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INTERVIEW

Japanese

東京初期衝動

2022年02月号掲載

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Member:しーなちゃん(Vo/Gt) まれ(Gt) あさか(Ba)

Interviewer:秦 理絵

流行も時代も関係なく我が道を貫く女の子4人によるロック・バンド、東京初期衝動が2ndアルバム『えんど・おぶ・ざ・わーるど』を完成させた。初めてプロデューサーに江口 亮を迎えて制作された「腐革命前夜」をはじめ、曽我部恵一との共作「銀河」など、外部のミュージシャンとの接点を持つことが刺激になったという今作は、銀杏BOYZへの愛情をだだ漏れに突き進む彼女たちの、決してそれだけでは語り切れない魅力が溢れた1枚になった。尾崎 豊から安野モヨコ、浅野いにおといった敬愛するサブカルチャーへのエッセンスも随所に散りばめ、エロもノスタルジーもエモーショナルも呑み込んだ全16曲の果てには、絶望と同時に確かな希望がある。以下のインタビューでは、なおがお休みということで、しーなちゃん、まれ、あさかの3人に話を訊いた。

-またとんでもないアルバムが完成しましたね。

しーな:もう聴いてくれてるんですか!?

-もちろんです。前作『SWEET 17 MONSTERS』(2019年リリース)は、初のアルバムらしい粗削り感も際立っていた印象でしたけど、今回は腹をくくっているというか。自分たちがどんな音楽を追求していくかに深く向き合いながら作った作品なんじゃないかな、と思いました。

しーな:あー、たしかに。腹をくくったというか、すごく大変だったなという感じはしますね。でも終わってしまえば、そんなに大変じゃなかったのかもしれないとも思うんですよ。エンジンがかかるまでが大変だった。

あさか:しーなちゃんにエンジンがかかってからこっち(楽器隊)がしんどくなるので。ありがたいんですけど。後半はついていくいのに必死でした。

しーな:私、何事もそうなんですけど、エンジンがかかっちゃえばパーッてできるのに、そこに辿り着くまでの時間がすごく大変で。常に向き合うようにしてるんですよ。気づいたことはメモするし。いろいろやってるんですけど......アウトプットが難しいっていうか。インプットはできるんですけどね。それにすごい時間がかかっちゃうんです。

-アルバムを作ろうっていう動きがあったのはいつ頃だったんですか?

しーな:去年の夏ぐらいですね。

-で、エンジンがかかったのは......?

しーな:やっと11月の下旬ぐらい。

-......その間は何をやってたんですか?

しーな:めっちゃ遊んでました(笑)。

-夏に合宿で山中湖の奥地で曲作り合宿をされたそうですね。

しーな:それも焚き火で終わりました。うちから"やりたい"って言い出したんですけどね。

-何泊ぐらいしたんですか?

まれ:3泊4日ですね。メンバーだけで。

-合宿では何曲ぐらい作ったんですか?

しーな:3曲だけ。「クラッシュ」っていう幻の曲があったんですよ。それも良かったんですけど、ちょっと(アルバムの中で)居場所がわからなくなってしまって。あとは「クリスマス」と「トラブルメイカーガール」ですね。

-「クリスマス」ってクリスマスの時期に作った曲じゃなかったんですね。年末のライヴ("東京初期衝動と性なるクリ X X ス")でもやってましたけど、メロディが優しくてとってもいい曲だなと思いました。

一同:えぇ!?

-そんなに驚かなくても(笑)。どんなふうに作ったんですか?

まれ:冬にアルバムを発売する予定だったから作ったんですよ。

しーなちゃん:でも発売できなくてね。(マネージャーの)青木(勉)さんは気に入ってくれてるんですけど。歌っている内容が暗いんです。

-"2021年も誰も誰も優しくなかった"とかね。

しーな:うん。まれちゃんと泣きながら作ってたんです。この曲を作ってから調子が悪くなったかも。合宿中にすごい時間をとっちゃったんです。急に曲作りが遅くなった。あれのせいですね、うん。

-「トラブルメイカーガール」のほうは?

しーな:この曲は、あさかに"東京初期衝動をやめるか、サビを考えてくるかどっちかを選んで"って言って、サビを考えてもらったんですよ。

あさか:ムードが停滞してたっていうのもあって何か考えなきゃって。そしたら朝方に小鳥がチュンチュンチュン......って、あのサビのフレーズを歌ったんですよ。

まれ:嘘!

しーな:絶対に嘘!

あさか:マジで歌ってたんです! で、次の日にみんなに聞かせたら、ええやんって言ってくれて。小鳥のおかげで私は脱退せずに済んできたっていう。これ本当です。

-合宿中に完成形までもっていったんですか?

しーな:いや、「トラブルメイカーガール」はそのあと、半年ぐらい放置してて。改良に改良を重ねたので、時間がかかった感じですね。

-この曲は"産みたいくらいに愛してる!"がキラー・フレーズですよね。

まれ:なお(Dr)ちゃんが言ってたよね。"これは女しか言えない言葉だよ"って。

-"君"の子供を産みたいぐらい愛してるってことですよね?

しーな:いや、(好きな人の)ママになりたいっていう目線で歌ってるんです。

あさか&まれ:え、そうなの!?

まれ:その人が好きすぎて、その人の子供を産みたいっていうことでしょ?

しーな:えー、違う! 好きな人のママになりたいから、好きな人を産みたい気持ち。

あさか:そうなんや。結婚してってことじゃなくて?

しーな:私はその人のことを好きすぎて産みたくなるから、その人のママだったら一番幸せだなと思うんです。だって彼女とか恋人って結局は他人じゃないですか。遺伝子は違う。それって悲しいことだなと思って。好きな人と同じ遺伝子が持ちたいんです。

あさか:怖ーい(笑)。

しーな:そういう意味の"産みたいくらいに愛してる!"だったんだけど!

-あははは(笑)。できた曲は少なかったけど、合宿はやって良かったですか?

しーな:自分的には「トラブルメイカーガール」と「クリスマス」ができたから、もうそれで満点だったかなって思ってますね。東京にいたらせかせかして「クリスマス」みたいな曲は作れなかったんじゃないかなって。あと山奥でいろんな音楽を聴いてたんですよ。私はずっと音楽を聴いてたい人間だから。ひとりでずっとヘッドフォンをつけて曲を流しっぱにしてて。インプットをして広げて作ろうっていう感じでしたね。