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INTERVIEW

Japanese

ラックライフ

2016年08月号掲載

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Member:PON(Vo/Gt)

Interviewer:秦 理絵

-歌詞でいうと"初めの一歩目が/踏み出せない僕に/いつでも君が僕の手引っ張って"の部分ですね。ここを聴いたとき、すごくラックライフっぽいなと思いました。

自分だけでガンガン歩いていける人はいないじゃないですか。だから誰かと一緒に連れションせな心細いし(笑)。ラックライフもそういうバンドでありたいなと思うんです。"楽しいことをやろうぜ"ってみんなの手を引っ張っていきたいんですよ。そう思うのはやっぱり僕がひとりやとダメだからですね。そこはずっと変わらないんです。

-"ずっと変わらない"という話もありましたけど、バンドのソングライターとして10年間歌を書き続けて、変わらない部分、変わった部分、どちらが多いと思いますか?

全部変わってないと思います。言葉の使い方とかニュアンスは年齢と共に変わってはきてるんですけど、言いたいことや伝えたいメッセージは昔からまったく変わってないんで今でも自分が10代のときに作った最初の曲を聴けるんですよ。聴けない曲はないと思う。それを聴いて"お前、めっちゃわかってるやん"って言いたくなるし、"今、俺に足りんのはそれや!"って過去の曲に教えられることもたくさんあるんです。だから僕ね、頭の中はまだ19歳なんですよ(笑)。

-逆ではなくて? 19歳のときに27、28歳ぐらいのことを考えてたとか?

いや、たぶん19歳なんです(笑)。

-19歳のまま歌い続けていたとしても、歌うことは尽きないものですか?

尽きないですね。正直、僕の曲はどれも言ってることが一緒なんですよね。その言葉の使い方に違いはあるんですけど。たぶん歌いたいことが3、4種類のジャンルに分けられてるんです。これは"生きる"、これは"愛"、これは"頑張ろう"みたいな。だから曲を作り終わってから"俺、同じことまた歌ってるわ"って思うんですよ。だけど、最新の俺バージョンなんです。だから向けている人、環境とか違ったりはするんですけど、根本的なものは変わらなくて。ずっと"誰かがおる"っていうことを歌ってるバンドですね。

-では、カップリングの話も訊かせてください。Track.2「夜の海」は、言うならばまだ"初めの一歩"を踏み出せてない、もやもやとした暗い雰囲気の曲ですけど。

踏み出せてないですね。この曲は夢の話なんですよ。夜眠れなくて窓際でボーッとしながらタバコを吸ってたんです。"あ、こんなことあったな"とか昔のことを考えながら。そのときに見た夢ですね。僕が夜の海をめっちゃ泳いでるんですよ。どっちに泳げばいいのかもわからへんけど、ちょっと光が差し込んでる方に一生懸命泳ぐっていう夢やったんですけど。あれはどういう夢やったんやろうかと思いながら歌にしました。

-気になる夢ですね。そういうのって夢占いのWEBサイトとかでチェックしたくなりません?

そこまではやってないですけど(笑)。なんかでも"全然諦めへんかったな、俺は"って思うんですよ。真っ暗で怖かったし、泳ぐのは得意じゃないんですけど、とりあえずバシャバシャと泳ぎ続けて。なんとなく"頑張らなあかんやろうな"という漠然とした想いと虚しさと寂しさを感じてて。それを歌詞にしていったんです。

-その抜け出したい気持ちの表れなのか、この曲ではPONさんのヴォーカルも荒々しいですよね。ライヴに近い感じというか。

喉が引き千切れるぐらいの勢いです(笑)。

-そのぐらいの勢いで歌わないと、この曲はダメだったんですか?

そうなっちゃいますね......。なんか嫌なんですよね、こういう曲を歌うのは。気持ちが乗らないんですよ。歌ってて悲しくなっちゃうというか、そういうモードに自分が入っちゃうんです。曲に呑まれるんですよ。それは"ダメや"って言われるんですけど。でも、それが自分だから"しゃあないわ"とも思うんです。だから呑まれっぱなしですね(笑)。

-そうやって1曲1曲に向き合うのはきつくないですか?

でも嫌いじゃないんですよ。僕、落ち込むのが好きなので(笑)。"えー!? 俺、めっちゃ落ち込んでる"という状況を自分で作りたがるんですよね。さっき話した、窓辺でタバコを吸ってるのなんて、めっちゃ落ち込んでるじゃないですか。それは全然嫌いじゃないんです。ちょっと変わってますね。自分から落ち込みに行く、みたいな。

-私が初めてPONさんに出会ったのは2ndアルバム『キミノコト』(2012年リリース)のときで、当時23歳ですよね。明るくて太陽みたいな子だなぁと思ったんです。

今は......?

-"闇を見たなぁ"と思ってます。

あはははは(笑)! そういう一面もあるってことですね。特に『キミノコト』は明るいアルバムだったんですよ。その次の『my contents』(2014年リリースの3rdアルバム)は結構暗いんですけど。自分の中のことを曲にすることで変わっていくんです。だから僕は人のことに関してはポジティヴに考えられるけど、自分のこととなると"そうはいかないぜ"というタイプですね。この「夜の海」も自分のことをつらつらと綴ってるので。