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INTERVIEW

Japanese

そこに鳴る

2019年12月号掲載

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Member:鈴木 重厚(Gt/Vo) 藤原 美咲(Ba/Vo)

Interviewer:山口 智男

さらに多くの人たちにバンドの存在をアピールした楽曲「掌で踊る」、そしてミニ・アルバム『一閃』と進化を繰り返しながら、ライヴの動員もじわじわと伸ばしてきたそこに鳴るがニュー・シングル『complicated system』をリリース。ライヴDVDをカップリングした初回限定盤とボーナス・トラック2曲を追加した通常盤の2形態でのリリースとなる今回、新たな王道を打ち出しながら、ふたりの言葉からは大きな変化の予感が!

-今回、ニュー・シングル『complicated system』を作るうえでは、どんなことを意識しましたか?

鈴木:「掌で踊る」(2018年リリースの4thミニ・アルバム『ゼロ』収録曲)のMV(の再生回数)がYouTubeで伸びてから、現在の活動の流れがあるので、それに続くものを作らなければアカンな、とずっと思っているんですけど。だからといって、「掌で踊る」の後継の曲を作っても面白くない......と言ってしまったらそれまでですけど、何か新しいところを開拓しつつ、「掌で踊る」から聴いてくれる人たちの期待にも応えられる塩梅は考えました。

-ということは、表題曲の「complicated system」が「掌で踊る」の後継であり、そこに鳴るの最新モードになる、と?

鈴木:表題曲が今のそこに鳴るですというよりも、今回のシングルの3曲で捉えてもらったほうが、その言葉には近い気はします。もちろん「complicated system」が中心ではあるんですけど、それとカップリングというよりは、3曲で小さいミニ・アルバムぐらいの気持ちはあります。

藤原:骨と肉と皮やな。

-骨と肉と皮。そう言われると、どの曲が骨で、肉で、皮でと聞きたくなりますが(笑)。

鈴木:そこまで考えてないちゃうん?

藤原:"三位一体"的なことです(笑)。

-3曲それぞれに聴きどころが違いますよね。

鈴木:違います。それぞれに違うけど、どれもいい。それぞれ新しいことにも挑戦しているし。やっぱり、音楽を作る原動力ってワクワク感が一番、自分の中で大きい。そのワクワク感みたいなものを、それぞれに感じながら作ったところはあります。初期衝動に近いのかな。こんなことをやってみたいとか、こういう表現をしたいとか、そういう最初の動機が強い。そういう意味では純粋だと思います。

-3曲共通して、男女ツイン・ヴォーカルというスタイルをこれまで以上に押し出してきていますね。

鈴木:それは意識したところもありつつ、自然にそうなってきたところもありますね。

-藤原さんが歌うと、お客さんの反応がいいとか、音源に対する評判がいいとか、そういうことがあったんですか?

鈴木:ありましたね。『YAMINABE』(2016年リリースの2ndミニ・アルバム)で初めて藤原だけが歌う「もう二度と戻れないあの頃に」という曲を作ったんですけど、それの評判が良かったですね。好きですって言ってくれる人が多かったんですよ。それで、次の『METALIN』(2017年リリースの3rdミニ・アルバム)でも増やしたんです。

-藤原さんの中で、歌うことに対する意識も変わってきたのではないでしょうか?

藤原:そうですね。YouTubeのコメントで、私に対して厳しいコメントをいただくことも結構あって。

-それは歌に対して?

藤原:歌もですし、服がムカつくというのもあるし(笑)。

鈴木:それは――

藤原:言いたいだけだと思うんですけど、そういう厳しい言葉が私に向けられることが多くて......ということは、みんなの目が向いている。だったら、私自身を磨けば、このバンドの武器になると思って、最近は特に歌にも力を入れてるし、演奏も精度を上げられるようにと意識しています。

鈴木:それは横で見ていても感じるところですね。

-そうだったんですね。ところで、最初の動機という意味では、「complicated system」ではどんなことをやりたかったんですか?

鈴木:ピアノやストリングスをシーケンスで入れながら、曲を作ることもあったんですけど、ふと一番得意なのはギターなんだから、全部ギターでええんちゃうかと思って、そういう着想のもと、作っていったんです。だから、ギターがいっぱい鳴っているんですけど、それよりもこの曲は歌詞が今までにない感じなのかな。

-おっ?

鈴木:あれ、そうでもないですか(笑)?

-いや、ある部分ではそう思いましたけど、今までにない感じというのは、どんなところが?

鈴木:今までの歌詞って、自分や真理、概念、世界に向けたものばかりで、自分とあなたの関係性で、あんまり歌詞を書いたことがなかったというか、そういう歌詞もあることはあるんですけど、ここまで他人に対する自分の思いをそのまま書いたことはなかったんですよ。でもこの曲は、書いてから、ジャケットもそうなんですけど、自分と藤原のことを表しているなと思ったんです。

-そうなんだ。

鈴木:そうなんです。面白いでしょ? 何年も続けながら、仲がいいのか悪いのかよくわからん距離感なんです。兄弟のようなというか、でも、兄弟にしては距離が遠い、なんとも言えへん関係性というか。僕はそこにずっと歯痒さを感じていたんですけど、それでもこれから、もっとバンドを強固なものにして、一緒にやっていくうえでは、そのままではいけないという意識が芽生え始めてからの「complicated system」だったんです。こういうことを書こうと思って、歌詞を書くこともあるんですけど、それ以上に、音を聴いて、がーっと言葉をはめていって、しばらくしてから読み返してみたとき、こんなことを言ってたんだとあとから思うことも多くて。「complicated system」もそのパターンだったんですけど、どんなにわかり合えなくても、それでもわかり合いたいっていうか。今までたくさんすれ違ってきて、何度も傷つけ合いながら進んできたんですけど、そこで諦めたくはないし、それでもって言い続けたいっていう思いがあります。

-なるほど。そういう曲だったんですね。

鈴木:そう思って聴いてもらえたら、感情移入しやすいのかな。ジャケットもそういう意図を伝えて描いてもらったんですよ。意外とテーマがしっかりある曲ですね。