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INTERVIEW

Japanese

Mississippi Duck Festival

2015年11月号掲載

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Member:大須賀 拓哉(Vo/Gt)岡田 悠也(Dr/Cho)川田 勤(Ba)

Interviewer:岡本 貴之

-三者三様ですね。こういうバンドを目指そう、というよりはいろんな要素を使って大須賀さんが作る曲を表現していこうということですね。

大須賀:そうですね。前作『faust』(2014年リリースの1stミニ・アルバム)と今回の『step』は、時系列的に聴いていたものも勉強させてもらったものも違うので。そのときはそういう解釈で作ったけど、今回はどういうふうにしてみようっていうのも、バンドとして自分たちがアプローチすれば自分たちの音楽にはちゃんとなるだろうなって思っているので。吸収したものは消化していって、新陳代謝じゃないですけどいいものになればいいなって思いますね。個人個人の性格とか、核になるものはちゃんと残ると思うんですけど、作るという意味ではあまり範囲を狭めるようなことはしていないですね。

-バンド名もイメージを限定させないものになっていると思うのですが、由来を教えてもらえますか?

大須賀:もともとメンバー全員が"あひるの空"という漫画をすごく好きなんです。あひるが泳いでいるときに水面上では優雅に泳いでいますけど、その水面下ではジタバタ動いて前に進もうとしていて。そういう人たちはたくさんいると思うし、自分自身もそうなんですけど、そういう人たちといい空間を作ることができるといいなという思いから、"Duck Festival"とつけました。"Mississippi"の部分に関しては、そのころミシシッピー・デルタ・ブルースとかを聴いていて。そのときに階級とか民族とか、いろいろ感じる部分もあったので、そういう人たちと出会えればいいなという意味でつけました。

-『step』を作るうえで、どんなテーマがありましたか?

大須賀:このミニ・アルバムの前に『CALL』(2015年5月リリースの2nd EP)というEPを出していて、そこに入っている「CALL ep」が『step』の最後にTrack.7「so call」という形でフル尺で入っているんですけど、「CALL ep」は、自分たちのことを応援してくれている人たちのことを考えながら、素直に作ることができたんです。今回『step』を作るにあたって、「CALL ep」に至る過程というか、僕はどういうふうに考えていたのか、どんなふうにその人たちと接したいんだろうな、という気持ちでいろんな曲を作っていたんです。例えばTrack.1「stranger」だったら感情が少し前向き、Track.2「stage2」だったら自分の内省的なところとか、Track.4「/」(読み:スラッシュ)だったら現状を打破したい気持ちだとか。「CALL ep」という曲に対してどういうふうな心情があったんだろうなっていうことで、曲に落とし込んでいった形で、一連の流れを作っていきました。

-歌詞は大須賀さんがすべて書いているということですけど、岡田さんと川田さんにとって個人の心情を表現した歌詞を重たく感じることはないですか?

岡田:付き合いも長いので、大須賀拓哉という人間を知っている自分が大きくて。4人でやっているときに、"こういう歌詞を書いてきたんだけど"って見せられたときに、"わかりにくいけどなんとなくわかる"みたいな、だいたい言いたいことはわかるっていう部分はあったんですけど、3人になってからここ最近は、文章を見ても以前よりわかりやすくなってきたんじゃないかなとは思います。

-以前はわかりにくい比喩とかがあったということでしょうか?

岡田:遠回しというか、例えば(手元の飲み物を例に)コップ、飲み物という表現じゃなくて、それをどう表現するかという伝え方が多かったのが、もっと伝えやすい言葉を選ぶようになったんじゃないかと思いますね。

大須賀:それは嬉しいですね。前に岡田君に"直接的じゃなくて気づかせようして喋るときがあるよね"って言われて。たぶん、歌詞もそのまんまだったと思います。

川田:(大須賀は)結構意見も求めてきますけど、やっぱりやりたいことは決まっていて。こちらが違う意見を言っても、余程じゃない限り変えないですね(笑)。

-大須賀さんは煮詰まったときに意見をメンバーのふたりに求めるわけですか?

大須賀:そうですね。でも聞いてるつもりなんですけどね(笑)。

岡田&川田:ははははは。

大須賀:歌詞の部分でも"こういうふうに伝えたいんだけど、これで伝わるかな?"というふうにはふたりに話しますね。

-『step』は全曲"s"から始まりますけど、これはどういう理由があるんでしょうか。

大須賀:遊び心というか......(笑)。もともと"step"というタイトルも、11月28日に行う渋谷Star loungeでのワンマン・ライヴをどんなタイトルにしようという話があって。そのときに"One Man Festival「step」"というタイトルを川田君が考えたんです。それでアルバムのタイトルを決めるときに合田さん(マネージャー)が"sって数字の2みたいにも見えるよね"って言っていて、"それだ!"と。今回は『faust』(2014年リリース)に次いで2枚目のミニ・アルバムだし、"step"というのは今の自分たちの状況やこれからに当てはまるなと思って。今回はTrack.1から最後の「so call」までの"7曲で1曲"というふうに捉えて作ったので、全部繋げてみたいなと思って。全員で"この曲はどんな曲なんだろうね"というところから、"s"がつく言葉を考えていった感じですね。曲を全部作り終えてからつけました。

-タイトルをつけるのに悩んだ曲はありましたか?

大須賀:僕が個人的に好きなのが、Track.5「springhead」で、これは合田さんから出た言葉で"源水"という意味なんですけど。自分たちが3人になって、どういう曲を作ったらいいかと思っていたころにWILCOの「Art Of Almost」(2011年リリースの8thアルバム『The Whole Love』収録)という曲に出会って。無駄なものがないけど音がどんどん構築していくところがすごくカッコいいなと思ったんですね。それをいつか自分たちでも解釈できるようになれればいいなと思っていて。今回の「springhead」もどういうふうにすれば3人でどんどん増幅して曲の最後を迎えることができるんだろうと思って作っていたんです。自分たちの始まりの曲、これから何かを始めるという意味で"springhead"というタイトルが出てきたのはすごく合っているなと思いましたね。もともと仮タイトルの時点でそのままになっているのは、たぶん「stranger」とTrack.6「she」だけだと思います。「stage2」も自分が違う心構えで舞台に立つという意味でしっくりくるタイトルでしたね。