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INTERVIEW

Japanese

チャットモンチー

2018年06月号掲載

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Member:橋本 絵莉子 福岡 晃子

Interviewer:石角 友香

最初から最後まで一貫して、チャットモンチーは常に、彼女たちが楽しい、かっこいいと思うことしかやってこなかった――ラスト・アルバムとなる『誕生』の瑞々しさを全身で体感して、このバンドの唯一無二ぶりを改めて知った。特に橋本、福岡のふたり体制になってからのチャットモンチーは、同じスタイルやサウンド・プロダクションのアルバムをふたつとしてリリースしていない。今回は全編打ち込み(通称:メカ)。それでもいわゆるエレクトロでも、打ち込みで作るバンド風サウンドでもない、このふたりだからこそ出てきたユニークな音像が完成した。オリジナルであることの意味を表現し続けたチャットに敬意を捧げたい。

-"完結"を意識し始めた時期や、それを決定した理由からお聞きしてもいいですか?

橋本:時期というか、決定したのが前回のツアー中(2017年3月~7月にかけて開催した"チャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017")です。ツアー中に次のことが浮かぶというか見えてくるんですけど。今回はツアー中に"完結"にしますか? という話が出て、そこで決まりましたね。

福岡:いつもはアルバム出してツアーをするんやけど、前回のツアーのときはアルバムのリリースが特になくて。でもふたりでやりたいっていうのだけ決めてツアーに突入して。で、今の打ち込み体制をやっていって、これ以上ワクワクすることが思い浮かばないって状態になったんです。でも、ルーティーンが決まってるから、迫ってくるものがずーっとあって、"どうしよう"って考えたときに、"もしかして、これやり切ったんじゃない?"って。まぁ、最初は名前を変えようみたいな話になって。うちらはよく名前を変えたがるんですけど、今まで思いとどまってきたんです(笑)。名前変えてもう1回、チャットモンチーじゃなくてもいい基盤になったら違うことできるんじゃないか? みたいなことを、最初えっちゃん(橋本)が言い出したんかな。

-そんな話もあったんですね。でも"完結"に至ったと。ライヴを拝見して"メカットモンチー"(※打ち込みを使用したふたり体制のチャットモンチーの通称)はすんごいワクワクするというか、楽しいことがてんこ盛りだったので、逆に言うとやりたいことは全部表現していて、そこで全部出し切れたのかな? って。

福岡:見えたのかな、先が。今まで、先が見えないことに挑戦するとか、やりたい音楽があってやってきたけど、今が決めどきやなって感じがあって。えっちゃんとそんな話になって、"これって解散というか、1回「チャットモンチー」という名前を終わらすということでいいんじゃないか?"っていう結論に、ライヴ直前に至ったんですよ。浜松だったかな。それでその日はふたりともやけに清々しくなって。"あ、これで良かったんや"ってなって、そこからなんか元気になりました。日が経つごとに、身内とかに言い出すと、"え?"ってなるから、一時は"こんな清々しい気持ちではあかんのかもしれん"って気持ちになりましたけどね(笑)。

-ふたりは音楽を続けていくだろうし、チャットモンチーという思想をバンドでやり切ったんだとしたら、なんか納得せざるを得ないという気はします。チャットモンチーのことなので、新作もそのときの最新形でしかないだろうと思って、そういう気持ちで聴いたんで大丈夫だったんですけど。

橋本&福岡:良かった(笑)。

-しかも、ライヴでの"メカットモンチー"があったので、ある程度予想はしたんですが、まぁ最後までかっこいいというか。

福岡:ありがとうございます。

-清々しいですね。ツアー・ファイナルを待たずに、完結するっていう心境に至ったと。そこからの動きがファンの人に向けても、ご自身に向けてもすごく丁寧だなという印象を持ってて。トリビュート・アルバム(2018年3月リリースの『CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~』)しかり、オリジナル・アルバムしかり、ライヴのこともしかり。そのへんは大事にというか、大事にしなければいけないから丁寧な動きになったんでしょうか。

福岡:そうですね。ライヴに関しては自然とそういう流れの組み方になって、最後に明るく終わりたいから、フェス(2018年7月21日、22日にアスティとくしまにて開催する"チャットモンチーの徳島こなそんそんフェス2018 ~みな、おいでなしてよ!~")にしたんですけど。お客さんが悲しむのは嫌やなっていうのはずっと言ってて。"完結"発表のときも、その直後の情報の出し方もあんまりショックを受けないように――まぁ、絶対受けると思うんですけど、なるべくそういうのを必要以上に煽らないようにはしようっていうのは、スタッフ内でも共有してました。

-情報の出され方やトリビュート・アルバムの内容、7月に向けての計画が丁寧で、それもかっこいいなと思って。バンドによってはいろんな終わり方をせざるを得ないケースがあると思うんですが、チャットモンチーは全部がかっこいいなと。トリビュートもかっこ良かったし。

福岡:うん。すごい良かったですよね。

-いろんな方のトリビュート・アルバムを聴いて、勝手にオリジナルのアーティストに感情移入するんですけど、こんなこと人生であるってすごい羨ましいな、って思うんですよ(笑)。

橋本:そうですね(笑)。

-だから、丁寧な活動というのは返ってくるものも大きいんだなと。そしてもちろん、オリジナル・アルバムが出るということはこのプロジェクトにおいて一番大きなことで。

福岡:私たちは"完結"っていうことをもう決めたし、あとは最後、オリジナルの勢いを持ってなきゃいけないから、丁寧にしてくれたのはスタッフのおかげがかなり大きくて。私たちが思いつかないアイディアとかも出してくれましたし、"チャットモンチーはこんだけコピーされてたんだよ"みたいのとかも、改めて言われないとあんまり実感がなかったんですけど、トリビュート・アルバムへの一般公募に645組っていう本当にたくさんの方が応募してくれて、"あ、ほんまや"みたいな感じもあったし。そういうの改めてまとめた方がいいというか、ちゃんと総括した方がいいよっていうのを(スタッフから)言われて、"あ、たしかにそうだな"ってなって。でも、私たちはオリジナル・アルバムを制作するのに必死すぎて(笑)。

-ニュー・アルバムに関して、前回のツアーの意識は大きく反映されてますか?

橋本:作るんだったら、これまでメカの曲も出してないから、テーマをメカに絞ってやるのがいいかなっていうところが始まりではありましたね。生音の曲と交ぜにくいっていうこととかもあって、メカだけに絞った方が作りやすいかもねってところがスタートでした。

-チャットモンチーっていうのは前にやったことはやらないんだなってすごく思いました。

福岡:そうですね(笑)。いつのころからか。

橋本:やれなくなったんですね(笑)。

-(笑)やれなくなったっていうのがすごいです。

橋本:やっぱり変わっていってるんでしょうね、毎日(笑)。『共鳴』(2015年リリースの6thフル・アルバム)を出してからも結構経ってるから。そういう変化が積み重なって、"メカに絞ろうか"ってなって。やっぱり、ちょっとでも面白そうとか、そう思う方を選ぶんでしょうね。

-生の楽器も入ってますけど、ほぼ打ち込みというのは、リスナーとしてのおふたりのモードを反映してたりするんですか?

橋本:私の場合、そういうことでもないかも。

-じゃあチャットモンチーとしてやるときに新しい手法を取りたかったと。

橋本:そうですね。