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INTERVIEW

Japanese

the band apart

2014年05月号掲載

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Member:木暮 栄一 (Dr)

Interviewer:石角 友香

アルバム全編、日本語詞、メンバー各人がアイデアを持ち寄った前作『街の14景』は、むしろthe band apartの言葉の意味もサウンドスケープも含めた、バンドとしてのポテンシャルと覚悟が伝わる傑作だった。卓越した演奏やアレンジが何のために存在しているのか?が言葉が直感的に入ってくることで可視化されたとも言えるだろう。新たな季節に入ったバンドが2014年にまず提示してきたのは、4人4様の瞬発力に溢れるいい意味、軽快なアプローチからなる個性的なEP。タイトルに冠された"ボンゴ"は何を意味するのか?そして早くも次の地平に向かう今のバンドの状況をドラムの木暮栄一に聞く。

-今回のEPのお話の前に、アルバム『街の14景』リリース後のバンドの手応えをお聞きしたいんですが。

あのアルバムで一気に日本語にしたんですけど、それがもう全然、違和感がなくなりましたね。変えた当初は無理やり変えたというか、変えるなら一気にしようと思ってやったところがあったんで、後で違和感が出てくるかな?と思ったんですけど、ライヴで以前の英語の曲と混ぜてやっても自然に感じるってことは、今、そういう感覚なんだろうなと。

-今さらですが、日本語詞に変えた理由というのは?

英語で始めた理由は、Hi-STANDARDとかSUPER STUPIDとかあそこら辺の世代の人たちが、日本の音楽全体に対するちょっとしたカウンターみたいな感じでやってて、それが音楽としても姿勢としてもかっこいいなっていうところに影響を受けてたんです。それをそのまま真似て特に考えずに続いていったんですけど、途中で"なんで英語で歌ってるんだろう?"って、ちょっとした違和感があって。

-彼ら先人は、世界に出ていくんだから英語でやるのが当たり前だろうって考え方だったわけですよね。

そうですね。そういう考え方ももちろんまだあるし。だけどたとえばCorneliusとか坂本慎太郎とか、そういう人たちがアメリカのインディーズ・レーベルで評価されたり、日本のアニメが世界に広がった時に、アニメ・ファンは普通に日本語で合唱したりしてるじゃないですか。"こういうことだな"と思って。

-海外のリスナーにとっては我々が聴く洋楽と同じことで。

そういうのも要素としてあったのかなと。時代の流れじゃないですけど、自分が見てる中でそれでどっちが自然にフィットするだろう?ってところでのチョイスですね。

-これは個人的な印象ですが、『街の14景』は"2013年のはっぴいえんど"のように感じて。

ああ(笑)、そうなってたら嬉しいですね。今、思い返せばそこら辺の音楽をちょっと意識して聴いてもいました。自分の中でどういう日本語が乗ってる音楽がかっこいいかな?っていうので。原(昌和、Ba/Cho)もそういうの好きだから、"こんなバンドもいたんだ"って勧め合ったりしてましたね。

-多くの可能性を感じたアルバムのあとなので、今回のEPもいい状態のものが出てくるんだろうなぁと期待してまして。今回はEPということでテーマを設けた部分はありましたか。

俺らの場合、アルバムの布石としてシングルを出すということではないので、今回も"そろそろなんか出そうか"みたいな感じで始まったんですけど。当初はBPMが全部同じ曲を4曲ぐらい作って、全部繋いじゃおうよって発想だったんです。それでBPM110いくつって設定して、1人1ネタ持ってこようって、会議したはずなんですけど、なぜか俺以外は全員そのBPMを無視して(笑)。

-(笑)広がっちゃったんですね。

当初のコンセプトは1回なくなって。で、ずっと録ってもらってる速水(直樹)ってエンジニアがいるんですけど、その人が最近、パ-カッションにハマってていろいろ俺らのスタジオに持ってきて、常にいっぱいあると(笑)。それで俺が作ってた「来世BOX」って曲が、昔のよれよれディスコみたいな感じで、コンガが入ってたらいいなと思ったんですよ。そしたら他の3人も"入れていこう"みたいになって。

-木暮さんが最初、BPMを110前後にしたいと思ったのは何がきっかけだったんですか?

それはちょっと前まで古いハウスのレコードを聴いてて、そこから遡って、ディスコなんだけどすごい巧くてカッチリしてるというより、パーティのためにノリで組んだディスコ・バンドみたいのもいるわけですよ、掘ってくと。そういうのがすごく良くて、そういう感じのをアップデートしたようなヤツをやりたいなぁっていうのがあって、だからみんなにもできれば4つ打ちの曲を作ってもらって繋がってるといいなみたいなことを言ったんですけど、その意見はあんまり参照されませんでしたね(笑)。

-でもバンアパの井戸の深さを感じました。

ハハ。でもそんなこと考えてたのはたぶん俺だけなんで、3人は自由気ままに作ってきましたけど。1曲目は原の曲なんですけど、あいつはDAFT PUNKの新譜が出た時"あれいいよね"みたいな話をしてて。

-確かに「誰も知らないカーニバル」はレア・グルーヴィです。

そのまま模倣してもしょうがないから、あいつの場合は日本の歌謡曲の持ってる良さとして、どんどん転調して、だけどそれをメロディで繋ぎ合わせるみたいな。そういうのと、あいつが好きな昔のファンキーな感じを混ぜてってところなんじゃないかな?と思います。単純にかっこいいなと。