーティストの人たちの音楽も、逆に自分にとって純粋に"いいな"と思えるものばかりだったりするので、今回はそういう公私ともに仲のいい方々との音楽的な部分での繋がりをトリビュートとして、かたちにしてみたかったんです"(有村)
"せっかくのメジャー・デビュー20周年、というタイミングですしね。ライヴやイベントというかたちとはまた別に、ここで「CDを出す」という意味での記念になる作品をリリースしておきたい、という気持ちもありました"(長谷川)
かくして、今作に参加することになったのはPELICAN FANCLUB、氣志團、清春、People In The Box、相川七瀬、緒方恵美、a crowd of rebellion、GOOD ON THE REEL、MUCC、LM.C、R指定、THE NOVEMBERSという、豪華にして多岐にわたるメンツ。
"実は、この企画が持ち上がったことで初めて繋がりを持てた方もなかにはいらっしゃったりするんですけど、結果的にこのアルバムは昔から仲がいいとか、「はじめまして」な方であるとかにかかわらず、いずれにしても僕らが「参加していただきたいな」と思う方たちばかりに参加していただけました"(有村)
ちなみに。有村、長谷川が同郷であるというよしみから以前ツーマン・ライヴを行ったこともある氣志團については、本企画が動き出したころに團長・綾小路 翔氏と有村が某回転寿司屋にて邂逅し、有村からその場でダイレクトにオファーをしたのだとか。
"今年は氣志團も20周年だし、翔やん(綾小路)も忙しい人ですけどね。カウンター越しでお茶をすすりながらの話であったにもかかわらず(笑)、快諾してもらえました"(有村)
"普段の氣志團とはまた違った表情というか、この「プラットホーム」からはなんだか甘酸っぱさを感じました。彼らのパブリック・イメージになぞらえて言うなら、ヤンキーならではの純情さや少年性が滲み出ていて(笑)、聴いているとキュンとしちゃいます"(長谷川)
こんなに聴き応えがあって贅沢なアルバムが作れたなんて、バンド冥利に尽きますよ
無論、このケースに限らず、各々のアーティストたちが持つ個性や特徴がPlastic Treeの楽曲たちと交わることで独特の光を強く放っていることは、言うまでもない。
"People In The Boxの「エンジェルダスト」なんかは、聴いて「天才だな!」と思いましたよ。素晴らしかったですね。彼らに限らず、今回のトリビュートではそれぞれの楽曲が持っている潜在能力を、新たにいろいろと引き出してもらえた感じがします"(長谷川)
"People In The Boxは、僕がもともと好きなバンドだったんですけど、彼らもインディーズ時代から僕らのことを好きでいてくれたらしくて。彼らのフィルターを通して、ここまでやってくれたのが嬉しいです。僕が一番仲良くさせていただいている先輩である清春さんに、僕らの代表曲のひとつである「メランコリック」を選んで歌ってもらえたっていうのも感慨深かったですね。20年以上の付き合いになるMUCCの「3月5日。」からは、すごく愛情を感じました。友達でもあってレーベルメイトでもあるLM.Cの「ツメタイヒカリ」は、原曲よりもさらにポップになって彼ららしいイメージ。R指定の「Sink」はアレンジが凝ってて「おっ! 頼んで良かった」と思いました。a crowd of rebellionの「梟」も非常に強烈でしたねぇ。バンドのキャラがまんま出ているし、あの発想はなかったから圧巻だった。PELICAN FANCLUBの「水色ガールフレンド」は、原曲の透明感がさらに増した感じがいいと思います。相川七瀬さんの「サイレントノイズ」も昔からよく知っているあの声で自分たちの曲が歌われている、という感じが面白かったし。もともとヴォーカルの千野(隆尋)君がウチのファンでいてくれたっていうGOOD ON THE REELの「空白の日」からは、音や歌から彼らの思い入れを感じました。それから、THE NOVEMBERSの「アンドロメタモルフォーゼ」も日本人離れしたあの音がすごく好きです。ひたすら「感服いたしました!」っていう(笑)。緒方恵美さんの「みらいいろ」も、「新世紀エヴァンゲリオン」がずっと大好きな僕らとしてはめちゃめちゃ感動でしたよ。あれは半ば、シンジ君が歌ってくれているようなものですもん!!"(有村)
なお、今作には2007年に行われたPlastic Tree初の日本武道館公演でのみ無料配布された幻の楽曲「ゼロ」が彼ら自身によってリテイクされて入っている点も見逃せない。
"僕らも今作に参加させてもらいました(照笑)。こんなに聴き応えがあって贅沢なアルバムが作れたなんて、バンド冥利に尽きます。つい2枚目、3枚目も出したくなってきちゃう。次が出せるようにこれからも頑張らないと......次は30周年のときかなぁ(笑)"(有村)
-
PELICAN FANCLUB
-
氣志團
-
清春
-
People In The Box
-
相川七瀬
-
緒方恵美
-
a crowd of rebellion
-
GOOD ON THE REEL
-
MUCC
-
LM.C
-
R指定
-
THE NOVEMBERS
▼リリース情報
V.A.
トリビュート・アルバム
『Plastic Tree Tribute~Transparent Branches~』
2017.09.06 ON SALE
VICL-64840/¥3,000(税別)
[Victor Entertainment]
amazon
TOWER RECORDS
HMV
【参加アーティスト/収録楽曲】
1. PELICAN FANCLUB /「水色ガールフレンド」
2. 氣志團 /「プラットホーム」
3. 清春 /「メランコリック」
4. People In The Box /「エンジェルダスト」
5. 相川七瀬 /「サイレントノイズ」
6. 緒方恵美 /「みらいいろ」
7. a crowd of rebellion /「梟」
8. GOOD ON THE REEL /「空白の日」
9. MUCC /「3月5日。」
10. LM.C /「ツメタイヒカリ」
11. R指定 /「Sink」
12. THE NOVEMBERS /「アンドロメタモルフォーゼ」
[ボーナストラック]
13. Plastic Tree/「ゼロ」
- 1