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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2017年03月号掲載

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Member:PON(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

-ちなみに「サニーデイ」はアルバム制作のどの段階でできたんですか?

最後ですね。最後の3曲ぐらいでリード曲を生み出そうとしてて。そうなったときに"これだ!"みたいな。書いてるうちにどんどんパワーが漲ってきてたんです。

-結果的に、『Life is beautiful』は自分の人生そのものと言えるアルバムになるわけですけど、作る前にどんな作品にしようとかイメージはあったんですか?

何もないです。思ったことを歌いたいときに歌ってるタイプやから、完成形のイメージが最初にあって、それに向かって作っていくなんて、そんな上手にはでけへん。そんな先のこと、考えられへんわ、みたいな感じなんです。

-メジャー前とメジャー後も含めてシングルが5曲も入ってる。それはアルバムを作るにあたって影響はありましたか?

めっちゃ作りにくかったです。やっぱりシングルってクセが強いというか、ウィンナーみたいな感じですよね。13品あるうちの5品がウィンナー。だから、どうやって栄養バランスを考えよう、どうしたらこいつらに負けないアルバム曲になるんやろうと思いながら作りました。(シングルに)負けたくないんですよね。かと言って、全部肉系でもお腹がいっぱいになっちゃう。野菜も汁物もありながら、ですね。

-逆にウィンナーじゃなくて、サラダを作ろう、汁物を作ろうって頭を切り替えられたら、ラクになったんじゃないですか?

それはそうかも。作ってて楽しかったですよ。"あぁ、こんな曲がアルバムにあったらええな"と思いながら。ちょっとここで遊びます、とか。

-アルバムの中で「サニーデイ」がリード曲だとしたら、裏リード曲かなと思ったのが「君の匂い」(Track.6)なんですね。"死ぬときに幸せだと思えるか"っていう問い掛けの曲な気がしてて。

突いてきますねぇ(笑)。実はアルバムの最後に作ったのが「サニーデイ」と「君の匂い」と「赤い糸」(Track.12)なんですよ。俺らの中でこの3曲がリード候補というか。最後にこいつらができて本当に良かったと思ってます。3曲ともメッセージ性も強いですしね。

-しかも、全曲が全然違うメッセージを持ってます。

ほんまですね。

-まず「君の匂い」から順番に聞ければと思いますけども。

この曲は失くしてから気づくことが多すぎるなと思って書いた曲ですね。うちの実家で飼ってた猫が死んじゃったときに書いたんですけど。小学校2年生とか3年生ぐらいから飼ってた猫やって。"にゃあちゃん"っていうんですけど。

-え、それが名前ですか?

そうですね。ニャーって鳴くから(笑)。そのにゃあちゃんが去年の......ちょうど寒くなるころに死んじゃったんです。そこから徐々に、いた気配がなくなって。カーペットに付いてた毛も猫っぽい匂いも消えていくし。"あぁ、こんなになくなるもんなんや"と思って。おらんくなって気づいたけど、救われてたんですよね。昔、お母さんとかお父さんに怒られたときに側に寄ってきてくれたり。そういうのをすごく思い出して、めっちゃ悲しいわと思ったんです。たかだかペットじゃないですか。でも、全然たかだかじゃない。もう聞けないんですよ。"うちで良かった?"って。それをどう思ってんねやろなと思って。

-それで、出だしの"君は幸せだったかい"なんですね。

そう。俺はうちに来てくれて良かったと思ってるし、家族もみんな思ってるんですよ。......なんか、泣きそうになってきた。

-曲の中には"猫"ってひと言も出てこないから、たぶん聴く人によっていままで失くしたいろんなものと重なりますよね。

こんなん言うたらあれやけど、人でも一緒やろうと思うんですよね。

-私は人だと思って聴いてました。

たぶん生きてるものは全部そうやろうなと思います。だからちゃんと歌にしたいなと思って。悲しいことを書くのはつらいですけど、自分なりの覚悟と感謝を含めて、一緒にいた証拠が欲しかったんです。

-この曲が「アイトユウ」(Track.5)の次にあるのがまた意味深なんですよ。長年連れ添って生きるふたりの出会いから別れまでを歌った曲から、「君の匂い」に続くっていう。

なんて残酷なんだろうと思いますよね。俺もこの流れはヤバいと思いました。それで、そのあとが「風が吹く街」(Track.7)っていう。ほんま、すごい流れやな。

-さっきも少し聞きかけましたけど、この曲は"幸せって何だろう"っていうことに繋がってると思うんですよね。

幸せってすごく大事なテーマやなと思います。俺、結構(幸せが)あるタイプなんですよ。小っちゃいことだと、"みそ汁うまい、幸せ~"みたいなこととか。"あのとき幸せやったな"って思い出せることが大事なんです。最近、思い出し笑いを何回できるかが人生のポイントやなって思ったんです。"いま、めっちゃ幸せやな"っていうことを、この先何回思い出せるか。一生、思い出し笑いをしながら生きたいですよね。

-そしたら、死ぬときに"Life is beautiful"って言えますもんね。

ね。"あんとき、しんどかったよな"って笑いながら言える。

-だから「君の匂い」も悲しい曲だけど、"Life is beautiful"の一部になってる。

そうですね。とても美しいことを歌ってると思います。悲しいけど、それ以上に"幸せだったよ"って言いたかった曲ですね。