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INTERVIEW

Japanese

東京初期衝動

2021年05月号掲載

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Member:しーなちゃん(Vo/Gt) 希(まれ)(Gt/Cho) あさか(Ba/Cho) なお(Dr/Cho)

Interviewer:秦 理絵

-へぇ(笑)。この4人での初ライヴは去年11月の"BAYCAMP"でしたけど、それからライヴの回数を重ねて、かたちになってきた感覚はありますか?

しーな:最初はベースが気になっちゃってましたね。上手い下手とかじゃなくて。"大丈夫かな?"みたいな。ずっとあさかのほうを見てやってたんですよ。けど、もう今は一切あさかのほうを見ないですね。

-今は信頼できるようになった?

しーな:もう平気だなと思って。っていうか、私のダメなところをカバーしてくれ! ぐらいのところまでいってるから、完全に任せきってる感じです。

-希さんとなおさんは?

なお:ライヴのことはあんまり覚えてない......。

-激しいパフォーマンスでぶっ飛んでると(笑)。

なお:はい。

希:あさかはめっちゃ楽しそうに弾いてるのがいいなと思いますね。

しーな:うん、すごく楽しそうに弾いてます。やっぱね、楽しそうに弾いてるのは大事だよね。(前のベースがやめて)葬式みたいな雰囲気だったから。

-バンド内ではメンバー脱退、加入の変化がありつつ、世の中的にもコロナでライヴが思うようにできない状況も重なりましたけど、それはどう受け止めていましたか?

しーな:私的にはちょうど良かったんですよね。メンバーがやめちゃって、病んでて何もできない状態だったので。そこで(活動ができないことで)心の切り替えがバシッとついたし、いい心の休息期間になったかなって感じます。逆に去年いろいろ(活動が)あったら、無理だったと思う。ちゃんと自分ともあさかとも向き合えた期間だったかなって。

希:何もやる気が起きなかったから、ちょうど良かったよね。

-でも、バンドにとっては初めて大型フェスの出演も決まってたじゃないですか。

希:まぁ、それはいやだったよね。

しーな:悔しいけど、もうね、しょうがないから。まぁまぁ......今年(私たちを)選ばなかった運営がバカなんだなと思うしかない(笑)。

-(笑)あと、昨年夏に開催したツアー("東京初期衝動の全国逆ナンツアー")の東京公演のチケットを持ってるお客さんに、新型コロナウイルスの抗体検査を無料で行ったそうですけど、やろうと思ったのは?

しーな:あれは私が働いてる病院の先生がやりたいって言い出ってくれたんですよ。で、"あ、やろう"みたいな、そういうノリです。

希:先生がヤバいよね。

しーな:お客さんが来やすくなるかなと思ったんですよね。

-それ、すごく大事だと思います。今ライヴって、"本当に行っていいのかな?"って罪悪感を抱きながら観に行く人も多いと思うから。

しーな:やっぱり人が集まるところは怖いな、とか言いますもんね。世の中的にもライヴをやりづらい雰囲気だったので。とりあえず自分たちの中で誠意というか、(ライヴに来やすいように)ワンクッション置くためにやったことだから。まぁ......抗体検査は意味ないとか、いろいろ言われたんですけどね。

-意味のあるなしはともかく、ひとつの安心材料にはなると思いますけどね。

しーな:そうなんですよ。そういう周りの意見は無視して。自分たちの中で誠意としてやったってことですよね。それが大事だった。

-バンド的には赤字になったりしないんですか?

しーな:先生のおごりだったので。病院の先生も音楽をやっているのもあって、何か力になりたいっていう思いがあったんです。

-話を聞いていると、東京初期衝動って言いたい放題の発言で敵も作りやすいけど、自分たちの大事なものに対しては愛情が深いし、誠実だなと思います。

しーな:めちゃくちゃ誠実ですよ。本当に音楽にも恋愛に対しても。すごく誠実です。

希&あさか&なお:(笑)

-資料によると、バンド結成から今の体制になるまでをバンドの第1章と銘打ってますけど。改めて東京初期衝動の第1章はどんな時間だったと思いますか?

しーな:痛々しい......なんだろうな。すごく苦しかったです。

-というのは?

しーな:私、最近はいろいろなことに怒らなくなったんですよ。ちゃんと自分が認められてきたっていう感覚があるから、逆に自分も認められるようになったのかなって。今までは周りが全員敵みたいな感じで、他のバンドマンともうまくやっていけないし、音楽を作るのも始めたばっかりだから、わからなかったし。とにかく尖り散らしてた。

希:丸くなったよね?

しーな:この1年でね。それは自分でもわかります。

-たしかに、今回のED『Second Kill Virgin』も怒りの感情はないですもんね。誰かを傷つけるような言葉を使ってないし。

しーな:そうですね。誰も傷つけないようにしました。

希:「春」を歌ってるとき、こっち側で"聖母"って言われてたよ。

しーな:え!? 聖母マリア?

希:そうそう。

-この1年で丸くなった理由としては、やっぱりメンバー脱退が大きいですか?

しーな:それがつらすぎて筋トレにハマったんですよ。

-なるほど(笑)。

しーな:すみません、なんか音楽の話してるのに(笑)。脱退が本当につらかったんですよ。もうこんなに悲しいことはないんじゃないかってぐらいで。で、筋トレや格闘技をやったら、すごく強くなって無敵だぞってなって、人に優しくできるようになったんです。すべてのことに驚かなくなったし、"あぁ、大丈夫だよ"って受け止められる。今までだったらヤバい! ってなったけど。広い心を持てるようになった感じです。

希:まぁでも、週4ぐらいで"ヤバい"って、LINEきますけど。

一同:あはははは!

しーな:未だに"ヤバい"は言ってるみたいです(笑)。あと、脱退しちゃったときに、みんなが慰めてくれたり、優しくしてくれたりしたんですよ。それがデカかったと思いますね。で、私も(周りに優しく)しなきゃ、みたいな。

-敵ばっかりじゃなかったんだなって思えたんでしょうね。

しーな:そうそうそう。そこで、私は丸くなりました。

-希さんはどうですか? 東京初期衝動の第1章を振り返ってみて。

希:バンドを始めたばっかりのときは遊びみたいな感じで、楽しければいいや、みたいな感じだったんです。でも、それでやってくのもだんだん厳しくなってきて、"ちゃんとやらなきゃ、どうしよう"っていうのが第1章で、第2章は決意って感じですね。

しーな&あさか&なお:(※拍手)