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INTERVIEW

Japanese

the band apart

2017年08月号掲載

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Member:木暮 栄一(Dr)

Interviewer:石角 友香

日本語詞のアルバム2作『街の14景』、『謎のオープンワールド』でそれぞれ異なる趣の内容を提示。そしてここ最近は、"□□□ feat. the band apart"でメンバー全員がヴォーカルを担当したり、"naked"と称して従来の楽曲をアコースティック録音、もしくはまったく新しいアプローチで再構築してきたthe band apart。彼ららしい名曲は数あれど、新曲でその"らしさ"を更新したのが、オリジナル・アルバムとしては2年半ぶりとなる『Memories to Go』だ。演奏スキルや言葉はもちろん、全編に漂う"それでもやるんだぜ"と言わんばかりのエナジーが素晴らしい。今回も彼らのスタジオを訪れると、木暮栄一が代表してインタビューに応えてくれた。

-オリジナル・アルバムとしては『謎のオープンワールド』(2015年リリースの7thフル・アルバム)以来2年半ぶりで。オリジナルを作るためには必要な歳月でしたか?

まったくその歳月を有効活用していないというか(笑)。その歳月の間に□□□とやったりとか、nakedをやったりしてたので、わりと目の前のことでいっぱいいっぱいで、アルバムをいざ録るってなったら、今までの中で一番難航したというか、時間がかかりましたね。

-昔からバンアパ(the band apart)が好きな人も最近聴き始めた人にとっても、エネルギーのある新曲が並んでるというか、それでライヴができるような印象がありました。

そうなってたらよかったです。

-作り始めたときの意識としては?

なんだろうな? 感覚的というか、主観的になりすぎず......これも難しいところだし、自分の感覚を頼りに作っていくしかないんですけど、それでもちょっと自分なりに一歩引いた目線で曲を見てみて、第三者が聴いても、ちょっと"うふふ"ってなるかな? 面白いかな? っていう目線を自分たちなりに入れつつやったって感じですかね。

-なかでも新鮮だったのが、「ZION TOWN」には子供の声が入ってたりするし、"KIDS"の情景で。次の世代の輝き、子供を見てる人たちの目線があるなと思ったんですよ。

それは自分に子供ができて......今までも子供がいる友達は周りにいっぱいいたんですけど、やっぱり自分の身に起こってみないといろいろわかんないなぁっていう。そこで変化した感覚みたいなものが歌詞に出たのかもしれないですね。

-シニカルな感じがどの曲もしないんですよ。

そうですね。歌詞に関してはいろんなことを書いてきたけど、最近、このアルバムを作ってる期間って、言いたいことはシンプルに1、2個しかなくて。主題はひとつなんだけど、それをいろんな言い方、いろんなバック・ミュージックに乗せてるって感じですかね。

-大きな主題はなんなんでしょうね?

説明するとちょっと陳腐に聞こえるかもしれないですけど(笑)。アルバム・タイトルもそうですけど、ここまで生きてきたなかで、自分が体験した喜怒哀楽があって、まぁそこを進むしかないという。それが開き直りではなく、もうちょっと覚悟に近い感じで。自分たちのやってる活動形態もそうだし、the band apartで曲を作る心構えもそうだし。それでこう失ってきたものもたくさんあるので、そういう実感がやっぱり"進む"ってことに対して、自分たちなりにもうちょっと強い意味合いがあるんですよね。

-バンアパが上手いのはもうわかってるから、上手いの次の次ぐらいの印象を受けたのはそのせいかもしれない。もうジャンルの組み合わせとかを超えていってる感じがあるので。

技術的に"これはちょっと難しくてできないな"みたいなのはあんまりなかったかな。「Castaway」のベースは俺が打ち込んで持っていったんですけど、原(昌和/Ba)に"好きなように変えていいよ"って言われて。ベーシストが絶対思いつかないフレーズで、運指が無理矢理になっちゃうから超難しいらしいんですけど、これをこのまま生かそうって言って、あいつが鬼の形相で録ってたの覚えてますね(笑)。

-「Castaway」、かっこいいですよね。クラップが入ってるとことか、若いなぁ! って(笑)。

ははは。最初は渋い四つ打ちの曲で、展開が4つぐらいついてて、それをひとりでしこしこ作ってたんですけど、それが1回ボツになったんですよ。まぁ、そのときはアルバムのレコーディングが終盤で、できてくる曲もどんな感じかってほとんどわかってたから、ちょっとBPM速めのロックみたいな感じにアレンジし直して。リズムと音を抜くというか、コードは3つしか使わずに、クラップのパートとかはほんとドラムと歌だけにしました。うちら、わりと足し算のアレンジをするバンドで、そういう抜くっていう曲が意外にないなぁと思って作ったから、それでちょっと新しい感じになったかなぁと思いますね。