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INTERVIEW

Japanese

3markets[ ]×それでも世界が続くなら

2017年12月号掲載

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3markets[ ]:カザマタカフミ(Gt/Vo)
それでも世界が続くなら:篠塚 将行(Vo/Gt)
インタビュアー:吉羽 さおり

-それを聞いて、ひやりとする人がいそうですね(笑)。でも思うのは、曲を聴いていると、いわゆる売れたいがための歌詞なり、言葉選びなりは全然してない感じがするんです。

カザマ:いやぁ、今回は最初はシングルで1枚出すだけの予定だったんだよね。で、あるときのスタジオで、篠君に"新曲あるんだけど"って言って、違ったタイプの3曲を持っていったんです。そうすれば、どれか通してくれるだろうと思って。そのうちの1曲は人受けする曲、あとは挑戦的な曲と、今までの3markets[ ]っぽい曲っていう──

篠塚:(笑)その人受けする曲ってどれ(笑)。

カザマ:人受けするのが「僕はセックスができない」で。インパクトという面で、嫌いだって言う人もたぶん出てくる曲というか、反発心が出て話題になりやすいじゃないですか。そういう意味で作った曲で。「下北沢のギターロック」は、挑戦的な曲。「ホームパーティ」は今までの自分たちの曲っぽいだろうと。この3曲なら、どれかはいいって言われるだろうと思って持っていったら、篠君に、"全部いいからやれ"って言われて(笑)。今から全部アレンジ考えるのかよって思ったのは覚えてる。あれは苦痛だった(笑)。

篠塚:全部好きだったしね。苦痛と言えば、弾き語りでやってた「人生詰んだ」もそうだね。

カザマ:これはもうレコーディングの1~2週間前ですよ、言われたのが。

-そうだったんですね。すごくこのアルバムらしい、いい曲だなと思いました。

篠塚:僕もです。これをこのアルバムに入れないのは逃げだなと思っちゃって。これはやろうよって言ったんだけど、単純に1週間前だったので、メンバーは(不安で)言葉も出ない感じでしたね。

カザマ:間に合わないし、きっとメンバーはそんなに好きじゃないんですよ、「人生詰んだ」って。個人的な曲じゃないですか。そういうのは別にうちのメンバーは特に求めていないだろうなっていう。

-歌われていることって、他の曲も結構個人的なことじゃないですか?

カザマ:そうなんですけど、「人生詰んだ」は表現がより直接的で。届く人には届くんですけど、きっとメジャーなシーンにいったら届かないだろうなっていうのを確信した曲で。でも、結果的に収録して良かったなと思いました。篠君に頼んだ経緯が、この曲にあるなと思って。これまで"助けてくれ"っていう、このひと言をずっと言えないでバンドをやってきたので、今回プロデュースをお願いしたことで初めてそれを言えたし、しかもそれを曲のオチとして言えたのは大きかった。

篠塚:それは僕も、すごく入れて良かったなと思いましたね。

-今だから歌える曲だと思うし、アルバム・タイトル"それでもバンドが続くなら"の理由みたいなことを、この「人生詰んだ」が語っているように思います。

篠塚:この曲を聴いているかいないかで、他の曲の聞こえ方も違うし、カザマ君がこのアルバムを出すまでの心境が伝わる曲だと思うんです。文字通り、人生というか。

カザマ:ラジオ局の人は、「レモン×」か「人生詰んだ」を流したいって言ってましたね。

篠塚:そこは「人生詰んだ」を選んだんでしょ?

カザマ:いや、とりあえず「レモン×」でお願いしますって(笑)。でも、オンエアで反響ありましたよ。

-ブログが書籍になったり、歌詞も独自のタッチで聴かせるものがあったりしますが、書くことはもともと好きだったんですか。

カザマ:今の人たちはみんな、びっくりするくらい歌が上手いじゃないですか。きっと歌詞にこだわる必要がないんですよ、彼らは。それができない自分はどうしたらいいのかって、考えるわけじゃないですか。自分が歌詞を書けるなら、歌詞で人と違うことをやるしかないなって。人と違う視点で書けるならそれをどう生かそうかって考えた結果が、こうなって。

篠塚:コンプレックスを受け入れることなんですよね、たぶんロックって。

-あと面白いなと思うのは、「ホームパーティ」で。これはきっと自分の体験でも書いていると思うんですけど、そういうパーティーの場に行ってもきっと居心地が悪いし、話題が合わないことはわかっているのに、ちゃんと参加するというところがありますね。でも、結局ひとりで延々とお菓子を食べているという内容の曲で。

篠塚:そうなんですよね。僕はホーム・パーティーには呼ばれても出ない人間なんですけど、カザマ君は純粋だから出ちゃうんですよ。カザマ君、アウトドアだしバーベキューとかも行くんですよ。

カザマ:めっちゃ行きます。

篠塚:カザマ君はちゃんと人にも会いに行くし、一緒に飲みに行くとかもするし、バカがつくほど真面目で純粋な人なんですよ。だからそのぶん傷つく。そこでいい人にだくさん出会っていれば、ものすごく根が明るい人になったと思うんですけどね。

カザマ:誘われたり、求められることが嬉しいんですよね。「ホームパーティ」は全然重い歌じゃないんですよ、みんなアルフォート(お菓子)くれないかなっていう歌なので(笑)。