Japanese
cinema staff
2019年09月号掲載
Member:飯田 瑞規(Vo/Gt) 辻 友貴(Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr) 高橋 國光
Interviewer:沖 さやこ
この7年間を取り返したい。一緒に制作してそう思えるようになった
-そういう想いも「斜陽」で払拭されました。いろんな音楽の続け方がありますが、cinema staffのようなバンドが7年間メジャーで活動するのは、音楽シーンにとっても意味があることですし、若い世代にも大きな希望になっていると思います。音楽を手放した國光さんが今こうしているのも、國光さんの才能が必要とされているということですし。
三島:國光は音楽をやるべきですよ。それが彼のできる社会貢献です。やらないともったいない。一緒に制作してみて、やっぱり彼はプロフェッショナルだなと改めて思いましたね。どうやったって彼は大丈夫だと思ってます。
高橋:いやいや......。まだまだっすね。音楽をやめてから、SoundCloudに曲を上げたり、österreichとして曲を出したりはしたけれど、"これだけはちょっとやってみよう。でも本格的にやるつもりはない"という感じだったので、自分にとって音楽活動をしている期間には入らないんです。でも今回三島に会って、cinema staffのメンバーと会って――この人たち本当にすごいんです。演奏も上手いし、曲作りの引き出しも多い。ひとつひとつが高い水準で行われている。俺がいない間にこの人たちはライヴもやって曲作りもやって、いろんなことをやっているから、こうあれるんですよね。でも俺はその間何もやっていない。だから......今から音楽をやるんだったら、この人たちが積み重ねてきたことを、俺もこれからひとつひとつやっていかないとなと思っているんです。だからここから7年間、自分は下積みでもいいなと思う。この7年間を取り返したい――一緒に制作してそう思えるようになりましたね。ここからちゃんとやっていかなきゃいけないなって。
飯田:ツアー(2019年11月から2020年1月にかけて開催する"cinema staff 「BEST OF THE SUPER CINEMA JAPAN TOUR」")で一緒に演奏したらもっとそう思うかもしれないね。その感覚がもっと変わるんじゃない?
久野:ツアー全箇所國光連れていくんで。
-全曲参加なさるんですか?
高橋:いやいや、まさか。「斜陽」と「楽園の君」だけです。cinema staffのベスト・アルバムの全国ツアーだし、最初はその2曲で出演するのも東名阪くらいのつもりだったので。
久野:でも他の土地と差ができるのは微妙じゃないですか。レコーディング中にいろいろ話してたら、國光も全箇所一緒に来たそうな感じはちょっとあったから"全箇所行こうよ!"って。
高橋:......みんなと一緒にいたかったんだよね(笑)。cinema staff側からも、「斜陽」に関しては正式メンバーとして受け入れてくれる感じもあったから。だから、自分も腹を括ろうかなと。やっぱり実際会って話すとそういう気持ちが湧いてくるというか。
三島:國光全曲参加する(笑)?
久野:ツアーを経るごとにだんだん國光の度合いが増えていって、辻が減っていって、最終的に辻がいなくなるパターンにしようか(笑)。
辻:最終日の俺はずっと袖で観るっていう(笑)。
久野:辻が「斜陽」のゲストで出ます(笑)。
三島:それめっちゃ面白いけど、ちょっとホラーだね(笑)。
高橋:星 新一の短編小説みたい(笑)。
飯田:という冗談はさておき(笑)、お互いにとってこんなにメリットだらけの話はないですよね。ライヴに対するモチベーションにも直結してくると思うし。
三島:あとは、動員を期待してます(笑)。
-今日はなんだかずっと、文字でニュアンスを伝えにくい笑いばかりだなぁ(笑)。
飯田:たまにはいいじゃないですか(笑)。
-空気感が完全に楽屋ですからね(笑)。それもcinema staffと國光さんの関係や、この10何年間があってこそなんだろうなと。でも、まさかこんな展開になるとは。人生って面白いですね。
久野:俺も最初の思いつきの段階ではこんなことになるなんて予想してなかったです。合宿とかを通して、会話の中で自然とそれぞれの気持ちでいろんなことが動いて決まっていく感じも、すごく面白かったですね。
-「新世界」も今のcinema staffのモードが如実に表れた曲になりましたしね。飯田さんの声のいいところが出ているメロディだと思います。
高橋:いい曲ですよね。すごく。
飯田:僕が去年の年末に喉を壊してしまったこともあって、ライヴで声を張りすぎず、ミドルからハイの間のテンポ感で、ライヴで映える曲になればというところを見越して三島が作ってくれて。「斜陽」があることで「新世界」で4人の良さも改めて感じたし。
久野:2曲の作り方が全然違うのが良かったよね。「斜陽」と同じタイミングで録音したんですけど、ものすごくスッと録れたので、あぁこの感じが身体に馴染んでるんだなと思って、面白かったです。
-ざっくりとした言い方をすると、"cinema staff明るくなったな"と思いました。ポップの中に陰があるのもいいところでしたが、こういうオープンな感じもまた乙なものだなと。
三島:俺、最近とにかくすごくユーモアが欲しくて。30代は余裕が欲しい。そういうマインドでいると、暗い曲はできにくいですよね。「新世界」は、それが全面に出ているというか。シリアスなことは歌いつつも、フレージングとかはカラッとしたものになったかな。その感じが最近好きなので、それがそのまま出たって感じですね。今後遅くて暗い曲を作ったとしても、そういうテイストが反映できたらまた印象も変わるかなと。
-振り返るというより、道程あっての現在位置を示すベスト・アルバムになったと思います。
三島:なら良かったです。大成功ですね。
-いろんなベスト・アルバムがありますが、未来の見えるものでほっとしています。
三島:解散ビジネスはもっといろいろ企てるので安心してください(笑)!
-ちょっと! 最後まで笑いが文字向きじゃないな!
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