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INTERVIEW

Japanese

3markets[ ]×それでも世界が続くなら

2017年12月号掲載

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7月にリリースしたシングル『バンドマンと彼女』に続き、プロデューサーに篠塚将行(それでも世界が続くなら)を迎え、マンガ家"世紀末"がアートワークを手掛けたアルバム『それでもバンドが続くなら』をリリースする3markets[ ]。くすぶる日々やそこに漂うペーソスを、自嘲気味に、少し自意識過剰に、時にはユーモアで包んだ曲でバンドマンの日常を綴り、人生を歌にする。パンキッシュでオルタナティヴなギター・サウンドに乗せ、望むものに足りない沸々とした感情を、ラップ的に溢れ出すような言葉で表現している。J-POP的な定型のないサウンドだが、キャッチーで、ヒリヒリとした情感をリアルに伝える、3markets[ ]として最高に力の入ったアルバムとなった。今回はフロントマンのカザマタカフミとプロデューサーを務めた篠塚将行との対談で、3markets[ ]の現在を語ってもらった。

3markets[ ]:カザマタカフミ(Gt/Vo)
それでも世界が続くなら:篠塚 将行(Vo/Gt)
インタビュアー:吉羽 さおり

-ふたりは、知り合ってどのくらいになるんですか。

篠塚:一番よく覚えているのが、4~5年前かな。埼玉のライヴハウスで。

カザマ:そのとき、すごい憎まれ口を叩かれた記憶がある。"ライヴは見てないんだけど......"って。

篠塚:いや、本当は観ていて。2曲くらい観て、それがものすごい良くて。

カザマ:"もう見たくないんだよ"って言ってたっていう。いや、見ろよ! って(笑)。あのときはもう"それでも世界が続くなら"だったよね。でもその前に(篠塚が)やってた、ドイツオレンジ時代から知ってはいたかな。

篠塚:お互いに知ってはいたけど、ほとんど対バンはしてなかったんじゃないかな。

カザマ:対バンをしたっていう覚えはないんだけど、でも好きで。特にドラムのmasaton.がよくそれせか(それでも世界が続くなら)のCDをかけたり歌ったりしていたんです。

-かっこいいから見ないっていうのは、カザマさんとしては嬉しい話でもありますね。

カザマ:ありがたいですね、見てないのがありがたいのかわからないですけど。

篠塚:カザマ君もそうかもしれないけど、影響されやすいから、俺。

カザマ:いいバンドだと、ライヴ前とかはあまり見たくない瞬間っていうのはあるよね。

篠塚:ある。カザマ君の歌は特に、"もう今日は俺が歌わなくてもいいかな"って気持ちになるくらいというか。


バンドが行き詰まっていて。自分たちだけでは何をしていいのかわからなかった(カザマ)


-そういう間柄から、今回シングル(2017年7月リリースの『バンドマンと彼女』)、アルバムと篠塚さんにプロデュースをお願いしたっていうのは、何が大きかったんですか。

篠塚:それは俺も聞きたい。だって、カザマ君からLINEで"プロデュースやって"の1行が送られてきただけですからね。

カザマ:はははは(笑)。

篠塚:カザマ君は自分がシンガーとしていいと思える数少ないうちのひとりだったので、誘われたときはびっくりしましたね。最初はなんかのギャグかと思って、とりあえず"笑"って返したら、カザマ君ショックだったんでしょうね。"真剣に言ってるのに、そんなふうに返されると思わなかった"みたいなLINEがものすごい速さで返ってきたんですよ。1行ずつのが、4通くらい連続できて。あ、これ本気だったんだと思って。だから、"やる"ってすぐに返したんですよ。

カザマ:基本的には、嫌われているだろうなと思っていたんですよね。でも新代田FEVERでイベント(2015年8月に開催した"とびだせゆううつの森")をやったときだよね、ちゃんと聴いてくれたのって。

篠塚:そうだね。

カザマ:それで、嫌われてないんだ、仲良くしてくれるんだっていうのがあったんですよね。俺の中では敵意がなかった人だったし。それで、今年の4月くらいになって、いよいよバンドが行き詰まってきて。

篠塚:あぁ(笑)。

カザマ:このままだったら死ぬしかないぞっていう話をみんなにしたんです。ちゃんとやろうって。でも、自分らだけでは何をしていいかわからないし、プロデュースしてくれる人とかいたりしないのかなっていうときに、ちょうど篠君(篠塚)がKOZUMIのプロデュースをしていて(2017年1月リリースのKOZUMIの1stミニ・アルバム『アンデルセン』)。KOZUMIのをやるなら、俺らのもやれよって思って。ほんと、行き詰まっていたし、他に誰も頼る人がいなかったのがデカかったですね。あの1行を送るのに、すごい勇気が必要だったんですよ。人にものを頼むというのを、今までほとんどしてこなかったから。

-バンドが行き詰まるっていうのは、どういう状況で?

カザマ:売れてないし、その前にちょうどこのアルバムにも収録されている「レモン×」という曲を、埼玉のライヴハウスで自分たちで録っていたんです。その音が、なぜこんなことになってしまうんだっていうくらいひどくて。

篠塚:本当にひどい音でしたね。

カザマ:自分らではどうしていいかわからないんですよ。ライヴハウスでちゃんと音響も立ててやったのに良くない。でも、そのあとに篠君に頼んだら、篠君が自分のレコーディング機材を持ってきて、とりあえず一発録りでやってみようっていうから"え?"って思って。でも、それがすごく良くて。これは一緒にやりたいなと思ったんです。でも、あのときはまだプロデュースをするとは決まってなかったんだよね。

篠塚:1回スタジオに行ってみるよっていう感じだったかな。

カザマ:とりあえず話してみようっていうことだったんです。でも、その話が長くて。