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INTERVIEW

Japanese

東京初期衝動

2021年05月号掲載

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Member:しーなちゃん(Vo/Gt) 希(まれ)(Gt/Cho) あさか(Ba/Cho) なお(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

東京初期衝動が第2章のスタートを切った。2018年の結成以降、言いたい放題に怒りや毒をぶちまけ嫌われることさえ恐れないそのスタンスは、時に敵を作りながらも、それと同じぐらい熱心なシンパも獲得しながら爆走してきた彼女たち。大型フェスへの出演が決まり、急速にロック・シーンの注目バンドへと駆けのぼっていったが、その矢先の2020年は、新型コロナウイルス感染拡大によるライヴ活動の停滞とメンバーの脱退が重なった。大きな喪失を経て、新ベーシスト あさかを迎えた東京初期衝動が5月12日にリリースするのが3rd ED『Second Kill Virgin』だ。夏のアゲアゲなパーティー・チューン「さまらぶ♥」が意表を突く今作は、悲しみを完全に過去のものとして、未来へと突き進む明確な意志が刻まれている。

-前のベーシストに"やめたい"って言われたときは、どう受け止めましたか?

しーな:お、おぉぉぉ!? みたいな感じです(笑)。

-(笑)バンド結成当時からのメンバーだったから、2年半ぐらい一緒にやっていたとは思いますけど、止めたりは?

しーな:まぁ、一応止めましたけど......。

-意志が固かった?

しーな:そうですね。

-前ED『LOVE&POP』(2020年リリース)に収録されていた「SWEET MELODY」は、メンバー脱退の悲しみを書いた曲だったそうですね。

しーな:そうなんですけど、今思うと、作らなければよかったなっていう気もする。

-どうして?

あさか:みんな好きって言ってくれてるよ?

しーな:なんか"くだんねぇな"と思って。

-でも、そのときは書かずにはいられなかったんですよね?

しーな:そのときは悲しんでたんですよ。でも、今その曲をライヴでやると、嘘になっちゃうので、やらないようにしてます。

-もう悲しみは過去のことになっている?

しーな:うん、過去。完全に過去ですね。

-メンバーが抜けてしまったことで、バンドを続けるのが難しいとか、解散がよぎるとかはしなかったですか?

しーな:別に新しいメンバーを探せばいいかなって感じでしたね。

-新しいベーシストを公募で決めたのは、どうしてですか?

希:知り合いがいなかったよね(笑)。

しーな:そう、人との関わりが少なすぎて。知り合いにもベースをやってる子がいなかったし。やめたベースが新しいベースを見つけてくるって言ってたんですけど、それもやってなかったので。あ、じゃあもう公募するか、みたいな。

-で、何人かとスタジオに入って?

しーな:そうです。実際に私たちの曲を弾いてもらって。(性格が)暗くないかとか、心が元気そうかとか、フィーリングを見てって感じ。ちゃんとベースに魅力があるか、とか。で、絶対にあさかがいいってなりましたね。

-何がポイントだったんですか?

希:全曲演奏できたのがひとりしかいなかったんですよ。

しーな:あさかは何も言わなくてもできたんです。こっちから、"何々を演奏してください"じゃなくて、自分で考えてやってきたっていうのが大きくて。"あ、ちゃんと自分の壁を自分で乗り越えられる子なんだ"って思いました。

あさか:(笑)

しーな:そこ大事じゃないですか。言わなきゃやらないと、言わなくてもできるのって、やっぱすごい差があるなって思って。

あさか:え......でも、ちょっと待ってください(笑)。オーディションみたいなのがあって、そのときにアルバムの曲をやってきてって言われたんですけど、それを言われたのが9月の5日とかで。で、そのオーディションが9月の十何日とかだったんですよ。

-準備の期間が短いですね。

あさか:そう。だから、言われてから始めてたら終わってた、みたいな。オーディションまでには絶対に全曲やらなと思ってたから、前々からやってたんです。

しーな:そういうところですよね。事前に先を考えられてる。しかも、あさかはスタジオに入るたびにすごく良くなってるから。吸収力もすごい。

-希さんはどうですか? 最初にあさかさんと会ったときの印象は。

希:印象......なんか、しーちゃん(しーなちゃん)が陰で......。

あさか:陰で!?

希:"あいつ、グッチの靴を履いてるぞ"とか言ってなかった?

あさか:履いてないっ!

しーな:実際は履いてなかったんですけど、すごく高そうな靴を履いてるなぁと思ったんです。危ない子なのかなって。そういう感じの(笑)。

-(笑)グッチ以外の印象ってありませんでした?

希:根性あるなと思いましたね。全曲演奏できたので。

-なおさんは?

なお:ライヴのたびにちゃんと上手くなってるのに、ライヴのたびに落ち込んでるんですよ。で、ふたりでスタジオに入ろうって言ってくれたり、練習熱心な感じですね。

-あさかさんが東京初期衝動に応募しようと思ったのは、どうしてだったんですか?

あさか:もともと大阪でバンドをやってたんですけど、そのバンドが解散しちゃって。それをずっと引きずってたんですけど。バンドは絶対にやりたいと思ってたんですね。そのときに東京初期衝動がベースを募集しますっていうツイートが回ってきて。それで、東京に行かなあかんとか、後先のことを何も考えずに応募しました。まず、東京初期衝動のことをあんまり知らなかったし。バンド名だけは知ってたんですけど。

-外から見てたときと実際にメンバーになったときとで、東京初期衝動に対する印象は変わりましたか?

あさか:めっちゃ変わりました。意外とすごく優しい。

-意外と(笑)。

あさか:アー写がプリクラだったり、曲を聴いてたりすると"あ、たぶんこれ(一緒にやるのは)無理やな"と思ってたんですよ。ギャルじゃないし。みんなギャーギャー言ってるから。でも、実際に会ってみて合う合わない(の判断)やと思って、割り切ってオーディションを受けて。だから、"一緒にやりましょう"って言ってくれたときは、正直受けたはいいけど、どうしようと思ってたんです。

しーな&希:えー!?

あさか:でも、みんなめっちゃ優しくて。

しーな:すっごく優しいでしょ?

あさか:すっごく優しい。厳しいときもあるけど、ちゃんと優しくて。話しやすい。

しーな:鍋だって届けるしな?

あさか:そうなんですよ。炊き込みごはんとか、鍋とか、届けてくれるんです。

しーな:"あさか、鍋持ってきたよ"ってね。