昨年2021年6月に新メンバー さえこ(Ba/Cho)が加入し、それに伴って過去のリリース作品を"総復習"するという壮大なコンセプトを掲げたツアーを全国9都市で開催するなど、精力的な活動を行ってきたナードマグネットが、3rdフル・アルバム『アイム・スティル・ヒア』を発表した。本作にはバンドの勢いを丸ごとパッケージングしたようなオープニング・チューン「YOUR NEW FAVORITE BAND」、さえこの歌声をフィーチャーした「全部だいなし!」、「アナザーラウンド」、須田亮太(Vo/Gt)のWEEZER愛を前面に押し出した「キャロライン」など全11曲を収録。バンドとしての進化と回帰が同居するような"新生ナードマグネット"を堪能することができる作品に仕上がった。
"両A面シングル"というリリース形態は決して珍しくはないが、2曲で畳み掛けようとする強い意志を、ここまでダイレクトに感じることのできるそれは滅多にない。切れ味鋭いハード・ロッキンなギター・リフと、持ち前のメロディ・センスを大胆に振りかざす「FREAKS & GEEKS」、ミドル・テンポから2番では速度を倍に上げ疾走し高揚感を煽る「THE GREAT ESCAPE」。全国の"ギーク"で"フリーク"で周囲に馴染めない人々に大脱走を呼び掛け、ナードマグネットという自由の地を開放するかの如き熱いメッセージと、ド迫力のサウンドとのマッチングは、パワー・ポップの王道を貫きながらも、そのジャンルをネクスト・ステージに押し上げるようなエネルギーに満ちている。
ありそうでなかった日本語のパワー・ポップが歓迎され、じわじわと全国にファンを増やしている大阪の4人組、ナードマグネット。そんな追い風を感じながら1年ぶりにリリースする6曲入りのミニ・アルバム。表題曲は、メンバーたちが大好きだったというHOLIDAYS OF SEVENTEENの元フロントマン、三浦太郎(現フレンズ)と須田亮太(Vo/Gt)の共作が実現。共に愛するWEEZERへのオマージュが溢れた曲ができたことから、HOLIDAYS OF SEVENTEENへのオマージュを込めた「DUMB SONG」、GOING UNDER GROUNDの「グラフティー」のカバーも加え、今一度、バンドの原点を見つめ直したような作品に発展したという。その一方では、新たな曲作りに挑んだ「海辺のルーシー」も収録され、原点回帰と同時に今後の展開も予感させる聴き応えある1枚になっている。
テーマは"ミラクル"、"マジカル"、"ケミカル"の3ワードという、愛はズボーンの4thフル・アルバム。まさに、それらの感覚が全12曲を通して散りばめられた1枚になっている。赤ちゃんの泣き声や牛の鳴き声を交えながら"また1日が始まる"と切り出す「IN OUT YOU~Good Introduction~」から、言葉遊びと音遊びが炸裂。とはいえ、ぶっ飛んでいるだけではなく、"ヒーローは遅れて現れる/それが愛はズボーン式/スーパーエンターテイメント"という歌詞の通りのストレートな勢いを感じることもできる。ラップと歌を行き来する声に秘めたグッド・メロディと極彩色の音色が描く、混沌としたポップな世界観。皮肉も熱情も真実も溶かした心地いいミルクを飲めば、明日からも踊りながら生きていける。
誰にも似ていないサウンドと言葉選びの発明を続けてきた愛はズボーンが、結成10周年を前に2ndアルバムを発表。今作では作品タイトル通り、シーケンスを多用した"テクノ"+魂の叫びを歌う"ブルース"の彼らなりの融合に挑戦し、新たな愛はズらしさを手にしている。これは金城昌秀(Gt/Vo)が結成当初からしたかったことにバンドの地力が追いつき、さらにGIMA☆KENTA(Vo/Gt)が歌に自信を持てたこと、そして4人が同じ方向を向けたことにより成せた業だという。冒頭「ぼくらのために part 1」から全曲そんな威勢のいいニュー・マインドを堪能できるが、タフなバンド・サウンドが際立つ「ひっくりかえす」は従来からのファンも痺れると思う。10年の挑戦と試行錯誤の末に作り上げた自信作。